ばけばけ:トキの一喜一憂が楽しい第7回の注目度 「カラクリ人形」を超えた最高値72.2%は思わず本音が漏れた強烈な一言の場面

連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK
1 / 2
連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK

 高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第7回(10月7日放送)で、テレビの前の視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最高値は開始間もない午前8時2分の72.2%だった。

あなたにオススメ

 「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

 ◇最高値72.2%は「ただ、のろうけんね」の午前8時2分

 第7回は、早く結婚したいと焦るトキ(高石さん)の見合いがようやく実現するまでの話。周囲のちょっとした一言一言で目まぐるしく変化するトキの喜怒哀楽の変化が楽しい場面が多く、見どころの多い回だった。

 テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を調べた「注目度」は、序盤、中盤、終盤できれいに3回、“山”を作った。うち、2度はピークで大台の70%台に乗る高い注目度を示し、視聴者がクギヅケになっていた時間が長かった。

- 広告 -

 第7回の最高値は、最初の“山”のピークである午前8時2分の72.2%。前後の午前8時1分(71.1%)と午前8時3分(70.9%)も含め、3分間連続で70%台と注目度が高かった。

 午前8時1分台は、幼なじみの野津サワ(円井わんさん)とトキが松江市内を散策する場面。江戸時代に架けられた松江大橋のたもとで、難航した架橋工事のため、足軽源助が人柱として川底深くに生き埋めにされたという言い伝えを話題に、話は展開する。

 サワは「源助さんは橋の工事のために生き埋めにされた人柱でしょ。おトキは家の借金返すために婿をもらう人柱」と語り、「つまり同じいけにえだなあって。色街から抜け出すための」と語る。ちょっと、心に引っ掛かる場面だ。

 ちなみに「源助柱記念碑」が立っているほど、松江では有名な言い伝え。小泉八雲も人柱の伝説について「神々の国の首都」で触れている。

 午前8時2分台に入ると、場面は雨清水傳(堤真一さん)が経営する工場に移る。工場に着くやいなや、同僚のせん(安達木乃さん)に続き、チヨ(倉沢杏菜さん)の結婚も恋占い通りに決まったことを知らされるトキ。チヨが思わず「ごめん」と言うと、トキはチヨの方を振り返り、「なして謝るの、おめでとう」と明るい声で祝福する。

 笑っているかと思ったら、「ただ、のろうけんね」と一言、言い残すやいなや、顔の向きを変える。せんとチヨは「えっ」と声を出すと、再び向き直し「えっ、うそうそ。冗談、冗談」。トキも含め、その場の一同は笑いだすが、顔の向きを変えたトキの表情は真顔で固まっている。芝居のテンポもよく、最も注目度が高かったのも納得の場面だった。

 ◇見合いの場面も注目度が上昇 裃姿の司之介と勘右衛門にクギヅケ

 中盤の“山”のピークは午前8時7分の69.5%。絶望するトキを見かねた親戚の雨清水傳が、トキを励まそうと”ランデブー”に誘う場面だ。訪れる場所が、芸者の松風の幽霊話が伝わる清光院というのがしゃれている。ここも松江市内の有名なスポット。怖がりながらも、あちこちを見てはハシャグ、トキが見ているだけで楽しい。

 終盤の“山”は、午前8時11分(70.1%)から午前8時13分(70.5%)の3分間。ピークは午前8時12分の71.4%で、序盤の最高値にあと一歩届かなかった。

 この午前8時11分以降は、タエ(北川景子さん)のおかげで、ようやく決まったトキのお見合い当日の様子。ピークとなった午前8時12分台は、司之介(岡部たかしさん)と勘右衛門(小日向文世さん)がまず、見合い相手の中村守道(酒井大成さん)親子と対面するあたりだ。

 守道は顔を合わせた瞬間、まげを結い、裃(かみしも)姿で現れた司之介と勘右衛門に驚きを隠せない。その表情に、司之介がどうしたか尋ねると、守道は「お二人ともご立派なまげでありますなと」と苦笑い。勘右衛門が「跡取りになれば、このようになれるぞ」と言うと、守道の表情はひきつってしまう。

 状況が見えていない司之介の一挙手一投足が笑いを誘う。

 午前8時13分以降は、トキが茶を持って顔を見せに行く場面。緊張するトキに、タエは「お相手をキツネとムジナだと思うと、緊張しませんから」とアドバイス。トキは「キツネとムジナ……」とつぶやきながら、カラクリ人形のようなカチンコチンの不自然な動きで守道の元へ向かう。

 さあ、トキは守道に見初められるのか? 視聴者はトキの動きに視線がクギヅケのまま、エンディングを迎えたのだろう。注目度も最後まで大きく下がることはなかった。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

写真を見る全 2 枚

テレビ 最新記事