長濱ねる:初朝ドラ「舞いあがれ!」で新境地 五島列島の「みじょか」な住人役がはまった理由

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」で山中さくらを演じる長濱ねるさん (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」で山中さくらを演じる長濱ねるさん (C)NHK

 女優の福原遥さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(総合、月~土曜午前8時ほか)で長崎・五島列島の住人、山中さくらを演じている長濱ねるさん。さくらは10月6日放送の第4回で初登場すると、舞(浅田芭路ちゃん)を見て「ばえ~。みじょか(可愛い)ね。どこん子?」と驚いていたが、視聴者からは「さくらちゃんも“みじょか”ばい!」などの声が上がった。おっとりめの口調や雰囲気、読書が趣味で音楽好きのイメージからインドアな雰囲気をまとっていた長濱さんだが、「舞いあがれ!」では故郷・五島列島がロケ地ということもあってか、「楽しい!」という気持ちが前面に出ており、大自然の中で元気にはっちゃけている。長濱さんの新境地ともいえる、さくら役がはまった理由を、制作統括の熊野律時(くまの・のりとき)さんのコメントを基に、ひもといた。

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 ◇カジュアルファッションで元気はつらつ 時には“さくら劇場”も

 長濱さんが演じるさくらは、長崎・五島列島に住むヒロイン・岩倉舞(福原さん)の祖母・祥子(高畑淳子さん)が作ったジャムを売る店員で、遠距離恋愛している彼との夢だった喫茶店を開く……という役どころだ。

 さくらは、初登場の第4回で、「タコ持ってきたよ~」と祥子の家を訪れてくる。ツインの三つ編みのおさげ髪にバンダナを巻き、カジュアルなファッションで明るく登場。元気はつらつな様子に、一瞬、長濱さんと気づかないくらいだった。

 舞の姿を見たさくらは、「ばえ~。みじょかね。どこん子?」と驚く。祥子が自分の孫だと言うと、「祥子さんの孫? ばえ~。似とらんね」と笑顔で率直な感想を述べた。

 11日に放送された第7回では、祥子と舞が店を訪れあいさつをしていると、「ピーピーピー」とさくらのポケベルが鳴り響き、そこから“さくら劇場”が始まった。

 さくらは「なかとさ。むっちゃんから連絡が」と、誕生日なのに、福岡で離れて暮らす交際相手のむっちゃんから祝福のメッセージが届かないと嘆く。「むっちゃん?」と戸惑う舞に、さくらは「彼氏たい。五島出身で、笑顔がみじょかとさ。『さくら、いつか五島で2人のカフェば開こう』って言ってくれたのさ~」と声まねを交えつつ、「ばえー! 思い出したら、ざまに(すごく)会いたくなってきた」と自分の世界に入り込む。

 「会いに行けばよかさ」と多少あきれ気味になだめる祥子に、「しょんなかよ。むっちゃん、カフェのお金ばためるために福岡でお金ばためとっとさ。うちも無駄遣いせんともっと働かんと」などと、舞に身の上話を一方的にし、ひとしきり話し終わると「ばえー! 恥ずかしかあ、舞ちゃんの聞き上手」と舞をツンツンしたり、ほっぺたをムニムニしたりとスキンシップを楽しんでいた。

 ◇その場が「ふわっと柔らかく明るくなる独特の雰囲気を持っている」

 長濱さんにとって、幼少期を過ごした五島列島は「迷ったら帰る、原点に戻れる場所」。今回、朝ドラ初出演で緊張もあったが、「なじみのある場所でリラックスして臨むことができて五島に助けてもらったような気がしました」と語っている。

 熊野さんも「長濱さんはすごく五島に対する思い入れを持っていらっしゃる。撮影地の土地柄や、そこに生きている人を実感を持って表現できるのが朝ドラの良いところだと思っていますので、舞台となる土地の出身で、とても思い入れがあって、今でもたびたび訪れる方に参加していただけるのは大事なことだと思っています」と長濱さん起用のポイントを語る。

 熊野さんは「ご本人の魅力としてもとてもすてきなものをお持ちで、実際にお会いしたときに、部屋に入ってこられるだけで、(その場が)ふわっと柔らかく明るくなる独特の雰囲気を持っていらっしゃる」と五島の住人役のイメージにぴったりだったようだ。

 「五島の言葉でびっくりしたときは『あっぱよー』って言うんですよ、と教えてくれたり。そのときに朗らかな感じで『あっぱよー』と言ってくれた様子などを見て、こういう方に五島の人を演じてもらうのは、すごく大事なんじゃないかなと思って、お願いしました」と明かす。

 長濱さんが「少し面白いキャラで、出てくるたびに面白い味付けになっている」さくらを演じたシーンでは、「島のおおらかさ、島が好きだという感じをすごくストレートにお芝居の中で出していただけているので、参加していただいて良かったなと思っています」と制作陣の狙い通り、役にぴたりとはまったようだ。

 「舞いあがれ!」は“ものづくりの町”として知られる東大阪と、自然豊かな長崎・五島列島が舞台。さまざまな人との絆を育みながら、「空」に憧れるヒロインが「飛ぶ」夢に向かっていく、挫折と再生の物語だ。同局の土曜ドラマとして2020年1月に放送された「心の傷を癒すということ」などで知られる桑原亮子さんのオリジナルで、共同脚本として、嶋田うれ葉さん、佃良太さんもチームに加わる。

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