舞いあがれ!:視聴者に感動と学びを与える言葉の数々 高畑淳子も「胸が詰まるような気持ちになった」台本の力

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ」の一場面(C)NHK
1 / 1
NHK連続テレビ小説「舞いあがれ」の一場面(C)NHK

 福原遥さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(総合、月~土曜午前8時ほか)。第2週「ばらもん凧(だこ)、あがれ!」(10月10~14日)では、母・めぐみ(永作博美さん)と離れ、祖母の祥子(高畑淳子さん)と長崎・五島で暮らすこととなった舞(浅田芭路ちゃん)が、たくましく成長する姿が描かれた。また、同週では、祥子から何度も“名言”が飛び出し、回を重ねるごとに視聴者は盛り上がりを見せていた。今回は、祥子が舞に送った言葉を振り返る。

ウナギノボリ

 「月曜から名言連発」という声も上がった第6回。皿洗いや学校への遅刻などで熱が出てしまった舞は「何やってもうまいことでけへんねん」と落ち込む。祥子は「できんことは、次、できるようになればよか。そっでな、できんなら、できることば探せばよかとぞ」とアドバイスを送った。

 第7回では、舞はビワ摘み、ジャム作り、それを瓶詰めするなど祥子の仕事を手伝う場面が描かれた。だが、失敗もあって舞はしょんぼり。そんな舞に対して祥子は、「ビワ取りも瓶詰めも最後はちゃんとでくっことなったやろ。失敗は悪いことじゃなか。舞は自分で手伝いばすると決めて、最後までできたやろ。すごかことぞ」と褒めたたえた。

 第7回にあった「失敗は悪いことじゃなか」という言葉が、“神回”との声も上がった第8回につながっていく。第8回では、祥子が磯釣りの客を船で迎えに行くはずが、約束の時間を忘れてしまい、客を怒らせてしまう。

 客に頭を下げ続ける祥子を見ていた舞は「ばあちゃん、大丈夫?」と声をかけ、そっと祥子の手を握る。続けて「おばあちゃん、失敗は悪いことやないんやろ?」と語りかけ、祥子は「およ」とうなずき、舞を優しく抱きしめた。

 舞が心身共に成長した姿が垣間見えた同回は「皆さんが“神回”と絶賛するのに納得」「優しい気持ちにさせてくれてありがとう」と多くの視聴者の心に刺さったようだ。

 第9回では、一太(野原壱太君)から、一緒にばらもん凧を揚げようと言われた舞が、どうするか悩む様子が映し出された。そんなときも「ばあちゃんもた~くさん失敗したとよ。めぐみのことだってそう。失敗したせいで、めぐみにも舞にもず~っと会えんかったとさ。舞は、人ん気持ちば考えられる子たい。じゃってん、自分の気持ちも大事にせんば」と舞の背中を優しく押す祥子。

 さらに祥子は「めぐみに電話ばしてみんね?」と母と娘を“橋渡し”。めぐみも電話越しに「一生懸命やったらええの。思い切ってやってみたら?」と舞の気持ちを大事にしてほしいと伝えた。

 優しい言葉を投げかけるだけでなく、いずれは大阪に帰ることになる舞とめぐみをつなげた祥子の姿に対して、SNSでは“マネジメントの達人”という反応も見受けられた。

 そして、舞が大阪に帰ることになる第10回。2人が過ごす最後の夜、祥子は「舞、ばらもん凧あげたときのこと覚えとっか? 舞もばらもん凧ごたあ、どがん向かい風にも負けんとたくましく生きるとぞ」とエール。舞は「ばんば、今までありがとう」と言うと、祥子は目を真っ赤にして優しくほほ笑んだ。

 第9回までは“おばあちゃん”と呼んでいた舞だったが、第10回からは“ばんば”呼びに。「二人の距離が縮まった証」「もう舞ちゃんも島の子になった」という感激の言葉が集まったように、島での生活を通して、2人の間に固い絆が結ばれたことが分かる瞬間となった。

 祥子の言葉を受け、失敗してもたくましく成長していった舞。その姿を通して、視聴者からも「自分の育児にも学びが多い」「このドラマを見て言葉の大切さやコミュニケーションの重要性を学んでいるのは、舞ちゃんだけでなく、むしろ私たち大人の方」という感想も寄せられていた。

 これだけ視聴者の心に響いたのは、脚本を担当する桑原亮子さん(共同脚本として嶋田うれ葉さん、佃良太さんも参加)が紡ぎ出す言葉。そして演じる高畑さん、芭路ちゃんらがその言葉の意味をしっかりと受け取り、見事に表現してくれているからではないだろうか。

 高畑さんも「脚本家のお一人の桑原亮子さんが、中途失聴による重度の聴覚障害がおありだと知り、だから言葉を紡ぐという生業(なりわい)に、ご自身のいろいろなことを詰めておられるのだなと思いました。台本を読むたびに、胸が詰まるような気持ちになったんです。いろいろなことにぶつかりながらも生きなければならないことを体感なさっている方なんだなと思いました」と語っている。

 17日からスタートする第3週では、舞は大阪に帰り、成長した福原さんがいよいよ登場する。桑原さんたち脚本チームが紡ぎ出す言葉で、視聴者にどのような感動を与えてくれるのか。確かな演技力を持つ役者たちが発する言葉にも注目したい。

テレビ 最新記事