山崎育三郎:「青天を衝け」伊藤博文役 持ち前の“音感”武器に長州弁 「メロディーとして頭の中に」

大河ドラマ「青天を衝け」に伊藤博文役で出演している山崎育三郎さん (C)NHK
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大河ドラマ「青天を衝け」に伊藤博文役で出演している山崎育三郎さん (C)NHK

 俳優の吉沢亮さん主演の大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(NHK総合、日曜午後8時ほか)に伊藤博文役で出演している山崎育三郎さん。長年、ミュージカル俳優として活躍してきた山崎さんは、今回が初大河で、「ミュージカルでいえば帝国劇場の舞台に立つよう」と喜びを噛みしめる。伊藤が話す長州弁の習得では、持ち前の“音感”が武器になったといい、「メロディーとして頭の中に入れていった」と話す山崎さんに役作りなどを聞いた。

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 ◇伊藤博文はプロデューサー!? 第一印象は真逆で…

 山崎さんといえば、昨年放送された連続テレビ小説「エール」で朝ドラデビューを果たしたことも記憶に新しい。

 「『青天を衝け』の撮影現場は、朝ドラの現場のすぐ隣だったんです。昨年約1年間、ずっと通っていた場所なので、入ったときの匂いとか空間には親しみがあって。もちろん、『青天を衝け』は、『エール』とはまた違う空気感だったのですが、『ホームに帰ってきた!』みたいな気持ちもちょっとありました」

 伊藤は長州藩士族で、明治維新後は新政府に出仕し、大蔵少輔として栄一(吉沢さん)の上司に。主に貨幣制度の改革に注力し、やがて初代内閣総理大臣に出世する人物だ。山崎さんは当初、伊藤のキャラクターについて「あまりピンときていなかった」というが、勉強を重ねるうちに、「泥臭くて男っぽい人」だと分かってきたという。

 「写真とかを見ると、伊藤はヒゲをたくわえていて、すごく怖そうな雰囲気で、ドシッと構えている印象でした。ですが、演じる上で勉強させていただくと、軽やかで、コミュニケーション能力が高い人物だと分かりました。自分の中でイメージしていた印象とは真逆だったんです」

 山崎さんは、伊藤の役割について、「今で言うところのプロデューサー」だと説明する。

 「伊藤は、人と人のつながりをものすごく大事にしています。『この人とこの人を会わせたら、こうなるんじゃないか』といったことをいつも考えているんです。伊藤のおかげで、いろいろな人がつながっていく。伊藤自身が何か優れた才能を持っている感じはしないのですが、国のためにどう生きるべきかを本気で考えていて、そのために生きていたと言っても過言ではない人物ですよね」

 ◇長州弁に苦労も「メロディーとして」体得 吉沢亮との共通点は…

 役を演じる上で苦労したことの一つは、伊藤が話す長州弁だったという。

 「イントネーションがいろいろと難しかったです。でも僕は音楽をやっているので、音として捉えるのは得意。だから、メロディーとして方言を頭の中に入れるということをやっていました。長州弁はいろいろな音が混ざり合っています。音が少しでも違うと、長州弁に聞こえなかったりして、方言の先生から『音は絶対に外さないように』と指導が入ります(笑い)。けいこでつけてくださった音は、絶対に自分の体に取り入れるようにしていきました」

 英語のせりふにも苦労したという。伊藤の初登場シーンでは、英国の駐日公使館の通訳のアーネスト・サトウと英語で会話をしていたが、「英語もとても難しかったです。当時の英語は、単語の一つ一つがすごく難しくて、最初の登場シーンが全て英語だったのですが、もう芝居の感覚がないというか(笑い)」と振り返る。

 主演の吉沢さんとは、「男4人兄弟」という共通点がある山崎さん。「男臭い中で育っているので、“男っぽさ”みたいなところが、話していても相性が合うんです」と明かす。

 「吉沢君とはだいぶ前に映画で共演したことがあります。そのときは、すごく好青年で、若くて、美青年だなという印象だったのですが、今回久しぶりにお会いしたら、もう渋沢栄一にしか見えなかったんです(笑い)。もちろん、きれいな顔をしているのですが、彼が元々心の中に持っているものが、実はものすごく男臭い。渋沢栄一に近いものを持っているんじゃないかと感じました」

 山崎さんと吉沢さんに共通点があるように、伊藤と栄一の間にも共通点があるという。

 「栄一は、横浜で焼き打ちを実行しようとするなど、攻撃的な一面があります。一方、伊藤も品川御殿山に建設中の英国公使館に、大砲を打ったりするような攻撃的な部分を持っている。だからこそ、伊藤は栄一に対して、同じ匂いというか、『同じ魂を持っているのではないか』という思いを持っていたかもしれません。栄一と同じ思いで国を変えていけるのではないかと考えていたのだと思います」と結論づけた。

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