俳優の長谷川博己さん主演のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(総合、日曜午後8時ほか)第36回「訣別(けつべつ)」が12月13日に放送された。同回の終盤、将軍・義昭(滝藤賢一さん)が「信長の命運は尽きた。信玄と共に戦う」と宣言。光秀(長谷川さん)との決別が決定的となった。
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決別シーンは終盤に訪れた。信長(染谷将太さん)からの和解の気持ちが込められた白鳥を義昭の元への運ぶ光秀。しかし、義昭は「遅かったと……」とつぶやき、「信長の命運は尽きた。信玄と共に戦う」と宣言してしまう。その場で光秀は、義昭に仕える三淵(谷原章介さん)から、幕府と共に信長を討ってほしいと協力を求められるが、涙ながらに「それは、できませぬ!」とはねつけ、「ご免!」と去ってしまう……。
義昭役の滝藤さんは、「十兵衛(光秀)との関係は切りたくはなかった。(片岡鶴太郎さん演じる)摂津を追放した今となれば、味方は三淵と光秀しかいない、というのもあるけれど、それ以上に幕臣として、一人の武士として十兵衛のことを信頼していたし、大好きだったのだと思う」と役の気持ちを代弁する。
ただ「十兵衛が泣きながら言った『それは、できませぬ!』という言葉を聞いて、義昭はもう何も言えなくなった。十兵衛の覚悟は揺るがないと分かったのでしょう。演じていても、長谷川さんの『それは、できませぬ!』は、魂の叫びだと感じました。情熱や葛藤や悲しみや怒りがぐちゃぐちゃになった感情がビシバシ伝わってきました。最高の味方だった男が、最高の敵になった。麒麟がくる世を作りたいというゴールは同じかもしれないけれど、お互いの行くべき道は違ったということです。それを受け入れた義昭は、最後は穏やかな気持ちになった……。最高の別れにしたかったのでしょうね」と振り返った。
第36回は、三条西実澄(石橋蓮司さん)の助力で、光秀は帝(坂東玉三郎さん)と言葉を交わす。一方、義昭ら幕府は、信長を前面に押し出し、大和の松永久秀(吉田鋼太郎さん)を鎮圧しようとしていた。藤吉郎(佐々木蔵之介さん)は、いま本当に戦うべきは松永ではなく、朝倉と浅井であると信長の曖昧な立場を批判。大和に気を取られて美濃が手薄になったところで、義昭は朝倉たちに美濃を攻めさせるつもりだ、と声を荒らげる……という展開だった。
「麒麟がくる」は59作目の大河ドラマ。1991年放送の「太平記」などで知られる池端俊策さんのオリジナル作。ドラマでは謎めいた明智光秀の前半生にも光を当て、戦国の英傑たちの運命も描く、エネルギッシュな群像劇となっている。
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