クロサギ:なぜ令和にドラマ化? P語る「求めていたものだった」平野紫耀の力

連続ドラマ「クロサギ」のポスタービジュアル(C)TBS
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連続ドラマ「クロサギ」のポスタービジュアル(C)TBS

 詐欺師同士の頭脳戦を描いたマンガ「クロサギ」シリーズを実写化した連続ドラマ「クロサギ」(TBS系、金曜午後10時)が10月21日にスタートする。本作は2006年にも連続ドラマが放送されたが、今回、人気グループ「King & Prince」の平野紫耀さんを主演に迎えて新たにドラマ化。令和というこの時代に届けることになった理由とは――。本作を手がける武田梓プロデューサーと那須田淳プロデューサーに、ドラマ化の裏側を聞いた。

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 ◇2022年のリアルと平野紫耀のエンタメ力

 原作は、夏原武さん原案の、黒丸さんのマンガ。詐欺で家族を失った主人公・黒崎高志郎が、詐欺師をだます詐欺師“クロサギ”となって詐欺師に立ち向かっていく。2003~13年に「週刊ヤングサンデー」「週刊ビッグコミックスピリッツ」(共に小学館)で連載。2006年には山下智久さん主演で連続ドラマ化され、2008年には映画化もされた。

 今回のドラマでは、2022年を舞台に、今の日本でリアルに起こっている詐欺を描き出していく。武田さんは「前作の放送当時より詐欺はとても悪質で巧妙な手口のものが増えている印象が強く、“すぐ隣にある脅威”になっている。そういった時代に、見過ごしてしまいがちな詐欺に改めて立ち向かっていく、みんなができないことをやっていく痛快さを届けられたらと思いました。それを平野さんに演じていただいたら、皆さんに楽しんでいただけるものになるんじゃないかと考えました」と説明する。

 また、詐欺犯罪に人間の欲望や危うい部分を感じたという那須田さん。「その怖さを今一度見つめ直したいという中で、人間と社会を結びつけて切り込んでいくには、エンターテインメント性が大事だと思いました」と話す。

 「クロサギは原作にそういう力がありますし、平野さんのお芝居には明るさとか重たさだったりとか人間の中にある両極ながらも共存する、いろいろな面をしっかり演じ分けられるエンタメ力を感じて。彼の力は、このテーマに取り組む僕たちが一番求めていたものでした」

 ◇「黒崎がどう旅を終わらせるのか」 原作完結後ならではのテーマ設定

 そんな平野さんが演じる黒崎。人をだまして金銭を奪う“シロサギ”をターゲットに、「だまし返して」「被害者のお金を取り戻す」“クロサギ”として人生をささげ、父を陥れた詐欺師・御木本(坂東彌十郎さん)をいつか探し出し、「喰(く)らう」ことを目指す「最凶の詐欺師」と呼ばれる青年だ。

 黒崎と出会う検事志望の大学生・吉川氷柱役で黒島結菜さん、黒崎に情報を売る詐欺師界のフィクサー・桂木敏夫役で三浦友和さんも出演。前作に引き続き篠崎絵里子さんが脚本を担当し、原作完結前の前作にはなかった、黒崎と御木本との直接対決も盛り込まれる。

 那須田さんは「前回は原作のマンガも数冊しか出ておらず、黒崎は旅の途中でした。原作完結後の今回は、黒崎がその旅をどう終わらせることができるのか、それともできないのかが、すごく大事な点になってきます。旅の途中でどんな出会いがあり、どんなことが起こるのか。長い完結した原作を生かしながらも、スピード感をもって物語が進んでいって、視聴者にどうなってしまうのかと思わせるような形で書いていただいています」と告白。武田さんは「壮大な話になっていますので、見てくださる皆さんには、とにかく付いてきてくださいという思いです」と打ち明けた。

 ◇魅力的かつ浮世離れさせずに キャラクター作りへのこだわり

 武田さんは「1話完結の面もありながら、縦軸として黒崎の過去との折り合いや、宿敵である御木本との戦いもしっかり描く。黒崎の悲しい、切ない部分を出しながら、毎話詐欺師を倒していくときは、黒崎が魅力的に見えるように意識しています。平野さんが演じることでかっこよく、時には可愛くなるように考えながら打ち合わせをしています」と語る。

 さらに、登場人物について「我々がイメージする詐欺師の在り方が16年前とは大きく変わっているので、詐欺犯罪監修の夏原先生にも相談しながら“今の詐欺師”を描いています」と話し、「そうすると黒崎たちの在り方も自然と変わっていく。社会に溶け込んで、普通に生活しているほど詐欺師として優秀なんじゃないかと。なので、あまり浮世離れさせずにキャラクター作りをしています」とこだわりを明かす。

 一方で、御木本は“普通じゃない人物”として表現。「黒崎や桂木は人物像の陰影を丁寧に追っている分、御木本は分かりやすく、ただ者ではない存在感を出したかった」とコントラストをつけたという。

 ◇「楽しみ続けられるドラマに」 心情の変化にも注目

 物語においては、バックボーンを描きつつも「焦点を当てているのは黒崎がこの先どんな旅路を歩むのか、ということ」と那須田さん。そこで鍵を握る存在になっていくのが、黒島さん演じる氷柱だ。

 「きっと黒崎の過去に対して光になって、導いてくれる存在が氷柱だと思うんですよ。氷柱との出会いが彼のこれからにどう影響していくのか。過去との答え合わせをするのではなく、黒崎が切り開いていく未来をワクワクしながら皆さんに見ていただきたいです」と話す。

 黒崎と氷柱のラブストーリーも展開していくが、武田さんは「黒崎と氷柱は詐欺師と検事志望の大学生という関係で、本来なら絶対に結ばれない2人。互いが互いをどう思っているのか、毎話を通して2人の心が変化していくので、それに対して皆さんが切なくなったり、悲しくなったり、気持ちが動いてくれるとうれしいです」と思いを込める。

 那須田さんも「結ばれない2人がどうやって進んでいくのか。その中にはヒリヒリする思いもありますし、後に大きな変化も待っているので、最後までドキドキしながら2人の行方を応援してあげてほしい」と話す。

 最後に、武田さんは「なかなか一言でこういうドラマですと言い表せないくらい、いろいろな気持ちになる作品だと思っています。ストーリーがどんどん展開していって、ワクワクしていただけると思うので、楽しみにしていただけたら」とアピール。

 那須田さんは「回を重ねるごとに話がどんどんダイナミックになっていって、見逃せない展開になっていきます。その中で“差し色”のような平野さんの可愛さだったり、俳優としての魅力をたくさん見せてくれるので、ずっと楽しみ続けられるドラマになるんじゃないかと思っています」と期待を寄せた。

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