ピース又吉:奇人・家定が「可愛くて…」 初大河で“慣例”に戸惑い 現場に綾部の写真…

NHKの大河ドラマ「西郷どん」に徳川家定役で出演する又吉直樹さん (C)NHK
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NHKの大河ドラマ「西郷どん」に徳川家定役で出演する又吉直樹さん (C)NHK

 俳優の鈴木亮平さん主演のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」。4日放送の第9回から、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さん演じる徳川家定が登場する。又吉さんは今回が大河ドラマ初出演。現場では「みんなから『家定さん』って呼ばれていて、一回『お殿様』ってスタッフに呼ばれたときは変な気がしましたね。そういう経験もなかったので、こういう感じ、こういうルールでやっているんだなあ」と慣例に多少、戸惑いつつ、初大河を楽しんでいる様子だ。又吉さんに、役への思いや相方の綾部祐二さんを巡る撮影エピソードなどを聞いた。

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 ◇一般的なイメージは奇行がある“愚鈍な殿“”だが…

 又吉さんが演じる家定は、江戸幕府十三代将軍で、北川景子さん演じる於一(篤姫)の夫となる。「ぼけた発言や奇行がある“愚鈍な殿“”で、子宝も望めない」といううわさもある人物で、2008年の大河ドラマ「篤姫」では、堺雅人さんが家定役を務め話題を集めた。

 「イメージ的には病弱で変わっていて、不思議な行動をとるっていう、奇人っていう印象があるんですけど……。脚本を読んでみると、もちろんそういう部分はありつつ、根底には優しさのようなものがあって、優しさが家定という人間を動かしているっていう(脚)本になっていて。実は優しさや思いやりにすごく固執しているってところが『西郷どん』の家定の大きな特徴なのかな」と役への印象を明かす。

 また「お芝居の経験はほとんどないので、すごく緊張感を持ってやっている」と話す又吉さん。家定については「すごく可愛くて」と愛着を持ち、「いいやつだな、可愛らしい人物だなって、やっていると笑ってしまうときがある。お殿様のことをそんなふうに言ってはダメなんでしょうけど、人間としてのすごく可愛らしさが出ているなって」とほほ笑む。

 普段は芸人として他者を笑わすことが仕事の又吉さんだが、「家定って人は、決して笑わそうとはやっていない。一生懸命やった結果、それが普通ではないように見えたりする」と理解を示し、「だから、(変わり者の部分を)実はやり過ぎないほうがいいのかなって僕は思ったりもしているんです」と演技プランを語った。

 ◇篤姫・北川景子と近距離で目を合わせるシーンも!

 家定は将軍継嗣を巡る権力争いの中、一橋慶喜を推す島津斉彬の養女・篤姫と結婚。姫の優しさにやがて心を開き、江戸城内で穏やかな日々を送るが、病に倒れてしまう。北川さん演じる篤姫とは心温まるシーンも用意されているが、「篤姫さんを迎えてからの家定の感情、言葉とかは、可愛らしいんですけど、その先にある展開が(史実として)分かっているから悲しみもあるというか。そこは家定さんらしいのかなって、思いやる感じがちょっとずつ出ている」としみじみ。

 北川さんの印象は、「脚本の中でも篤姫は強いし、パワーがあるんですけど、北川さんご自身もかなり力強い」といい、「今までいろいろな女優さんと接してきて、皆さん優しかったのですが、北川さんの雰囲気はまた違うというか、不思議な方ですね。具体的にいうと、自分が北川景子だってことを周りが思っているより分かっていないんじゃないかって。別に僕に話しかけなくてもいいというか(笑い)、そういう“壁”がないところも、篤姫と重なる」とどこかうれしそうだ。

 「お互い関西の出身なので、そういう話もしますし。ドラマの中での関係性としては、家定はお殿様なんですけど、篤姫のことがすごく好きで、ちょっとたじろいでもいる。この感覚は自分にも近い。近距離で目を合わせるシーンもあるんですけど、そこは意識をしなくても戸惑えるというか。この脚本にはウソはないなって」と共演シーンを振り返った。

 ◇そうそうたる役者の中で一人場違い?「ちょっと怖かった」

 そんな又吉さんにとって、そうそうたる役者が居並ぶ大河ドラマの現場は新鮮さと戸惑いの連続だという。「失礼がないようにと思って、せりふを全部入れてリハーサルを迎えたんですけど、本読みの段階からみんな和服を着ていて。本番の歩き方や作法をその場でできるようにと。僕だけラフな格好していて、誰からも何も聞かされていないから、ちょっと怖かったですね、他の人に聞いたら、そんな決まりはないってことだったんですけど……」と苦笑いを浮かべる。

 さらに「本番に映らないところに道具とか置いてあるじゃないですか。そこにある人形に誰かの顔写真を貼っていて、近づいていってよく見たら、その写真は(相方の)綾部(祐二さん)だったんですよ!」と明かすと、「たぶん僕をリラックスさせようとしてスタッフさんがやってくださったみたいなんですけど、かなり昔の、髪が短い頃の綾部だったので気づけなくて。けっこう長い時間、殿様の格好して腕を組んで『なんなんだろう』って見ていたので、僕が怒っていると思ったかも」とエピソードを披露し笑っていた。

 綾部さん本人は現在、米ニューヨークで活動中と報じられている。又吉さんによると大河ドラマに出演することをいまだ伝えていないといい、「(NYの)どこにいるのかもよく分かりませんから(笑い)。どうしても自慢みたいになってしまうので、伝えてはいないです。うらやましがるとは思いますね」と話していた。

 「西郷どん」は、明治維新150年となる2018年放送の大河ドラマ57作目。薩摩の貧しい下級武士の家に生まれた西郷隆盛(吉之助、鈴木さん)の愚直な姿にカリスマ藩主・島津斉彬(渡辺謙さん)が目を留める。斉彬の密命を担い、西郷は江戸へ京都へと奔走する。やがて勝海舟、坂本龍馬ら盟友と出会い、革命家へと覚醒し、明治維新を成し遂げていく……という内容。NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。

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