最終週を残すのみとなったNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「らんまん」(総合、月~土曜午前8時ほか)。ドラマには、万太郎(神木隆之介さん)と寿恵子(浜辺美波さん)以外にも、愛すべきキャラクターが次々と登場したが、中でも前半は、厳しくも愛にあふれた万太郎の祖母・タキ(松坂慶子さん)、中盤は、万太郎を時に導き、時にたちはだかった田邊教授(要潤さん)の活躍が目立った。そこにもう一人加えるとするならば、万太郎の植物学仲間の一人、波多野(前原滉さん)の名前を挙げたい。波多野役の前原さんは、松坂さん、要さんと同じく2018年度後期の「まんぷく」に続く朝ドラ出演。10月からの再放送に向け、“たすき”をつないだと言えるのではないか。
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前原さんは1992年11月20日生まれの30歳。小栗旬さんや田中圭さん、坂口健太郎さん、手塚とおるさん、木村文乃さんらを擁するトライストーン・エンタテイメントに所属し、数々の映画やドラマに起用されてきた。
俳優としてにわかに注目を集め始めたのが、菅田将暉さんが主演し、2017年10月に公開された映画「あゝ、荒野」だ。エキセントリックな「自殺抑止研究会」の主宰・川崎敬三を演じると、時を同じくして、TBS系日曜劇場「陸王」で初めて連ドラレギュラー出演。以降も作品は途切れることはなく、今に至っている。
主演作もあるが、一般的には“若き名バイプレイヤー”の印象。「まんぷく」“塩軍団”の一人、小松原完二役や、2019年の連続ドラマ「あなたの番です-反撃編-」(日本テレビ系)の管理人・蓬田蓮太郎役をはじめ、好演してきたキャラクターは枚挙にいとまがない、と言えるくらい安心と信頼のおける“実力派”だ。
「らんまん」には、5月16日放送の第32回から登場。同回では万太郎が、東京大学植物学教室の門を叩く様子が描かれたが、万太郎を煙たがらず最初に快く受け入れたのが、前原さん演じる波多野だった。また、同じ姓の前原瑞樹さん扮(ふん)する藤丸との名コンビ、“画工上がり”の野宮(亀田さん)との共同研究や熱い絆もドラマを盛り上げ、出番は終盤まで続いた。
金と政治と人間関係が複雑に絡み合う、大学において“良心”であり続けた波多野。農科大学教授となってからも万太郎たちとの友情は続いたが、柔和でありながらしっかり者で、人として一本芯が通った“愛すべき波多野”は、改めて振り返ってみても、前原さんが演じてこそのキャラクターだったように思える。
ドラマ最終週の副題は「スエコザサ」。愛する植物のため、一途(いちず)に情熱的に突き進んできた万太郎と寿恵子の波瀾(はらん)万丈な人生が終幕へと向かう中、どの愛すべきキャラクターが再登場するのか。できればその中に、前原さん演じる波多野が含まれていることを期待したい。
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