俳優の吉沢亮さん主演のNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(総合、日曜午後8時ほか)第12回「栄一の旅立ち」が5月2日に放送される。同回で血洗島編は完結となるが、ここまでの皆勤賞を続けているのが、北大路欣也さん扮(ふん)する徳川家康だ。「こんばんは」で始まる口上(一部除く)はすでにおなじみで、3月14日放送の第5回「栄一、揺れる」では「『士農工商』、もう教科書にその言葉はありません」と明かし、一部の視聴者に衝撃を与えた。「北大路さんから『家康をやるからにはしっかりとやりますから何でも言ってください』と言っていただいて、今のようなシーンが出来上がっています」と話す、チーフ演出の黒崎博さんが今後について語った。
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幕末からスタートするドラマに江戸幕府を開いた家康を登場させるというアイデアは脚本の大森美香さんによるもの。2月14日放送の第1回「栄一、目覚める」の冒頭で「日本の歴史」を語ると、その後も物語の中で“狂言回し”的な役割を担ってきた。
北大路“家康”への反響は大きく、放送中は「家康待ち」をする視聴者も多く、SNS上では家康の「こんばんは」のあいさつに視聴者が「こんばんは」と返答するのが、一つのお約束になっている。
黒崎さんも「『家康コーナー』と自分たちで呼んでいて。『面白いよ』と言っていただけるのはすごくうれしい。とっぴな仕掛けでもあるので、最初は正直なところドキドキしていましたが、ドラマが始まると『面白い』のほかに、『家康さんが語ってくれている情報で中身が分かりやすくなる』とも言っていただけて、本当に有り難いです」と手応えを明かす。
また、「北大路さんご自身も演出プランを聞いて、最初は『よく分からないな』『どうなるんだい、それは』というふうに思われている部分はあったと思うのですが、ドラマが始まってから大きな反響をいただいて、北大路さんも喜んでくださって、『楽しい、楽しい』と言ってくださって。『次の回僕は何をやればいいの』と演じ方を楽しみにしていただいています」と裏話を披露。
気になるのが、幕府崩壊後、明治以降の扱いだが、黒崎さんは「これから先のことはみんなで考え中です。大森さん含めて引くに引けなくなっていて、いつの間にか北大路さんご自身も劇中の家康さんも立場を超えて、感情が出てきてしまって、物語を見守っている人になっている気がする。だから、幕府が終わったら出てこないのかって言うと、そんなことはないと思ってはいるので、栄一を最後まで見ててほしいなって思っています」と希望的観測を口にした。
「青天を衝け」は、“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一が主人公で、連続テレビ小説(朝ドラ)「風のハルカ」(2005年度後期)、「あさが来た」(2015年度後期)などの大森さんが脚本を担当。「緻密な計算」と「人への誠意」を武器に、近代日本のあるべき姿を追い続けた渋沢の生きざまを描く。
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