伊藤沙莉さん主演の連続テレビ小説(朝ドラ)「虎に翼」(NHK総合、月~土曜午前8時ほか)で、佐田優三を演じている仲野太賀さん。朝ドラへの出演は、2013年度前期の「あまちゃん」以来、11年ぶりで、「当時は二十歳そこそこで、右も左も分からず、すごくがむしゃらにやっていたと思うのですが。それから10年以上がたち、いろいろな現場に参加させてもらって、今では心は熱く、頭は冷静に現場に向き合えているのかな」と明かす。その胸に秘めた役者業への熱き思いなどを語ってもらった。
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改めて、11年ぶりの朝ドラとなった「虎に翼」について、「脚本がとても面白いので、佐田優三という役に出会えて、本当に良かったです」とかみ締めるように話し、「見ている人の心に届くような、そういうお芝居をできたらいいなと思っていました」と明かす仲野さん。その裏には年々高まる役者業への情熱と、「いい俳優になりたい」という尽きない思いがある。
「もっともっといい芝居をしたい、という気持ちは高まる一方で、そのためには何が必要なのか、今の自分には何が足りないのか、日々ぼんやり考えたりするのですが……。でも、『これをすれば芝居がうまくなる』ってこと(方程式)はないので、とにかくやっていくしかないのかなって思っています」
いまや大河ドラマの主演(2026年放送の『豊臣兄弟!』)に選ばれるほどの、誰もが認める実力派俳優となった仲野さんだが、そのキャリアは決して順風満帆なわけではなかったし、当然、若いころは挫折も経験した。
「10代のころからこの仕事をやっているので、数えきれないくらいオーディションを受けて、たくさん落ちましたし。わりと受かっていた時期も、いただいた役がすごく小さかったり、せりふがなかったり。チャンスをもらったけど、つかめなかったり、そういう時間が長かった気はしています」
「そういう意味では鬱屈とした10代後半、20代前半を過ごしていた」と認める仲野さんだが、「でも志はあったし、情熱も絶えることはなかったので、本当にしがみつくように現場、現場で自分の可能性を試させてもらっていました」とも振り返る。
そんな時期に支えになったのが、自分が敬愛する先輩たちの言葉だ。
「一番心の支えになったのは、自分が尊敬する人たち、例えば宮藤官九郎さんや石井裕也さん、岩松了さんに仕事がないときでも、売れてなくても、『太賀は面白いよ』『お前は大丈夫だ』と言ってもらえたこと。みんなから注目を集めるのは難しかったけど、せめて自分が好きな人に『大丈夫だよ』と言ってもらえていた時間はすごく支えになっていましたし、うだつの上がらないやつの負のオーラというか、一目瞭然で『こいつ悩んでいる』って姿を含めて、面白がってもらえたのが、自分にとってすごくよかったのかなって思っています」
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