カムカムエヴリバディ:スタッフ陣が語る「覚悟を決めて」描いた人々の死 「谷が深いほど、光がまぶしく感じる」

NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の場面写真 (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の場面写真 (C)NHK

 上白石萌音さん、深津絵里さん、川栄李奈さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「カムカムエヴリバディ」(総合、月~土曜午前8時ほか)。第4週では、空襲の被害にあった母・小しず(西田尚美さん)と祖母・ひさ(鷲尾真知子さん)、父・金太(甲本雅裕さん)の突然の旅立ち、そして、出征した夫・稔(松村北斗さん)の戦死の知らせと、安子(上白石さん)の身近な人々の死が次々と描かれた。「覚悟を決めて作り始めた」と語るスタッフ陣に、話を聞いた。

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 ◇優しさを心がけた第4週

 第3週までは、安子と稔の恋模様が中心で、結婚を親に反対された2人のすれ違いや、思いが描かれた。一方、第4週では、安子と稔の結婚と前後し、太平洋戦争が激化したことを背景に、岡山が焦土になり、身近な人々が次々に亡くなっていくというつらい展開が続いた。

 第4週の演出を担当した安達もじりさんは、同週の物語がどう展開するかと脚本の藤本有紀さんと相談。その上で「確実に何人かが亡くなっていく物語になるということで、非常に覚悟を決めて作り始めました。毎日人が亡くなっていく週なので、つらすぎず、優しさをもって描きたいなと心がけました」と明かす。

 第20回(11月26日放送)では、稔が戦死したという知らせを受けた安子がぼうぜん自失となり、次の瞬間、家から飛び出し、神社へと駆け込むというシーンが登場。45秒近くにわたる静寂の中、安子の「稔さん、稔さん……」という悲痛な叫びだけが響く……という演出も手伝い、視聴者に強い印象を与えた。安達さんは「最後の稔が亡くなるシーンでは、音楽などを使って盛り上げることはしないでおこうと決めました」と告白する。

 安子が神社で泣き崩れる場面については、「1人残されてしまった安子を表現するため、引き絵で撮りました。実際に現場で上白石さんの演技を見て、カメラが近寄れないオーラがあり、距離をとって彼女を見守るという映像の作りにしました。非常に悩ましかったです」と振り返っていた

 ◇「一緒に戦後を感じて」

 これまで戦中、戦後を描いた作品を多数制作してきた、制作統括の堀之内礼二郎チーフプロデューサー(CP)は、「戦争を体験した方々は、『戦前や戦中より、戦後が苦しかった』とおっしゃることが多かった」と回顧する。

 「ドラマを通して、一緒に戦後を感じてもらいたいです。視聴者の皆さんが感じられた喪失感は、当時の日本人の多くが感じていたことで、ご理解していただけたら……。第3週まで盛り上がり、第4週でこうなることは分かっていたことなので、皆さんの悲しむ声を聞いて心が痛いです。ただ、谷が深いほど、光がまぶしく感じるものです。第5週の展開で、英語講座がなぜ、多くの日本人にとって希望の光に感じられたのか、少しでも理解してもらえたら」と強調していた。

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