M 愛すべき人がいて:漂う“大映ドラマ感”に鈴木おさむが明かす狙いと想い 「思い切り」が生んだ「ツッコ見」

(C)テレビ朝日/AbemaTV,Inc.
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 歌手の安斉かれんさん、俳優の三浦翔平さんダブル主演の連続ドラマ「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日系、土曜午後11時15分/ABEMAで全話独占配信)。脚本を手がけるのは、「奪い愛、夏」(ABEMA)などでも注目を集めた放送作家の鈴木おさむさんだ。荒唐無稽(むけい)な設定と、一見過剰とも思える演出が、1980年代を中心に話題を集めた「大映ドラマ」をほうふつとさせると評判だが、鈴木さんは「思い切りバットを振りにいこう!!」と考えて、脚本を作り上げたという。そんな鈴木さんに、作品作りのこだわりや意図、大映ドラマへの想いについて聞いた。

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 ◇大事なことは「話題になること、ざわざわさせること」

 原作は、“歌姫・浜崎あゆみ”の誕生まで、そして秘められた出会いと別れを描いた小松成美さんの同名小説(幻冬舎文庫)。安斉さんは、後に「平成の歌姫」と呼ばれ、女性たちのカリスマとして君臨するアーティストのアユ、三浦さんは、レコード会社「A VICTORY」を設立した名プロデューサー、マックス・マサを演じている。

 話題を呼んだ原作小説のドラマ化のオファーに鈴木さんは、実在の大スターの人生を基にした原作であることを受け、「一つ間違えたら、大変なことになってしまう……」と考えたというが、「放送して話題になること、ざわざわさせること」が大事だと考え、「思い切りバットを振りに」いったという。

 ドラマはこれまでに第1~3話が放送。ライバルの嫌がらせで肩を脱臼したアユが、10本のペットボトルを背負ったままマラソンしたり、途中でくじけたら土砂降りの中で崖の上に現れたマサが「俺を信じろアユ、走れー!」と叫んだり、そこで発奮したアユが腕を大きく振りながらのド根性で猛ダッシュを見せ、トップでゴールするなど、“大映ドラマ感”を感じさせるシーンが連続した。

 主役2人の熱すぎる演技に加え、第2話には「奪い愛、冬」(テレビ朝日系)や、「奪い愛、夏」での“怪演”が話題を集めた水野美紀さんも、スパルタ鬼講師・天馬まゆみ役でゲスト出演。英語交じりの独特の言い回しと、ド派手なファッションが特徴で、バケツで水をぶっかけるなど、奇抜な指導方法の数々が視聴者に強い印象を与えた。

 さらに、田中みな実さんが演じている、アユへの嫉妬に狂う眼帯姿の秘書・姫野礼香の姿に、かつて片平なぎささんが、“大映ドラマ”の「スチュワーデス物語」で演じた義手の婚約者・新藤真理子を思い起こす視聴者も多く、SNSでは笑いと突っ込みの嵐が巻き起こっている。

 ドラマ全般を通じて漂う、こうした“大映ドラマ感”について、これまでも大映ドラマのファンであることを公言してきた鈴木さんは、「昔から大映ドラマには、女性が成長していく物語があります。そして個性的なキャラクターがいます。実際、90年代の芸能界には、今よりも個性的すぎる人はいっぱいいました。なので、(『M』にも個性的なキャラクターを)思い切り詰め込んでみましたが……」と狙いを明かす。

 ネット上の反響について「1話、2話、3話をみなさんのリアクションを見て、思い切ってバットを振って良かったなと思っています」と胸をなでおろす。また「ある時ネットで『ツッコ見』という言葉を見かけまして。それがうれしかったです」と語る。

 ◇今後はハードな展開に?

 ドラマではこれまで、マサにアーティストとしての才能を見いだされたアユが、厳しいレッスンを受け、デビューを目指す姿が描かれてきた。アユとマサの恋愛模様や、アユの祖母の死、仲間の裏切り、壮絶な嫌がらせなど、ジェットコースターのように急転直下するストーリーから、目が離せない。

 鈴木さんに今後の見どころや展開について聞くと、「アユがデビューしてからは、浜崎あゆみさんの楽曲がさらに出てきます。そしてついにアユとマサの恋……そして、礼香がさらにとんでもないことに。そしてそして、アユのライバルだったあの女の子も、見どころの一つになっていきます。なかなかハードです」と予告する。

 また、鈴木さんがオススメする本作の楽しみ方を聞くと、「リモートでみんなとお酒飲んで、話しながら見てください!! “ほろ酔いドラマ”です!(笑い)」と呼びかけていた。 

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