舞いあがれ!:八木莉可子 貴司ファンの史子は当て書き? 「独特の透明感」がイメージにぴったり

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第91回の一場面(C)NHK
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NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第91回の一場面(C)NHK

 福原遥さん主演のNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(総合、月~土曜午前8時ほか)。第19週(2月6~10日放送)では、貴司(赤楚衛二さん)の短歌のファン、秋月史子(八木莉可子さん)が初登場した。朝ドラに初出演の八木さんは、今作の脚本を担当した桑原亮子さんが手がけたラジオドラマ「君を探す夏」(2020年)で主人公を演じていた。そんな縁もあり、史子は桑原さんが「八木さんをイメージして書いた」と、いわゆる“当て書き”に近い形で生み出されたキャラクターだ。史子について、また演じる八木さんについて、同作の制作統括・熊野律時(くまの・のりとき)さんに聞いた。

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 ◇窮屈そうにしている感じで史子の生きづらさを表現

 史子は、貴司の短歌に出合って心を打たれ、貴司のいる古本屋「デラシネ」を探し出し、会いに来る。苦労人で、自らも外見からは想像できない短歌を詠むという人物。

 熊野さんは、史子のキャスティングについて、「桑原さんから『実は八木さんをイメージしているんです』という話があり、八木さんは独特の透明感のある方ということは知っていたので、お願いしたい、と」とオファーした。

 「ご自身も本を読むのがお好きだったり、詩や短歌に興味があったりする。また、そもそも持っていらっしゃる資質も、史子のキャラクターに近いものがあり、非常にいいなと思った」とその判断が正しかったことを喜ぶ。

 史子は「さまざまな事情で生きづらさを抱えていて、短歌に自分の気持ちを吐き出していくことで、ある種の救いを求めている。それは第7週あたりで貴司が、抱えていた生きづらさを言葉にしていくことで救われる部分と重なるところがあるキャラクター」として描かれる。

 熊野さんは、「八木さんは背が高く(169センチ)、手足も長くて、デラシネのちゃぶ台のところで、なんとなく窮屈そうにしている感じや、ちょっとした体の動きが、生きていく中でうまく収まらない感じ、生きづらさを抱えている部分をとても上手に表現されていて、感心しました」と語る。

 そのため「八木さんは滋賀県出身なので、一番やりやすい形で設定するのもありだと、史子を滋賀県出身にした」と八木さんに寄せる形の設定を加え、「素直でストレートなお芝居で、とても新鮮な形で史子を演じていただけている。『まさに史子とはこういう人なんだ』と、本当に八木さんにお願いしてよかったと思っている」と手応えを感じている。

 ◇「奥様ですか?」と尋ねた史子の心理は?

 2月9日に放送された第90回で、史子は舞に「奥様ですか?」と尋ね、否定されると「よかった」と喜んでいるように見える。SNSでは「貴司を狙ってる?」と話題になった。

 その場面について、熊野さんは「短歌は、彼女が生きていく日々の中でとても重要なウエートを占めている。いままでずっと出口のなかった吐き出したい思いを抱え、貴司に出会って、短歌を認めてくれて、次、また楽しみにしていると言ってもらえた。彼女にとっては初めてそんな人が現れた。そこに強く思い入れを持ってしまい、そして自分の思いを真っすぐに投げてしまう人なので、悪気はないけれど、舞とはどういう関係なんだろうと、すごく気になってしまった」と説明する。

 そして「そんな特別な関係じゃないという返事でホッとしてしまう。それが彼女のピュアさ、素直さでもあり、切実なものを抱えているのでそうなってしまう。そんな不器用さを持っている」と史子を表現する。

 13日から始まる第20週では史子、貴司、舞の3人の思いが交錯する。3人の関係がどう進展するのか、ますます見逃せない。

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