ばけばけ:トキの“決断”に視聴者も心を痛めた第31回の注目度 視線が最もクギヅケになった「午前8時4分」はどんな場面?

連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK

 高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第31回(11月10日放送)で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最高値は午前8時4分の77.2%だった。

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 「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

 ◇トキの“女中”に、ヘブンの答えは「NO!」

 第31回は、ヘブン(トミー・バストウさん)の“女中”になる決心をしたトキ(高石さん)が、錦織(吉沢亮さん)に伴われ、ヘブンにあいさつする。いよいよ“女中”になることが本決まりする重要な回だ。

 ドラマは、ヘブンの部屋で、トキがヘブンと錦織が戻ってくるのを待っているシーンからスタート。ヘブンと錦織がようやく部屋に入り、トキが女中になることを錦織が説明し始めた午前8時1分台には、注目度が一気に約10ポイント増の74.0%に跳ね上がった。話を聞いたヘブンは「シジミさん」と言うと、少し笑いながら「NO!」と断る。トキは「えっ」と思わず声を上げるが、視聴者も同じだっただろう。そのままオープニングに入ったものだから、視聴者の頭には「?」だけが巡っていたに違いない。

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 オープニングの午前8時3分台は55.7%まで急落。午前8時4分台半ばにドラマが再開すると、注目度は再び急浮上する。

 なぜ、ダメなのかを尋ねる錦織に、ヘブンはトキの腕や脚を見せろと要求する。なぜ、そんなことを言うのか? 理由はわからないまま、しぶしぶ、トキは袖をまくって腕を、次に裾をたくし上げて脚を見せるのが午前8時4分台だ。ヘブンに間近で脚を見られつつ、裾をたくし上げるのは、どんなに苦痛だっただろう。注目度はこの日の最高値77.2%を記録した。

 午前8時5分台になって、ヘブンが「NO!」と言った理由が明らかになる。トキの脚を見ていたヘブンは「私は騙されない」「彼女は士族の娘ではない。シジミ売りだ」と言うのだ。その上、日本語で「腕、太い。脚、太い。士族、違う」というものだから、トキは小さく「ひどい」とつぶやくと、錦織に「錦織さん、どげんなっちょるんですか!」と怒り始める。だが、錦織が、天国町で出会った「ラストサムライ」の孫だと伝えると、ヘブンの態度は一変する。ここまでが5分台。注目度はわずかに下がったが、76.0%を維持した。

 続く午前8時6分台は、納得したヘブンが、トキに1カ月分の給金20円を手渡す場面などがあり、午前8時7分台は、朝食を運んできた花田旅館の女中のウメ(野内まるさん)に、ヘブンの女中になったことを知られてしまう場面などが描かれた。注目度は73%台と比較的高い数値が続いた。

 ◇トキの優しいうそに、注目度も大きく下がらず

 午前8時8分以降は、ヘブンの家から戻り、翌朝からの“女中”としての仕事に備えるトキの様子が描かれた。

 トキは花田旅館で働くことになったとフミ(池脇千鶴さん)にうそをつき、その後、三之丞(板垣李光人さん)を待ち伏せし、給金の一部を手渡す。「バカにしないでくれ」と金を受け取ろうとしない三之丞に、ここでもうそをつく。三之丞の亡き父・傳(堤真一さん)から預かったものだと告げ、雨清水家が路頭に迷った時、この金を渡すよう言われていたと説明する。

 周囲を気遣い、優しいうそを繰り返すトキ。だれにも明かさず、1人抱えたまま、翌朝からの仕事に臨もうとしている。その決意に、視聴者も視線をクギヅケにされてしまったようだ。注目度は緩やかに下降線をたどりつつも、70%前後を上下しながら最後まで大きく落ちることはなかった。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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