窪田正孝:「ゼロに戻れた」大きかった30代突入の3年間 「ラジエーションハウス」映画化は「役者冥利に尽きる」

「劇場版ラジエーションハウス」で主演を務めた窪田正孝さん
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「劇場版ラジエーションハウス」で主演を務めた窪田正孝さん

 ワンカットに費やす時間の重み――俳優の窪田正孝さんが「劇場版ラジエーションハウス」(鈴木雅之監督、4月29日公開)の撮影で感じたという率直な思い。続けて窪田さんは「劇場版の“ラジハ”ができたことは役者冥利に尽きます」としみじみ語ったが、この言葉にはどんな思いが込められているのだろうか。

 2019年4月クールの“月9”ドラマとしてスタートした「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」は、主演を務めた窪田さんにとって、30代に突入するタイミングで出会った作品だ。さらに本シリーズは、2021年にもシーズン2が月9枠で放送され、さらに2022年4月には劇場版としてスクリーンに帰ってくるなど、約3年という長期スパンの人気シリーズになった。

 この期間、窪田さんはNHK連続テレビ小説「エール」で主演を務め、さらにプライベートでは結婚するなど、大きな出来事が続いた。窪田さんは「成長していくことって、足し算なんだろうなと思っていたのですが、ものごとを知ってしまったことでモヤモヤしたり、納得できなかったりすることがありました」と語ると「そこにコロナ禍もあり、動いたり止まったりと気持ちが非常に揺れ動く期間でした。でもこうしたことを経験したからこそ、いまがすごく楽というか、ゼロに戻れた気がするんです」と率直な胸の内を明かす。

 “ゼロに戻れた”という言葉の真意を問うと「これまで月9や朝ドラで主人公をやらせていただくなど、いろいろと貴重な経験をしました。でもそれは敷いてもらったレールの上を歩いているという感覚があったんです。でもこれからは、自分でレールを敷いて、その道を進んでいきたいなという思いが強くなってきています。僕は年齢を重ねても役者をやっていきたいし、その意味では、例えば『若手俳優』とか『主演俳優』というカテゴライズされたものを、一回リセットして、改めてスタートしていきたいと思ったんです」と説明する。

 こうした考えに至ったのも、「ラジエーションハウス」というシリーズで、長く一人の役と向き合っていたからだという。窪田さんは「正直大変でした」とつぶやくと「この物語において僕が演じた唯織という役は、軸として絶対変わってはいけない。でも人生経験を積むなか、それを出さなければいけないという思いもある。本当に一つの役をまっとうするって、こんなにも大変なんだと実感しました」としみじみ語る。

 そんな思いのなか演じた唯織。劇場版で一つの区切りを迎える。「長く続けてこられたというのは、見てくださる方がいてくれたから」と視聴者に感謝を述べる窪田さん。しかし、それはあくまで作品への評価であることが重要だという。「個人的な考えですが、僕は自分がどうこういうより、作品で判断してほしいという思いがあります。俳優はその作品に関わった一つのピースでしかない。だからこそ、自分が良いなと思った作品に出たいですし、自分なりに道を探していきたいんです」

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 「いまはどちらかといえば映画に比重を置きたいなという思いがあります」と語った窪田さん。その理由について「ご一緒したい監督もたくさんいますし、映画でしか出会えない方々もたくさんいます。作品の内容はもちろんですが、現場作りとか、役への向き合い方も含めて、作り上げていく時間を深く染み込ませていきたい」と語るが「でも1年後にはめっちゃ『ドラマやりたい!』とか言っているかもしれませんけれどね」と笑う。

 劇場版は、ドラマ版で好評だったラジハメンバーたちの“わちゃわちゃ感”はそのままに、より登場人物たちの心情に迫る演出が施されている。「ドラマは物語を中心に見せていく関係上、たくさんいる登場人物の心情をどこまで見せるかという部分ではシビアなのですが、劇場版はしっかりと人物を捉える脚本になっていましたし、実際感情の起伏などをとても大事に撮られているなという印象がありました。ワンカットに費やす時間の重みが映像に出ていると思います」

 こうした映画の特性も、窪田さんが惹(ひ)かれる大きな理由だという。「説明過多にはならず、見る人にしっかりと委ねている。僕はそういう作品が好きですし、『ラジエーションハウス』という作品が劇場版にまでたどり着いたことは、僕にとって誇りで、役者冥利に尽きます」と感慨深げに語っていた。

 「ラジエーションハウス」を経て進むこれからの未来――。窪田さんは「俳優は自分の気持ちを出す仕事なので、そこにうそをつきたくない」と語ると「これから自分が選んだ道が、今まで応援してくださった方を、ある意味で裏切るような形になったとしても、自分は恩を忘れるつもりはないですし、なんらかの形で必ず返していけると思える作品をやっていきたいです」と抱負を述べた。 (取材・文・撮影:磯部正和)

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