テレビ試写室:「君と世界が終わる日に」 地上波で正統派の“ディストピア系ゾンビもの” “攻めた”描写も

連続ドラマ「君と世界が終わる日に」第1話の場面写真=日本テレビ提供
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連続ドラマ「君と世界が終わる日に」第1話の場面写真=日本テレビ提供

 ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組を放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は、1月17日午後10時半から日本テレビ系で放送される、俳優の竹内涼真さん主演の連続ドラマ「君と世界が終わる日に」だ。

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 ドラマは、生ける屍(しかばね)によって崩壊した世界を舞台に、竹内さん演じる主人公の間宮響が、中条あやみさん扮(ふん)する離ればなれになってしまった恋人・小笠原来美(くるみ)との再会を誓い、生き残りを懸けて奮闘する“サバイバルラブストーリー”だ。脚本は「Wの悲劇」「砂の塔~知りすぎた隣人」などのサスペンスに定評がある池田奈津子さんで、演出は「トドメの接吻」「美食探偵 明智五郎」などを手掛けた菅原伸太郎さんらが務める。日本テレビと動画配信サービス「Hulu(フールー)」の共同制作というところがポイントで、今回放送される全10話のシーズン1に続いて、3月からはHuluで全6話のシーズン2が配信される。

 海外ドラマや映画、ゲームなどで鉄板の人気を誇るいわゆる“ゾンビもの”だが、ファミリー層も見る日本のプライム帯(午後7~11時)のドラマで、ここまで真正面から取り組んでいるのは異例だ。数々の名作を生んだジャンルだけに、これまでの作品と比較しながら、展開を予想しつつ見る人も多いはず。

 中でも「誰がゾンビになるか?」を予想するのも、このジャンルならではの見どころの一つだ。響と行動を共にするのは、響と来美の同級生で警察官の等々力比呂(笠松将さん)とその上司でグループのリーダー格の本郷大樹(大谷亮平さん)をはじめ、女子大生の柊木佳奈恵(飯豊まりえさん)、バイク便ライダーの吾妻伸二(鈴之助さん)、介護士の三原紹子(安藤玉恵さん)と小学生の娘・結月(横溝菜帆さん)、引っ越しアルバイトの韓国人ユン・ミンジュン(キム・ジェヒョンさん)とその上司の甲本洋平(マキタスポーツさん)に、好々爺(こうこうや)の雰囲気を漂わせる小説家の宇和島雅臣(笹野高史さん)と、老若男女、上司と部下、親子に外国人とさまざまな“属性”の登場人物がそろっており、これらの個性的な面々が極限状態で取る行動にハラハラさせられるだろう。

 昨年放送の「テセウスの船」で、暴走気味の泣き虫主人公“心さん”を好演して視聴者の心をつかんだ竹内さん。本作でも、地獄のような状況にも諦めず、必死にもがく姿を熱演している。一方で意見が対立する仲間たちを手料理でなだめたりと、ひょうひょうとした側面もあるキャラクターで、竹内さんの新たな一面を垣間見ることができる。

 また、中条さん演じるヒロインの来美はひたすら可愛く、響の生き延びる目標として納得の存在感だが、研修医という職業柄、今後の展開にも大きく関わってきそうで期待が持てる。一番のキーパーソンだともいえ、個人的には来美をどう扱うかがドラマとしての評価や反響に大きく関わるのではと考えている。

 物語のもう一人?の主役ともいえる“生ける屍”だが、メークに力が入っており、「地上波のプライム帯でやっていいのかな?」と思えるような“攻めた”描写も。足を引きずってのろのろ歩く者だけでなく、全力疾走して追いかけてくるタイプもいて、大昔のステレオタイプなゾンビの印象しかないと驚いてしまうかもしれない。

 ファンの多いジャンルということもあって、特に残虐描写や展開を巡って賛否が分かれることは想定されるが、地上波としては“結構攻めている”という印象。これ以上過激なものを求めるのであれば、映画や海外ドラマを見た方がいいだろうし、まずは地上波でちゃんとした国産かつ正統派の“ディストピア系ゾンビもの”が出てきたことを評価したい。まだ第1話ということで先は全く予想できないが、願わくば地上波のシーズン1自体でもある程度完結させていただくとともに、Huluのシーズン2では“攻め攻め”の描写と展開を期待したい。

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