俳優の吉沢亮さんが、渋沢栄一役で主演するNHKの大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(総合、日曜午後8時ほか)。8月の放送回で江戸幕府が滅び、9月の放送回からいよいよ時代は明治へ本格的に移行、物語は“後半戦”に突入する。史実では、幕臣だった栄一は明治に入ると、新政府の要請で官僚となり、その後は官を辞して実業家に転進。数々の事業を興し、後に“日本資本主義の父”と呼ばれる人物となる。「青天を衝け」ではこれから、一体どんな人物として描かれるのか。「汚さを覚える」「ダークな面もある」と“後半戦”の栄一について語る吉沢さんに話を聞いた。
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藍玉の製造販売を主な家業とする豪農の子として誕生した栄一。幼い頃から父・市郎右衛門(小林薫さん)のもとで商才を磨いてきた。そんな彼の幕臣となる前からの行動理念の一つが、「みんなで幸せになる」ことだ。青年期、「みんなの幸せ」を理不尽に搾取しようとする岡部陣屋の役人に、怒りをあらわにしたこともある。
そして、幕臣となり、パリ万国博覧会の使節団の一人として西欧に渡った栄一は、向こうの銀行システムや“コンパニー”に「みんなで幸せになる」形を見つけた。吉沢さんも「パリに行ったことによって今まで思っていた、みんなで幸せになる形を見つけたなと思います」と振り返る。
だが続けて、「明確に(目標が)見えたことによって、そこへの難しさ、葛藤が生まれてきた」と語る。その複雑な心境のなかで葛藤するのが、“後半戦”の栄一だといい、「ちょっと自分の意思とは違うこともやってしまう」という。
「(今までの栄一は)自分が正しいと思うことを全力でやってきて、どれだけ目上の人だろうと突き進んできた。新政府で働くようになってからは、自分が正しいと思うことに突き進むのは一緒なのですが、そこへの手段というか、そのためには汚いこと、自分の道理と外れたことや、何かを切り捨てるようなことをいたしかたなくやっていきます」
そんな栄一を吉沢さんは、「葛藤を抱えているし、間違っていると気づいてはいるけど、止められない。自分のやることに対して余裕がなくなってきているのかな」と分析する。「汚さを覚えた栄一」を自分の中で意識しながら“後半戦”の撮影に臨んでいると明かした。
「青天を衝け」は、“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一が主人公で、連続テレビ小説「風のハルカ」(2005年度後期)、「あさが来た」(2015年度後期)などの大森美香さんが脚本を担当。「緻密な計算」と「人への誠意」を武器に、近代日本のあるべき姿を追い続けた渋沢の生きざまを描く。
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