放課後カルテ
第7話 お前が学校に来ようが来まいがどうでもいい
11月23日(土)放送分
1月19日にスタートする2020年のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」で、主人公の明智光秀を演じる俳優の長谷川博己さん。光秀は「本能寺の変」を起こし、主君・織田信長を自害させた人物としてあまりにも有名だが、今回は史料がほとんど残っていない20代の青春時代から描かれるのが特徴だ。長谷川さん自身、役を演じるにあたり、「史料や本を読んだりもした」としながらも、「調べれば調べるほど分からなくなったというのが正直なところ」と素直に明かす。その上で「見たもの読んだもの、すべてを忘れて、それらを一切考えない“無の状態で”、『麒麟がくる』の中での明智光秀像を作りたい」と意気込む。長谷川さんに話を聞いた。
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「麒麟がくる」は安土桃山時代の武将・明智光秀が主人公。1991年放送の「太平記」を手がけた池端俊策さんによるオリジナル脚本となる。“戦国もの”の大河ドラマとしては2017年の「おんな城主 直虎」以来、3年ぶりで、長谷川さんは半年以上が経過した撮影の日々で、「皆さんが期待しているような戦国時代の大河ドラマが作れているんじゃないか」と手応えを感じている様子。加えて「王道でありながら、すごく新しさもあって、同時代性も感じるような作品」という位置付けで、「新しい2020年の、令和の戦国大河ドラマを作っていける喜びもある」と笑顔を見せる。
「麒麟がくる」における明智光秀は、私怨により本能寺で織田信長を討った謀反人のイメージを覆す、勇猛果敢かつ理知的な天才。生みの親は当然、脚本を手掛けた池端さんで、長谷川さんは池端さんから「みんなが知っている『本能寺の変』を起こした光秀から逆算して考えないでほしい」という言葉をもらったという。
道しるべとなる脚本の印象だが、長谷川さんは「本当に繊細で一筋縄ではいかない。行間の微妙な表現でいろいろと変わるもの。色合いが淡くてあいまいで、白黒はっきりしているような感じではないのに、ものすごく物語が流れている。僕は読んでいてすごく池端先生の筆が躍っているような感じがする」と話す。
また長谷川さんによると、脚本の中で光秀は「とにかく黙っていることが多い」といい、「『……』がものすごく多いんですね、斎藤道三に何か言われても『……』、帰蝶に何か言われても『…...』。そこをやはり僕が埋めなくてはいけないし、あまり分かりやすくしてはいけない気がしていて、そこが楽しくもあり、難しい」といった苦労も。さらに「選択を強いられることも多い光秀なのですが、そういうときも『……』なんで(苦笑い)。ただ、池端先生に、光秀は瞬発的にものごとを決めていた可能性もあると伺ってからは、それが面白くもなってきていて、現場では相手が演じている姿を見て、こちらはどのような表現にするか、ライブ感覚を大事にするようにしています」と語った。
改めて「麒麟がくる」を「同時代性も感じるような作品」と位置づける理由を聞くと、長谷川さんは「光秀というのは、今の時代に必要な、新しいヒーローなのかなって思うんです」と回答。
「ヒーローという言葉が合っているのか、そこに違和感をおぼえる人もいるとは思うのですが、光秀は上司に対してズバッと言うときは言うし、知性と品性で突き進むという意味では、今の世の中、『こういう人がいたらいいな』と思えるような人物。いろいろなことを強いられる光秀ですが、当然それは彼が“できる人間”だから。命令を受けて、敵国に探りに行ったり、そういったことを経験したからこそ、知将と呼ばれるような人物になったのかなって気がするんです」と持論を展開する。
さらには「光秀の根底には美濃という国を守りたい、自分の血筋を大事にしたいという気持ちがあって、そういうものって今も同じじゃないですか。今の人間でも普通に共感でき、感情移入できますよね」と実感を込めると、「僕自身もこの『麒麟がくる』で、今の時代に通じる明智光秀像を作り上げることができたらいいなと思っています」と改めて意気込んでいた。
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