海に眠るダイヤモンド
第2話 スクエアダンス
11月3日(日)放送分
俳優の田口トモロヲさん、松重豊さん、光石研さん、遠藤憲一さんら“名脇役”が本人役で出演するテレビ東京の人気シリーズ「バイプレイヤーズ」。2017年にスタートし、ワチャワチャとする“おじさん”たちが「可愛い」などと話題になり、現在は第3弾「バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~」(金曜深夜0時12分)が放送中だ。これまでのシリーズすべてを手がけ、「自由におじさんたちが遊んで、それを僕らがどう生き生きと撮るかが一番のポイント」と話す松居大悟監督に、名脇役たちのエピソードを聞いた。
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2017年に「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」、2018年に「バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」が放送された同シリーズ。
松居監督によると、もともと、遠藤さん、大杉漣さん、田口さん、寺島進さん、松重さん、光石さんの6人が、「いつかは俺たちで一個の作品やりたいよね」と雑誌の取材で話している姿を、番組プロデューサーが発見したことから「バイプレイヤーズ」の企画がスタートした。
そんな中、「20~30代ぐらいの人たちが見たい、名脇役たちを描いてほしい」とオファーを受け、制作に加わった松居監督。プロデューサー、監督陣、脚本家との話し合いを重ね、“本人役ドラマ”という設定が誕生した。
数々の作品に出演する名脇役たちが集合し、「ちょっとした緊張感と、でもうれしさ、楽しさはあったりはしたんですけど……」と当時を振り返った松居監督。撮影現場では、「台本通りになんてあんまりやらないぞ」と言わんばかりに、名脇役たちによるアドリブ合戦が繰り広げられ、「最初は、芝居の構成やカット割り通りになんて撮れないし、演出プランなんて考えては捨てる作業ばかりでした」と明かす。
ドラマとは“積み重ねていくもの”と考えていた松居監督にとって、その大前提を初めて崩される経験だった。「最初は、『いや、こっちの方向にしたいんです』とか(演出プランを)言っていたんですけど、途中から『自分のプランを押しつけているだけなんじゃないか』と思って。あの人たちが、揃って好き放題の芝居をしていて、なんなら台本より面白くなっちゃっている。それ自体にすごく意味がある。だから、その瞬間に判断して、次のシーンやその回を成立させるためにいかに柔軟に見つめるか……と変えていったんです」と自身の変化を明かす。
それからは、“セッション”から生まれるものを大切に、「押しつけないこと」を心がけた。「『こういうふうにしてほしい』と押しつけたら、皆さん、技術が圧倒的にあるのでできるんですよね。でもそれってフィクションになってしまうような気がしていて……」と思いを話す。
出演者たちから生まれる「こういうことをやってみたい」という思い。その思いをなるべく敏感にくみ取り、画(え)に残すことが、「リアルとフィクションの狭間で、“本人役ドラマ”という名前の『バイプレイヤーズ』にとって、一番大事なもののような気がしていて……」と続ける。
にぎやかな“生徒たち”をまとめる学級委員のような存在である松居監督は、「『僕がこうしたいです』と言ったら、最初は『なんだそれ、やんなくていいよ』みたいな感じだったんですけど、信頼関係ができたからか、『OK、OK』みたいな感じでやってくれるようになって、うれしいなって」と話す。
松居監督の話だけでも、撮影現場ではしゃぐ名脇役たちの様子がうかがえるが、現場では、どんな様子だったのだろうか。まず、遠藤さんについては、「とんでもなく突飛なこととか、変なこととかをしたがるんですよね(笑い)」と表現する。
「2」では、女装した遠藤さんが、“島ママ”として登場。「『とにかく女装がしたい』とずっと言っていて、島ママをやってもらいました。すっごい変なことをするのですが、めちゃくちゃうまいので、そこにリアリティーを持っています。一番顔が怖いんですけど、一番かわいらしいというか……(笑い)」と話す。
「むちゃをやりたい」という遠藤さんに対し、光石さんはその逆。スタッフが「むちゃをいくらでも言える」存在だ。「言ったらなんでもやってくれますし、“バイプレイヤーの中のバイプレイヤー”って光石さんで、誰にも気を遣わせないようにしてくださいます」と明かす。
田口さんについては、「僕に一番寄り添ってくれます」という。「監督もやられているからなのか、すごくリスペクトをしてくれるんです。下ネタを誰よりも言うし、ぶっ飛んではいますが(笑い)、スタッフに対して一番ちゃんとしています。トモロヲさんと話しているとすごくうれしいです!」と話す。
「しっかり者の、世話焼きのお母さん」なのは、松重さん。「影のリーダーというか、松重さんがいないと成立しないです。みんなが自由で、台本通りにやらないときに、松重さんが言わなくちゃいけないことを言ってくれたり、説明しなきゃいけないことは全部松重さんが言うようになってしまいました(笑い)」と明かす。こういった状況に、松重さんは、「最年少だからしょうがないよね」と言っているのだという。
スケジュールの都合で、「2」には出演していないが、最新作での登場も気になる寺島さんについては、「暴れん坊の悪ガキです(笑い)。でも、繊細だからそうなんだろうと思います。不安で心配だからこそ、暴れるというか。それが分かるので、愛せます!」と話す。
そして、2018年に急死した大杉さんを「リーダー」と話した松居監督。「僕たちの中では、漣さんは今でも普通にいる」と語り、「やっぱりみんなが信頼しているし、漣さんが向いた方向にみんな向く。役者、スタッフ含めて、本当にリーダーだなって思います」と明かす。リーダーであると同時に、「一番子供っぽい」といい、「芝居中に笑っちゃうし、台本通りに一番やらなかったりとか、一番楽しんでしまう人。だからみんなついていくんです」と話していた。
最新作「バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~」は、都会から離れた森に囲まれた大きな撮影所“バイプレウッド”が舞台。へんぴな撮影所に、各局の連ドラや映画作品が一気に集まってしまったことで起きる大騒動の100日間を描く。スタジオ同士の視聴率バトルや若手、中堅、大御所間のぶつかりあい、友情と絆の物語などが展開される。ドラマと、今春公開の映画「バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~」で合わせて総勢100人以上が出演する。
今回の物語では、これまでの「脇役たち6人が主役」という形から変化し、多くの出演者が登場する。時がたち、元祖バイプレメンバーは、今は主役としても活躍することから、松居監督は
「このメンバーのバイプレイヤーズというよりも、40代、30代の人たちでやってもいい。『自分たちはバイプレイヤーズポジションじゃなくなってきているけど、次の人たちに……』という思いのもとに、今こういう形になりました」と説明する。「『バイプレイヤーズ』というものは、引き継いでいくものにしたいというメンバーの信念を、信じています」とも話す。
最後に、視聴者に向けて、「『1』『2』を見ている方は、絶対に見てほしいです。追いかけてよかったな、やっぱり好きだな、と思わせるので。見ていない人でも、すごくぜいたくなドラマなんですよね。オープニングはちゃんとかっこいいし、中盤はゆるくて楽しく、いろいろなバイプレイヤーも出てきて、『ものづくりってこういう風にできるんだ』とわかると思います。楽しんでほしいです」と呼びかけた。
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