武内直子さんのマンガ「美少女戦士セーラームーン」の劇場版アニメ「美少女戦士セーラームーンCosmos」。最終章となる<シャドウ・ギャラクティカ編>を前後編の劇場版として制作し、前編が公開中で、後編が6月30日に公開された。「世界一初恋 ~プロポーズ編~」の監督、「妖怪ウォッチ シャドウサイド」の監督補佐などの高橋知也さんが監督を務める。高橋さんが「美少女戦士セーラームーン」の監督を務めるのは初めて。同作の大ファンという高橋監督は「ファンを裏切らない作品」を目指したという。高橋監督に制作の裏側を聞いた。
◇全く新しいものを作るのではなく
「美少女戦士セーラームーン」は、1992~97年に少女マンガ誌「なかよし」(講談社)で連載された人気マンガ。テレビアニメが1992~97年に放送された。コミックスの世界累計発行部数は約4600万部。2022年に連載開始30周年を迎えた。
高橋監督は、子供の頃から「美少女戦士セーラームーン」の原作、アニメが大好きで「ド世代」だったといい、特別な思いがあった。
「テレビアニメがはじまった頃から見ていましたし、妹が買っていた『なかよし』も読んでいました。家族旅行に行った時、駅の売店でコミックス第1巻を買って、みんなで読み回したことをよく覚えています。当時、セーラーマーキュリーが好きでした。アニメのエフェクト、水がきれいに動いているところが好きでした。アニメのエフェクト、光、建物などが気になっていました」
子供の頃からアニメの“動き”が好きで、なるべくしてアニメ監督になった高橋監督。長く愛されている「美少女戦士セーラームーン」の新作で監督を務めることになり、大切にしたのは「ファンの思いに応えること」だった。
「時代を超えて愛され続ける作品ですし、ファンの方の思いも時間をかけて結晶化し、どんどんきらめきを増して、強い思いになっています。原作ファン、アニメファン、これから『美少女戦士セーラームーン』の世界に入る人……と全ての人を裏切らないように、ファンの方と向き合いたかった。全く新しい『美少女戦士セーラームーン』を作るのではなく、原作とアニメの両方を経験した立場から作品を作ろうとしました」
◇うさぎの気持ちに寄り添える作品に
目指したのは「うさぎの気持ちに寄り添える作品」だった。
「原作で武内先生が表現したいことははっきりしています。全ての人に、あの頃のときめきを思い出していただけるように、そこを表現しようとしました。第3期<デス・バスターズ編>、第4期<デッド・ムーン編>は新キャラが増え、群像劇の要素も強いですが、第5期<シャドウ・ギャラクティカ編>は、第1期<ダーク・キングダム編>に立ち返るようなところもあります。うさぎの細かな心境の変化により向き合っています。いきなり恋人が消滅し、自分の記憶を封印してしまう。一度は絶望するも、しっかりと前を向きなおして、仲間、そして宇宙の平和をも救うことを決意する。上下の落差が激しいところもあるので、いかにうさぎの気持ちに寄り添い、気持ちの変化と共に物語を楽しんでいけるかが大切になってきます。そこを最もやらないといけないと思っていました。なので、これまでのシリーズとは雰囲気が違うところもあります」
「美少女戦士セーラームーンCosmos」は、冒頭からうさぎの目線で物語が進み、自然にうさぎの気持ちに寄り添うことができる。うさぎは、ドジで泣き虫だが、愛と正義の美少女戦士に変身し、活躍する。本来は普通の女の子だ。
「うさぎは、真の心の強さを持っている女の子です。銀河系最強の再生力を持つシルバームーン・クリスタルを持っていますが、世界を救うのはその力ではない。うさぎの真っすぐ突き進む強さが世界を救います。武内先生は、本当の強さを伝えたかったのではないか?とずっと思っていました。敵も丁寧に描くことで、うさぎ自身が持つ強さを見せていきたいいていこうとしましたと思っていました」
大人になり、改めて「美少女戦士セーラームーン」を見ると、うさぎの心の強さに胸を打たれるところもある。
「大人になると、うさぎのよさがより分かるところもあります。単純で泣き虫に見えるけど、何があっても最終的に自分の足で一歩踏み出していけるのが彼女の強さです。『私は被害者だ』『つらい』と言ってしまいたくなる状況ですが、それでは物語が進みません。それは人生も同じですよね。そういうことを伝えられるのは、アニメやマンガの魅力の一つだと思っています。作劇の原点に立ち返ろうとしたところもあります」
◇セーラースターライツ変身シーンの裏側
アニメの表現は日々進化しているが、1990年代に放送されたアニメ「美少女戦士セーラームーン」シリーズは今見ても新鮮に見える。令和の時代に「美少女戦士セーラームーン」をアニメ化するにあたり、高橋監督は改めて約30年前のアニメの“すごさ”を感じたという。
「30年前にできていたことが、今はできないこともあります。特に変身シーンはなどが、とてつもなくエポックメーキングな作品です。アニメ業界に入ってから、これはおかしい、無理だ……と感じるほど当時、大変なことをやっています。セルを重ねていくと、くすんでしまうため、そんなに枚数は重ねられないのですが、そのくすみすら計算して効果を重ねていっているんです。考えると、頭が爆発しそうになるくらいなります」
先輩たちの仕事が偉大であるが故に「完全に新しいものをやった方がいいのか。オマージュを強めにしたらいいのか。その中間では中途半端になってしまう。バランスが難しい」と悩んだ。
「美少女戦士セーラームーンCosmos」の見どころの一つであるセーラースターライツの変身シーンも悩みながら“らしさ”を表現しようとした。
「セーラースターライツは、黒沢守さんと一緒に考えました。90年代テレビアニメで、ディープ・サブマージ、マーキュリー・アクア・ラプソディー、ヴィーナス・ラブ・アンド・ビューティ・ショックなどの技バンクの原画を描かれた方です。セーラースターライツに変身するスリーライツは原作では女性で、90年代テレビアニメは普段は男性で、変身して女性になります。今回のアニメは原作に準拠しているため、女性であることを変身シーンでフィーチャーするとおかしくなります。女性になって、困惑することもありません。そこが『美少女戦士セーラームーン』のよさだと思いますし、星野たちは星野たちだから格好いい!と彼らのアイドルらしい格好よさを表現しようとしました。『美少女戦士セーラームーン』は本当に奥が深い作品です」
奥の深い「美少女戦士セーラームーン」の世界を表現するために細部までこだわった。その一つがセーラーギャラクシアの表現だ。
「僕は実家が寺なのですが、以前からセーラーギャラクシアはシルクロードの仏像技術がモチーフになっていると感じていました。武内先生は、諸星大二郎さんの『暗黒神話』の影響を受けていると聞いています。なので、今回、曼陀羅(まんだら)のモチーフを入れています。曼陀羅は花をモチーフとしたデザインなので、『美少女戦士セーラームーン』、セーラーギャラクシアに合いますし。キャラクターごとにモチーフや音で特徴を表現しようとしています」
後編の公開に向けて「さらに重い内容になっていきます。うさぎが最後に下す決断をぜひ見ていただきたいです」と語る高橋監督。スタッフが愛を込めて作り上げた最終章を最後まで見届けてほしい。
※高橋知也監督の「高」ははしごだか。
武内直子さんの人気マンガ「美少女戦士セーラームーン」の最終章を描く劇場版アニメ「美少女戦士セーラームーンCosmos」(高橋知也監督)の前編が公開中で、後編が6月30日に公開される。最終章は、謎のプリンセス・火球皇女(かきゅうこうじょ)役の水樹奈々さん、新たなセーラー戦士・セーラースターライツのセーラースターファイター/星野光(セイヤ・コウ)役の井上麻里奈さんら豪華声優陣が新キャラクターを演じることも話題になっている。水樹さんと井上さんは、子供の頃から「美少女戦士セーラームーン」の大ファンで、特別な思いで収録に臨んだという。水樹さんと井上さんに「美少女戦士セーラームーン」への愛、収録の裏側を語ってもらった。
◇好きだからこそプレッシャーも
--お二人の出演が発表された際のコメントから「美少女戦士セーラームーン」への熱い思いが伝わってきました。
井上さん ファンとしては、これが平均的な反応ですよ(笑い)。星野光の声は、声優・井上麻里奈ではない……とと自分自身が一番思っていながらも、オーディションでは、あふれんばかりの愛をただ込めることしかできませんでした。本当に光栄です。ただ、合格のご連絡をいただいても実感が湧かなかったのが事実でして、台本いただき、香盤表で自分の名前を見た瞬間、ようやく実感が湧いてきました。うれしかったんですけど、事実ではないような不思議な感覚だったんです。実感が湧かないというのが、率直な感想です。
水樹さん お話しを聞いた時、私でいいんだろうか!?とびっくりして、光栄で震えました。ファンの皆さんの愛が深い作品ですし、皆さんに納得していただけるそのキャラクターを作れるのか?と喜びと同時にプレッシャー、緊張が走りました。皆さんからの反響が怖くて最初は見られませんでした。
井上さん 怖いですよね!
水樹さん そうなんですよ!
--プレッシャーが大きい?
井上さん めちゃくちゃありました。発表された時、びっくりするくらい、たくさんの反響をいただき、皆様の愛情の深さに、さらに気後れしてしまいました。それだけ愛されたキャラなんだなと……と改めて目の当たりにすることによって、大きなプレッシャーになりました。愛が強い!と言われることもありますが、ファンはみんなそうなんです!
水樹さん 最初は反響を見るのが怖くて、皆さんから「すごく楽しみにしています!」「ぴったりですね!」「既に脳内で再生しています」という声をいただき、すごく応援、お祝いしていただけて、うれしかったです。
--子供の頃、セーラー戦士になりたかった?
水樹さん 私はセーラーヴィーナスになりたかった。「コードネームはセーラーV」から好きで。
井上さん 分かります!
水樹さん うさぎちゃんが世界を救うために立ち上がる前から、活動していたと思うと、より応援したくなります。普段はちょっとミーハーなところがあるけれど、実は男前なんですよね。仲間のためには命をかけて戦うという覚悟が強い。ちょっときゃぴきゃぴしたところもありますが、セーラー戦士たちのリーダーですし、誰よりも大人なのかもしれません。格好いいんです。推しです。
井上さん セーラージュピター推しです。まず、バラのピアスに一目ぼれしました。パワフルですが、家庭的で誰よりも乙女なところが可愛いです。推しは、まこちゃん(木野まこと)と(土萠)ほたるちゃんです。
水樹さん うんうん、分かる! 可愛いよね。
井上さん 影のあるキャラが気になるんです。ほたるちゃんは黒い瞳にひかれました。みんなが大好きなウラヌス、ネプチューンも好きですが、この二人は好きになるとかじゃなくても、二人の世界でいてほしいもので……。
水樹さん 分かる!
--子供の頃に好きなキャラは自分に似ていると言われることもあります。
井上さん 奈々さんはヴィーナスっぽいです。
水樹さん あんなに男前かな?
井上さん 男前ですよ!
--自身が演じるキャラクターの推しポイントは?
井上さん 星野はやっぱり格好いいです。本当に大切な人を探しながら、それでも今そばにいるうさぎちゃんというひかれる存在も守ろうとする。戦士として格好いいところです。
水樹さん 私はやっぱりメイクアップシーンですね。セーラー火球として戦い、彼女の感情が爆発します。普段は物静かで、奥ゆかしいプリンセスなんですけど、戦士として毅然(きぜん)と敵に立ち向かいます。愛が深く、強い部分をぜひ見ていただきたいです。
◇三石琴乃という特別な存在
--演じる際に意識したことは?
水樹さん 一ファンとして大きな愛があり、愛がある故にキャラクター作りにブレが生じてしまってはいけません。ファンとしての気持ちは一度置いておいて、純粋にシナリオ、原作を読んで、感じたものをキャラクターのフィルターを通してどう出していくのか?と冷静に考えました。火球は大切な人を失ったという過去がありますが、そこで悲しみに暮れるのではなく、踏み出していく強さ、愛の深さをキャラクターとしてしっかり落とし込めるようにしました。
井上さん 1990年代のアニメの星野さん、原作で描かれている星野さんは、同じ人物でありつつも、描かれているシーン数も違います。ファンの方が思い浮かべる星野さんは、いろいろなイメージがあり、少しずつ違う部分みたいなものをどうしようかな?と考えました。皆様が思い描く星野さんを少しでも取り入れることも模索しつつ、演じる時は集中するのですが、そのことを頭の片隅に置きながら演じました。
--これまでのアニメの星野とも違う?
井上さん 火球様という我々の大切なプリンセスを思いながらも、うさぎちゃんという新たなプリンセスに寄り添うシーンも描かれています。星野は、うさぎちゃんに対して特別な感情を抱きます。この気持ちは、私が三石さん(エターナルセーラームーン/月野うさぎ役の三石琴乃さん)に抱いている気持ちと一緒なんです。私にとって三石さんはプリンセスなんです。この方がプリンセスだと思って育ってきたので、その方を隣にして、特別な思いを抱くのは当然のことで、自分の状況ともリンクしたので、変に意識しないで演じることができました。
--三石さんはやっぱり特別な存在?
井上さん 三石さんの声を聞きながら演じさせていただき、耳元でうさぎちゃんの声を聞くだけで、自然と「プリンセス!」となります。
水樹さん 私は完成した映像を見て、感動しました。シリアスなストーリーなのですが「美少女戦士セーラームーン」ならではのコミカルな要素、日常シーンが随所にちりばめられていて、三石さんの演技にずっと鳥肌が立っていました。シリアスなシーンの中にあるコミカルなシーンも絶妙なバランスで演じていらっしゃって、本当にすごいんです。
◇変身への憧れ
--大人になって気付いた「美少女戦士セーラームーン」の魅力もある?
井上さん 子供の頃はうさぎちゃんたちがふざけ合ったり、楽しくはしゃぐ日常シーンや爽快に闘う場面が好きだったのですが、大人になって見直すと、当時とは見る場所や感じ方が全然違って、より戦士達の友情や絆に感情移入しました。「Moon Revenge」を聴いただけで涙が出てくる体になってしまいました。愛や絆、人とのつながりなど作品のストーリー、メッセージは壮大だけど、すごく素朴なところもあって戦士たちも完璧ではないからこそ、より身近に感じられて好きになるのでしょうね。
水樹さん より胸にグッとくるようになりました。子供の頃は、深いところまで読み込めていなくて、改めて見ると、こんなメッセージが込められていたんだ!と気付き、泣いてしまいます。 井上さん 大前提の話になってしまうのですが、変身にひかれます。子供の頃、日常生活を送っている中で、自分じゃない何かになれたらいいな……と非日常に憧れていました。普通の女の子がメイクアップで変身するという衝撃がすごく大きかったんです。自分ではないものに変身して、力を得て、大切なものを守るというのが、すごく魅力的ですし、憧れなんです。それは大人になっても同じです。
水樹さん ごくごく平凡な女の子が世界、未来も過去も全てを救う存在になれるっていうことが魅力的ですよね。子供の頃は、何をやっても大人にはかなわないけど、うさぎちゃんは特殊な力を手に入れて、たくさんの仲間を得て、苦境に立ち向かっていきます。すごく勇気をもらえるんです。大人になっても悩んだり、壁にぶつかったりすることがあります。うさぎちゃんたちが、どんなピンチの時も諦めず、立ち向かう姿を思い浮かべると、勇気がわいてきます。キラキラしたところに目がいきがちですが、私はド根性ものでもあると思っていて、そこが世代を超えて支持されているところなのかもしれません。
--人格形成に影響を与えた作品になっている?
水樹さん 本当にそうですね。
井上さん 「美少女戦士セーラームーン」に育てていただきました。
--劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」を見て感じたことは?
井上さん 一ファンとして完成版を見て「美少女戦士セーラームーン」の世界に自分が入れているという感動がありました。うさぎちゃんの孤独な戦いも描かれていて、感情移入しながら、泣きながら見ました。
水樹さん 自分が声を当てているシーンはどうしても素になって、ドキドキしました。それ以外は、一ファンとしてディープに作品の世界に入って、ますますうさぎちゃんラブ!頑張れ!という気持ちでした。
--最後にファンにメッセージをお願いします。
井上さん 「星野は初恋の相手」というお声をたくさんいただき、非常にプレッシャーを感じつつ、それでもファンの方に寄り添いたいという思いで、精いっぱい演じさせていただきました。少しでも皆様の好きな星野に近づけていたらうれしいです。うさぎちゃんの戦いを存分に見ていただいて、うさぎちゃんの選択を見守っていただければと思います。
水樹さん 先が見えず、不安を抱えながら生活する中で、今だからこそ皆さんに響くメッセージがたくさん込められています。分断されてしまった社会で、つながりの大切さを改めて感じています。うさぎちゃんは孤独な戦いに身を投じ、その中でもつながっている仲間がいるから、未来に向かって進んでいけます。一歩踏み出す勇気は、現実世界においてもとても大事なことです。そのメッセージをセーラー戦士たちの戦いを通じて感じていただけたらうれしいです。
※高橋知也監督の「高」ははしごだか。
武内直子さんの人気マンガ「美少女戦士セーラームーン」の最終章を描く劇場版アニメ「美少女戦士セーラームーンCosmos」(高橋知也監督)の前編が6月9日、後編が同30日に公開される。最終章は、新たなセーラー戦士のセーラースターライツの3人が登場する。3人は、人気アイドルグループ「スリーライツ」として活動しながら、月野うさぎたちに急接近する。セーラースターライツのセーラースターファイター/星野光(セイヤ・コウ)役の井上麻里奈さん、セーラースターメイカー/大気光(タイキ・コウ)役の早見沙織さん、セーラースターヒーラー/夜天光(ヤテン・コウ)役の佐倉綾音さんの豪華声優が、セーラースターライツを演じることも話題になっている。井上さん、早見さん、佐倉さんに、収録の裏側を聞いた。
◇3人共ぴったり! 大人になってごっこ遊びをするなら?
--自身が演じるキャラクターの印象は?
井上さん リーダーシップがありつつ、繊細な面も持っているキャラクターだと思いながら演じさせていただきました。ついて行きたくなるようなすてきな方なんです。
早見さん 麻里奈さんのお声が入って格好いいところが際立っていますよね。
佐倉さん 真面目、真っすぐなところを声から感じます。
井上さん 確かに真っすぐですよね。自分たちの目標とするもの、守らなければならないものに対して、一直線で、どんな手を使ってでも!という覚悟も持っています。頼りがいがあるし、信頼ができるんです。
早見さん 大気光は、冷静沈着で頭がよく、スマート、それでいて優しい。本当に格好いい要素を全て持ち合わせています。
井上さん 知的ですよね。(水野)亜美ちゃんにあんな悔しい顔をさせるくらいのキャラクターですから。沙織自身が知的で冷静沈着だから、より説得力が増しています。
佐倉さん 麻里奈さんは体育会系のイメージがあって、沙織さんは知的だし、ぴったりです。
早見さん 2人にアフレコ現場で会って、安心感がすごかったです。今も2人の言葉をいただいて、安心しました。ありがたいです。
佐倉さん 夜天光は、2人とは全然違うアイドル像で、ちょっとあざとくて、ひょうひょうとしています。やんちゃさも感じます。弟、末っ子のようなイメージです。
早見さん 可愛いんです!
井上さん キャスティングを知った時、綾音っぽい!と脳内で再生されました。小悪魔要素、甘えん坊なところもあって、私は綾音にその辺を感じていたので、似ているな!と想像できました。
佐倉さん (夜天光は)ちょっとひどいことを言うんですよね。
井上さん 綾音も毒舌な部分が……
佐倉さん ありますね(笑い)。
井上さん 素直でストレートだからね!
--「美少女戦士セーラームーン」の思い出は?
早見さん 子供の頃、テレビで見ていて、幼稚園でごっこ遊びをしていました。
井上さん 何役だったの?
早見さん 私は背が高いからまこちゃん(木野まこと)でした。
井上さん 大体、幼少期のセーラームーンごっこは、なかなか自分の好きな役はできないことが多いんです。
早見さん まこちゃんも好きでしたが、亜美ちゃん、(愛野)美奈子ちゃん志望で、なかなかできなかったんです。よくポニーテールにしていた記憶があります。
佐倉さん 私は今回、初めて作品に触れました。皆さんが幼少期にやったごっこ遊びを、今やりたくてしょうがなくて……。私が今、ごっこ遊びをするなら、何役ですか?
井上さん 今の綾音は髪が少し長いけど、ショートの時は亜美ちゃんかな?
佐倉さん 麻里奈さんは(火野)レイちゃん? 沙織さんは(海王)みちるさんのイメージですね。
--佐倉さんは子供の頃、再放送などで「美少女戦士セーラームーン」を見ていなかった?
佐倉さん 小さい頃は男の子向けのアニメばかり見て、男の子のまねをしていたんです。だから、中性的なセーラースターライツを演じられるのはすごくうれしいです。
◇この3人でよかった! 歌の収録も
--演じる際に意識したことは?
佐倉さん 「個性をバラけさせてほしい」というお話があり、アイドルのキャラ分けのように個性を意識しました。セーラー戦士でありつつ、アイドルとしてもすごい人気を誇っているので、その人気の礎はどこだろう?と考えました。(夜天光は)ちょこちょこ出る毒舌、ちょっとはみ出た行動もあるので、しっかり相手に対して失礼になるように意識しました。
井上さん はっきりそれぞれのキャラクターらしさを出すことを意識しました。全力で格好よくなれば……という意識で演じさせていただきました。
早見さん 3人のバランスは、変身シーンがイメージしやすいかもしれませんね。3人のピースがハマって、一つの変身シーンのようなところもありますし。変身シーンの雰囲気の違いを意識しました。熱量マックスではなく、大人の余裕があって、静かに燃えるものを意識して演じました。
--共演する中で感じたことは?
井上さん すごい2人ですからね!
佐倉さん お二人の名前を聞いた時、私がしっかりしなくても大丈夫だ!と思っていました。3人共、キャラクターの内面と合っていますし。
井上さん ある種、ストレートにやらせていただき、2人がバランスを取ってくださったんです。ありがたいことに、めちゃくちゃ甘えさせてもらいました。2人とも即対応して、ビシッとキャラにハメてくれるので、さすが!と改めて感じました。2人に甘えて、好き放題やらせていただきました。この3人でよかったです!
早見さん 2人と一緒だと、収録の時も取材の時も安心するんですね。
井上さん 気楽なんです。
早見さん 支え合っていますよね。
井上さん 歌の収録の時も2人の歌唱力がすごいので、どんな好きに歌っても大丈夫だ!という気持ちでした。
佐倉さん 麻里奈さんが最初に歌入れをしていて、柱ができていたので、すごく気楽でした。
◇変身シーンへの思い 男装して学生生活を送るとしたら?
--変身シーンの収録で意識したことは?
井上さん 何百回と勝手に言ってきたせりふをいよいよ公式で言えるとなると、うれしさがあり、緊張感もあり、いろいろな思いがありました。
早見さん 緊張しました。2人の声を聞きながらできたことが大きくて、熱量が一緒になったんです。
佐倉さん 「美少女戦士セーラームーン」の変身シーンを見るのが初めてで、理想がいっぱい詰め込まれていて、夢がありますし、憧れました。私は子供の頃、ごっこ遊びをしてこなかったので、一番苦戦しました。「美少女戦士セーラームーン」の変身の口上はアクセントが独特なんです。全然うまくできなくて……。
井上さん 例えば「ムーンプリズムパワーメイクアップ」だったら、「パワー」のところにイントネーションを置きたくなるけど、そうではないんですね。「メイクアップ」で上がります。太陽系のセーラー戦士は、割としっかり伸ばします。私は、ずっとそれを聞いて育ってきたので、当たり前になっていますが……。
早見さん そうなんです。イントネーションに山がないんです。改めて意識すると新鮮な感じでした。
佐倉さん 2人がスムーズにやっているのを見て、待っている時、恐怖にさいなまれていました。
井上さん セーラースターライツは別の銀河の戦士ですし、少しシャープにしようと、我々なりの個性を少し出させていただきました。
--3人が演じるのは男装をし、普段は男性として活動しているキャラクターですが、男装して学生生活を送るとしたら、どうしますか?
井上さん 学生時代に何度妄想したことか! そういう少女マンガが大好きだから、憧れます。でも、何をするんだろう? プールは入れないですよね? 寮生活をしたいですね。
佐倉さん 私は小さい時、一人称が「僕」だったんです。中学生までスカートを履いたこともなくて、髪も短く、男の子と間違えられることを期待していました。だから私は男装していたんです。でも、心のどこかで、キラキラしたものに憧れがあったので、隠れて魔女っ子アニメなどを見ていました。
早見さん 男の子として女の子に接してもらっていたけど、どこかで種明かしをしなきゃいけない瞬間を楽しみたいです。バレるかも!?とドキドキしたり(笑い)。着替えの時、さらしを見られて「この布は?」となって「包帯だよ」と言ったり……。
井上さん 共学バージョン! 考えたことがなかったです。女の子に告白されたりするんですね。男子校バージョンは、男子校のミスコンに出るところまでは妄想していたんですけど(笑い)。
演技への思いを語り合ったり、冗談を言い合ったり……と3人のコンビネーションは抜群のようだ。劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」での活躍が期待される。
※高橋知也監督の「高」ははしごだか。
武内直子さんの人気マンガが原作のアニメ「美少女戦士セーラームーン」シリーズの最終章となる劇場版アニメ「美少女戦士セーラームーンCosmos」(高橋知也監督)の前編の公開を記念した舞台あいさつが6月10日、丸の内TOEI(東京都中央区)で開催され、エターナルセーラームーン/月野うさぎ役の三石琴乃さん、セーラーギャラクシア役の林原めぐみさんら声優陣が登場した。林原さんは、最終章の“最強の敵”セーラーギャラクシアをイメージして、赤いカラーコンタクト、金のドレスというゴージャスな衣装で登壇した。
林原さんは「美少女戦士セーラームーン」に出演することを「まさかの最後の敵になれて本当に幸せ! 存分に楽しませていただきました」と喜び、この日の衣装について「威圧しようと思って(笑い)」と説明した。
“最強の敵”を演じる中で「気が付いたら後ろに立っているような背筋が凍るような怖さ」を表現したといい、セーラー火球/火球皇女役の水樹奈々さんは、林原さんの熱演に「勝てない!」と感じたことを明かした。
舞台あいさつには、セーラースターメイカー大気光の早見沙織さん、セーラースターヒーラー/夜天光役の佐倉綾音さん、高橋監督も登壇した。
「美少女戦士セーラームーン」は、1992~97年に少女マンガ誌「なかよし」(講談社)で連載された人気マンガで、テレビアニメが1992~97年に放送された。ドジで泣き虫な月野うさぎが、愛と正義の美少女戦士に変身し、仲間の戦士たちと活躍する姿を描いている。2012年に始動した20周年プロジェクトの一環として新作アニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」が制作され、2014、2015年に第1、2期が配信されたほか、テレビアニメも放送。2016年に第3期が放送された。第4期「デッド・ムーン編」が前後編の劇場版「美少女戦士セーラームーン Eternal」として2021年に公開された。
最新作は、最終章となる「シャドウ・ギャラクティカ編」を前後編の劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」として制作。新たなる敵、シャドウ・ギャラクティカが出現し、セーラー戦士たちが最後の戦いに挑む。前編が6月9日に公開され、後編が同30日に公開される。
武内直子さんの人気マンガが原作のアニメ「美少女戦士セーラームーン」シリーズの新作劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」の前編が1月8日、後編が2月11日に公開される。1991年に原作の連載がスタートしてから約30年にわたり、ファンを魅了し続けている名作。アニメでセーラームーン/月野うさぎを演じる声優の三石琴乃さんの代表作でもある。三石さんに「美少女戦士セーラームーン」への思いを聞いた。
◇うさぎを演じていなかったら今の私はここにいない
「美少女戦士セーラームーン」は、1991~97年に少女マンガ誌「なかよし」(講談社)で連載された人気マンガが原作で、テレビアニメも1992~97年に放送された。ドジで泣き虫な月野うさぎが、愛と正義の美少女戦士に変身し、仲間の戦士たちと活躍する姿が描かれている。
うさぎを演じる三石さんは、さまざまな作品にも出演してきた超人気声優だが、「美少女戦士セーラームーン」は、初めての主役だった。それだけに特別な思いがある。
「大きな作品で大きな役。月野うさぎちゃんを演じていなかったら今の私はここにいない。ほかの役との出会いもあったかどうかも分かりません。大切な役です。『美少女戦士セーラームーン』がここまで長く愛されているのは、私の力だけではないですし、作品として多くの人の心に刻まれているからだと思います」
約30年にわたり、うさぎを演じる中で、「美少女戦士セーラームーン」の魅力をどのように感じているのだろうか?
「夢、恋、変身、戦いなどたくさんの宝石が詰まった宝石箱の3段重ねのようです。女の子らしく……という枠から飛び出しているところはセンセーショナルでした。うさぎちゃんは、主人公だけど、最初は戦士としての自覚が足りません。怖い!と逃げてしまうところもあります。勉強もできないし、運動も苦手な女の子が変身してセーラームーンになる姿は目が離せません。子供たちは、絶対的味方に感じてくれたのかもしれません」
「美少女戦士セーラームーン」は1997年にいったん、連載、放送は終了したが、2012年に始動した20周年プロジェクトの一環として「美少女戦士セーラームーンCrystal」が制作されることが発表された。「Crystal」の第1、2期が2014~15年に配信され、第3期が2016年に放送された。スタッフ、キャストは新しいアニメを作ろうとしている、一方で変わらないものもある。
「1990年代にテレビシリーズが終わって、新たに動き出すとは、夢にも思っていませんでした。『Crystal』は、原作準拠のアニメです。1990年代のアニメをリスペクトしつつ、新しいものを作ろうとしています。ただ、うさぎちゃんは、ドジでおっちょこちょいで泣き虫なところは変わりません。そこは変えないように気をつけています」
◇大きなスクリーンで見るのはやっぱり特別
劇場版アニメ「Eternal」は、第4期「デッド・ムーン編」が前後編で描かれる。第3期「デス・バスターズ編」に引き続き、今千秋さんが監督を務める。「美少女戦士セーラームーン」「美少女戦士セーラームーンR」などのキャラクターデザイン、作画監督を担当してきた只野和子さんがキャラクターデザインを手がけ、原作者の武内さんが監修する。「デッド・ムーン編」は、エリオス、アマゾネス・カルテット、アマゾン・トリオなどの人気キャラクターが登場する人気シリーズだ。
「4年ほど前に第3期の収録を終え、その直後は第4期のことは分からなかったんです。しばらくしてから、劇場版になるというお話があり、劇場版!?と驚きました。セーラー戦士たちが大きなスクリーンで活躍する姿を見たい気持ちもありますが、第4期はボリュームがあるので、映画という決められた尺でどう描かれるのだろう?と想像できなかったんです。『美少女戦士セーラームーン』は、日常生活の何気ない会話も魅力的で、そこで彼女たちの個性も描かれるので」
「Eternal」では、少女たちの日常もしっかり描かれている。
「うさぎちゃんが小さくなり、ちびうさちゃんが大きくなるところが可愛いですよね。小さくなったうさぎちゃんがダボダボの服を着て、まもちゃん(地場衛)としっとりした会話をするところが可愛いですし、大きくなったちびうさちゃんとダイアナの関係もほほ笑ましいですね」
前編のアフレコは2019年10月に行われた。後編のコロナ禍のアフレコは、密を避けて、最少人数で行われているが、コロナ禍前だったこともあり、セーラー戦士たちがそろってアフレコに臨むことができた。
「久しぶりにみんなで集まったので、元気だった?と声を掛け合うところから始まりました。みんなが集まることが、うれしくて、それぞれが身につけているセーラームーングッズで盛り上がっていました。今、大人向けのセーラームーングッズがたくさんあって、どれも可愛いんです。片っ端からゲットしています。普段は身につけても自慢する機会はないですし、みんなで集まる時は、見て!見てこれ!と見せ合ったりしています(笑い)。アフレコでは、第4期ということもあり、みんな自分の役をしっかり演じていました」
「美少女戦士セーラームーン」の劇場版は名作ぞろいだ。昨年12月にNHKが実施した企画「全美少女戦士セーラームーンアニメ大投票」のエピソード部門で、1993年公開の「劇場版 美少女戦士セーラームーンR」が首位に選ばれたことも記憶に新しい。「Eternal」が劇場版も三石さんらキャスト、スタッフ、そしてファンにとって特別な作品になりそうだ。
「大きなスクリーンで見るのはやっぱり特別ですね。『美少女戦士セーラームーン』を好きな人と一緒に見られるところも特別です。セーラー戦士たちそれぞれの表情のアップがすてきで、額に入れたいくらいです。前編は、ちびうさちゃんとエリオスのドキドキする淡い恋、4戦士の葛藤が描かれています。あれ、うさぎちゃんは?となるかもしれませんが、後編で大活躍します。まもちゃんの超格好いいシーンもあります。ぜひ、前後編合わせて見てください!」
「美少女戦士セーラームーン」の魅力が凝縮された「Eternal」は、ファンにとって大切な作品になるはずだ。「美少女戦士セーラームーン」は終わらない。これから先も40、50年……と愛され続けていくのだろう。