わたしの宝物
第6話 生まれ変わったら本当の親子になれるかな・・・
11月21日(木)放送分
福原遥さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(総合、月~土曜午前8時ほか)。第25週(3月20~24日放送)では、舞(福原さん)が大学で所属していた人力飛行機サークル「なにわバードマン」の先輩、刈谷(高杉真宙さん)が玉本(細川岳さん)と設立した会社「ABIKILU(アビキル)」で、“空飛ぶクルマ”の開発を進める様子が描かれた。刈谷が舞に名刺を渡した際、舞が社名を見て「国友一貫斎ですね」と目を輝かせた場面があったが、「ABIKILU」とは何を意味しているのか、解説する。
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「ABIKILU」の社名は「阿鼻機流 大鳥秘術(あびきる・おおとりひじゅつ)」から取られている。
これは、江戸時代の科学者で技術者だった国友一貫斎(いっかんさい)(1778~1840年)が描いた、国内最古といわれる飛行機の設計図(縦24センチ、横33.5センチ)の名称。「あびきる」はラテン語で小鳥を意味する「AVICULA(アビクラ)」が語源と推測されている。
設計図全体は1964年に一貫斎の生誕の地、滋賀県長浜市の指定文化財になっているが、2020年には詳細図が見つかったことが市の調査で明らかになり、一貫斎が飛行機を実際に製作しようとして、設計図を描いたことが確実になったとされている。
一貫斎の家で見つかったという詳細図は、和紙10ページにわたる冊子で、部品ごとに作り方が描かれている。翼とみられる部分は「ひのき板を削り、なめし皮にて縫うなり」と記され、翼を胴体に取り付ける部分の説明では「両羽のしつけ、ことのほか難しきものなり」などと注意点も記されているという。
設計図通りに組み立てると、鳥の形をした幅13.3メートルほどの1人乗りの飛行機が出来上がる。中央に木馬状の機械を置き、そこに人が乗ってペダルを踏み、羽根を羽ばたかせて飛行する仕組みで、実際に一貫斎が製作したかどうかは定かではないが、航空力学上は飛行できる構造ではないという。
一貫斎は「江戸時代のエジソン」「日本のダ・ヴィンチ」などとして知られる人物で、近江国坂田郡国友村(現在の滋賀県長浜市国友町)で生まれた。鉄砲鍛冶の腕のある職人で、40歳前後で江戸に出て約6年間、滞在した際、知識人や海外の先端技術と出会った。その影響で、日本初の反射望遠鏡の発明、気砲(空気銃)、弩弓(どきゅう)などの武器改良、照明器具の玉燈(ぎょくとう)などを考案した。
劇中で舞は、幼少期に長崎・五島列島で一時期暮らし、東大阪に戻ってきた際、飛行機に乗った興奮を父、浩太(高橋克典さん)に伝えた。すると浩太も飛行機好きだったことを明かし、一貫斎の話を熱く語った。そんな思い出もあったため、舞は「ABIKILU」の名前を見て、すぐにピンときたのだろう。
「舞いあがれ!」の最終週(3月27~31日放送)では、「ABIKILU」に「なにわバードマン」のメンバーらが続々と集結し、「空飛ぶクルマ」の開発がますます現実味を帯びてくる。刈谷や舞らは「誰もが自由に空を飛ぶことができる未来」を描くことができるのか。ラストシーンまで見届けたい。
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