下剋上球児:球児たちに見せる、鈴木亮平の“背中” 塚原あゆ子監督「まさに先生」

ドラマ「下剋上球児」で主演を務める俳優の鈴木亮平さん(C)TBS/撮影:ENO
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ドラマ「下剋上球児」で主演を務める俳優の鈴木亮平さん(C)TBS/撮影:ENO

 「日曜劇場」枠(TBS系、日曜午後9時)で放送中の鈴木亮平さん主演の連続ドラマ「下剋上球児」。10月22日放送の第2話のラストでは、鈴木さん演じる越山高校の教師・南雲が、「僕は本物の教師じゃありません」と教員免許を持っていないことを明かす衝撃の展開となり、SNSで話題になった。撮影現場での鈴木さんと野球部メンバーたちの関係について、「本当に先生と球児という感じ」と話す塚原あゆ子監督に話を聞いた。

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 ドラマは、教師の夢を捨てきれず32歳で大学に再入学して高校教師になった南雲(鈴木さん)が、廃部寸前の野球部の顧問になり、甲子園を目指す物語。菊地高弘さんの同名ノンフィクション(カンゼン)にインスピレーションを受け企画。登場人物や学校、あらすじはすべてフィクションとして描く。「最愛」(2021年)など同局の人気ドラマで知られる新井順子プロデューサーと塚原監督が手がける。

 ドラマが始まる前に、新井プロデューサーは「主人公の南雲は “こんな先生が居たらいいな”というキャラクターにしようと考えていて、鈴木さんはまさにイメージ通り!」とコメントしていた。そんな鈴木さん演じる南雲は、36歳で教員になり越山高校に赴任した、生徒や保護者からの人望も厚い社会科教師だ。

 「まさに学校の先生というか、監督という感じです」と鈴木さんの撮影現場での様子を明かした塚原監督。越山高校野球部の球児キャスト12人は、半年間に及ぶオーディションを経て選ばれたが、鈴木さんは“芝居の仕方”を直接語るのではなく、“見せていく”感じだという。

 「『このシーンの読み方、俺はこうだったよ』みたいなことを鈴木さんの目線で話してくださっているので、球児たちは『こういうふうに読めば良いんだ』と鈴木さんの背中を見ながら学んでいる。まさにこんな先生がいたらいいな、という感じです」と話す。

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 第2話のラストでは「折り入って話がある」と山住(黒木華さん)を呼び出し、教員免許を持っていないことを告白した南雲。大学4年生のときに教員採用試験に受かったものの、卒業するには単位が足りないことが分かり、教員免許や卒業証明書を偽造した。「それが監督を続けられない理由です。部員たちは強くなりたいと思い始めています。僕には彼らを指導する資格はありません」と話すのだった。

 「何も間違えない人はいない」と話した塚原監督は、「その罪の深さをどう償い、どう大人の背中を見せていくか?ということを描いていくときに、(鈴木さんは)毎日その“背中”を見せてくれている」と話す。

 撮影に入ったばかりの頃、鈴木さんは、野球部メンバーの名前を呼んで「よろしく」とあいさつしたり、まだ撮影になじみきれてない人とノックしたりしていたという。「相手が“俳優・鈴木亮平”だと緊張すると思うけれど、これがあるだけで、自分が知っている“野球部の監督”に見えたりすると思う。(野球部メンバーは)どれだけ助かったんだろうなと思いますし、部活っぽい積み重ねが画面にあふれている」と話す。

 そんな鈴木さんは、ドラマが始まる前に、今作の「本当の主演は生徒たち」と語っていた。「オーディションを経て選ばれた彼らは、結束がすごい。その子たちに存分にお芝居してもらえる環境を僕たちがどうやって作っていくかが今回のテーマ」とも話していたが、まさにその言葉を体現しているのではないだろうか。

 最後に、これまでたくさんの役者と仕事をしてきた塚原監督に、鈴木さんならではの魅力について訊ねてみた。

 「いつも放送前に(出演者たちに)完パケを渡すんですが、鈴木さんはオンエアでしかご覧にならないんです。そういう方は初めてでした。『役者さん』という感じではなく、『視聴者』としてご覧になりたいという意味合いなのかなと思って、すてきな姿勢だなと思います」。

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