木村文乃:「#家族募集します」シングルマザー役は“あてがき” 「自分の中で挑戦」

連続ドラマ「#家族募集します」に出演する女優の木村文乃さん(C)TBS
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連続ドラマ「#家族募集します」に出演する女優の木村文乃さん(C)TBS

 シングルファーザー&マザーたちがひとつ屋根の下で子育てをする新しい“家族のカタチ”を描くドラマ「#家族募集します」(TBS系、金曜午後10時)。ドラマを手がける佐久間晃嗣プロデューサーの友人のシングルマザーの実体験から企画された作品で、木村文乃さん演じる礼は、その友人をモデルにしたキャラクターだ。自身の母親もシングルマザーで、「母が女手一つで育ててくれた」と話す木村さんは、「実体験があるからこそできる表現ってある」と話す。木村さんに作品への思いを聞いた。

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 ◇ちょっと堅物な礼 木村文乃をあてがき

 ドラマは、「山田太郎ものがたり」や「カンナさーん!」などを手掛けた俳優で脚本家のマギーさんのオリジナル作。木村さん演じるちょっと堅物な小学校教師のシングルマザーの桃田礼をはじめ、妻を亡くしシングルファーザーになった赤城俊平(重岡大毅さん)、俊平の幼なじみの小山内蒼介(仲野太賀さん)、夢を追い続ける子持ちシンガー・ソングライターの横瀬めいく(岸井ゆきのさん)という性格も価値観もバラバラな大人4人、子供3人が一つ屋根の下で暮らす姿を描く。

 2018年に日曜劇場「99.9-刑事専門弁護士- SEASONII」(同局系)でマギーさんと共演した木村さん。元々マギーさんが紡ぐ物語が好きで、いつかはマギーさんの作品に出演したいと願っていたといい、「『こんなに早く呼んでいただけるなんて』という気持ちが大きくて。迷わずに『やりたいです』というふうにお伝えしました」とオファー時を振り返る。

 木村さん演じる礼は、5歳の娘・雫(宮崎莉里沙ちゃん)を女手一つで育てている。シングルであることを言い訳にしたくないという思いが強く、親にも誰にも頼らず自分一人で子育てを完璧にこなすと決めている。腹が立ったときには、6秒間、怒りがおさまるのを待つ“アンガーマネージメント”を実践している。

 そんな完璧主義である礼は、普通に演じると“堅い人”になってしまう。「そういう役柄でありながらも、ちょっとチャーミングなところ、大人の女性の可愛さを出せる方は誰か?」と考えたという佐久間さんは、「『木村さんしかいない!』と思って。実は最初から勝手にあてがきをして(笑い)、作っていったんです」と裏側を明かす。木村さんの出演が決まった際は、マギーさんとともに大喜びしたという。

 劇中では、礼が「極力人を頼りたくないので」と話す場面も登場するが、木村さんは「私も母が女手一つで育ててくれたので、『たしかにそういう感じだったな』と思うところがあって。自分の過去をマギーさんに見られたんじゃないかという気持ちもありながら……(笑い)」と話す。

 木村さんの記憶の中には、「父親がいないからって、寂しい思いをさせたくなかった」という母の言葉が残っているといい、「本当にすごく言われてきたので、『そうだよね』と自然に思えるところがありました」と明かす。「(礼は)見てくださる方に近いんじゃないかなと思うので、実体験があるからこそ、うそがなく伝えることができることがとてもありがたいなと思いました」と続ける。

 ◇礼を演じることは「一個の挑戦」

 礼のモデルとなった、佐久間さんの友人であるシングルマザーと実際に会って話をしたという木村さん。「先生なので、正しいことや『こうあるべき』というアドバイスを言わなきゃいけない。たとえば『子どもの話を聞いてあげてください』など、自分が人に言っていることを、自分の子どもにできているかっていったらできていない。子育て自体も正解がないから、いつも自分の中で葛藤している、ということをおっしゃっていて。それが台本にも反映されています」と明かす。

 礼のキャラクターは、木村さんをイメージして作られていった。今回の脚本を読み、木村さん自身、「たぶん、マギーさんは私の自宅に監視カメラをつけた(笑い)」と感じるほどだったという。「問題に対しての、答えまでの道のりが、『うわ、(自分も)通った』って思ったんですよね。こういう状況になった人たちが、当たり前に進む道を進んできたんだなと。キャラクターとして、いい意味で普通なんだろうな」と話す。

 マギーさんがイメージしている礼は、「一人で大丈夫」というような、クールで凛としたタイプ。しかし、あまりつんつんしてしまうと、視聴者の好き嫌いがはっきりわかれてしまうと考えた木村さんは、「芯はブレず、芯にまとわせているものをちょっと変えられたら良いなと思っていて。自分の中でこれは一個の挑戦でもあって……」と思いを明かす。

 具体的には、優しい面を見せていくことを意識している。「バリアを張るんじゃなくて、『ある程度、柔らかさがないと物事はうまくいかないよね』というところに繋げていけたらいいなと。もうちょっと優しくできたら、礼のことを好きになってくれる人とか、『リアルにいないよ、そんな(礼のような)お母さん』と思いつつも、『なんかいいよね』って言ってもらえるお芝居にたどりつけるんじゃないかなと思っていて。それが共感につながるんだろうなって」と話す。

 ◇コロナ禍をきっかけに変化 「“やるべき”よりも…」

 重岡さんが盛り上げてくれるという撮影現場。「みんな“ひまわり”のように明るくて。子どもたちも明るいし、毎日ひまわり畑に行っている感じです(笑い)」と笑顔を見せた木村さん。

 忙しい日々の気分転換法は、運動だ。時間ができると、ゴルフやピラティス、歩くことを楽しんでおり、「休みの日はそのどれかか、もしくは全部一日につめたい(笑い)。家にいても、結局なんだかんだやることを探して動いてちゃっていて」とアクティブに過ごしている。

 コロナ禍をきっかけに、自分の体の声を聞けるようになった。これまでは自身のメンテナンスは二の次だったというが、「状況によって対応していっちゃうタイプなので、それが自分を苦しめていたんだなと感じることが増えて……」と告白。自分と向き合う時間が増えたことで、「本当に好きなもの、やりたいこと、かなえたいことを一個一個明確にして、『やるべき』よりも『心が望んでいます』ということをやろうというふうになりました」と変化を明かす。

 最後に、木村さんは「こんな状況なので、頑張っていない人っていないと思うんですね。『みんな同じ状況だから』と言ってしまいがちですけど、それぞれにつらさとかちがうと思うんです。でもきっと、家に帰ったら言ってほしい言葉って『おかえり』だし、行くときには『いってらっしゃい』。日常にほしかった言葉や、“あったかさ”がつまった作品になっているので、楽しみにしていただけたらありがたいです」と呼びかけた。

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