注目映画紹介:「お父さんと伊藤さん」新婚・上野樹里が等身大の女性を伸び伸び演じた リリー、藤竜也との化学反応が心地よい

映画「お父さんと伊藤さん」のメインビジュアル (C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会
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映画「お父さんと伊藤さん」のメインビジュアル (C)中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会

 女優の上野樹里さんの3年ぶりの主演映画「お父さんと伊藤さん」(タナダユキ監督)が8日に公開される。上野さん演じる34歳の彩が20歳年上の彼氏、伊藤さん(リリー・フランキーさん)と同居しているアパートに、彩の74歳のお父さん(藤竜也さん)が転がり込み、3人の不思議な共同生活が始まる……という展開。今年5月にロックバンド「トライセラトップス」の和田唱さんとの結婚を発表した上野さんが、現代を生きる等身大の女性を自然体で伸び伸びと演じている。

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 「お父さんと伊藤さん」は中澤日菜子さんの小説が原作。「百万円と苦虫女」(2008年)や「四十九日のレシピ」(13年)などで知られるタナダ監督が映画化した。書店でアルバイトをしながら気ままに暮らす34歳の彩(上野さん)は、給食センターでアルバイトする20歳年上のバツイチの伊藤さん(リリー・フランキーさん)と交際中で、小さな古アパートに同居していた。そんなつつましくも穏やかに暮らす2人のもとに突然、息子の家を追い出された彩の父親(藤さん)が転がり込む。3人の奇妙な共同生活がスタートするが……というストーリー。脚本は「四十九日のレシピ」の黒沢久子さんが手がけた。エンディングテーマはユニコーンの「マイホーム」。

 上野さんの自然な演技に加え、飄々(ひょうひょう)とした雰囲気の伊藤さんをいまや日本映画に欠かせない存在の個性派俳優リリー・フランキーさんがこれまた肩の力が抜けた雰囲気で好演。ベテランの藤さんは、逆に元教師のがんこオヤジを徹底した役作りで完璧に仕上げている。ちょっとした事件も起こるが、それに対する3人それぞれの演技が心地よい化学反応を起こしている。また結婚や人生、老後など現代社会への問題提起をさりげなく盛り込んでいて、楽しく見ながらも少し考えさせられた。小物などこまやかなところまで気配りが行き届いた映像で、「さすがはタナダ監督」とうならされた。この映画の最大の謎、お父さんが大事にしていた箱の中身の意味は……? 見た人がそれぞれ答えを考えてほしい。8日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(細田尚子/MANTAN)

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