緊急取調室 (2025)
第7話 赤い殺意
12月4日(木)放送分
伊藤沙莉さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「虎に翼」(総合、月~土曜午前8時ほか)。好評を博してるドラマの重要なピースの一つとして、毎回オープニングで流れるタイトルバックについて、担当のサード演出・橋本万葉さんに話を聞いた。米津玄師さんが書き下ろした主題歌「さよーならまたいつか!」と相まって話題となっているタイトルバックだが、表現したかったことや、ヒロインの伊藤さんが「バックダンサーを従え踊る」というアイデアは、どういった経緯で生まれたのか……。
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「虎に翼」は、日本初の女性弁護士で、後に裁判官を務めた三淵嘉子さん(1914~84年)の人生をモデルとしたオリジナルストーリー。主人公とその仲間たちが、困難な時代に道なき道を切り開き、迷える子供や追いつめられた女性たちを救っていく姿を描く、リーガルエンターテインメントだ。
タイトルバックはシシヤマザキさんが制作。ドラマの主人公・寅子役の伊藤さんが音楽に合わせ、さまざまな時代・職業の女性に扮(ふん)したバックダンサーと共に踊りを披露している。振り付けはyurinasiaさんが担当した。
今回制作をお願いしたシシヤマザキさんは「ロトスコープ」という技法で作品を作られています。実写の映像を撮影し、それをトレースして上に絵を描きアニメーションにしていくという技法です。
今回の「虎に翼」では分かりやすいモチーフのようなものがないため、アニメーションであることで表現の幅が広がると思いました。また、ラストに寅子と女性たちのダンスシーンを入れたいというのは早い段階で決めていました。シシさんは自分自身が被写体となり踊っている姿を撮影し、それをロトスコープでアニメーションにするという作品を多く手掛けられています。身体(からだ)の動きを捉えそれを魅力的に表現することにとても長けている方なので、このタイトルバック制作をお願いするのにぴったりだと考えました。
小さな箱にぎゅっと押し込められていたものが飛び出たときに生まれる大きなエネルギーやそのときに感じる気分の良さ。そういうものを表現したいと思って制作しました。
「虎に翼」で描かれる当時の女性の生きづらさは、現代を生きる女性として私自身も今でも感じることが多くあります。寅子たちに共感する一方で、「今も変わらないんだ」と思ってしんどくなることもしばしば、いやかなりあります。でも、少しずつでも変わっていることもある。そういう意味で、明治から現代までのたくさんの女性たちが踊ることで、解放される気持ち良さも感じていただきたいと思いました。今はしんどいかもしれないけど、いつか……! そんな気持ちで、何かに抑制されて生きづらさを感じているような方々が、少しでも良い気分で一日をスタートできるといいなと思っています。
ダンスシーンについて。どんなタイトルバックにしようかアイデアを集めていたときにいろいろなミュージックビデオ(MV)を参考に見ていたのですが、ビヨンセの「Run the World(Girls)」を見たときに、ビヨンセがたくさんの女性たちと踊っているシーンを見て、自分に力がみなぎる感覚を感じました。同時に、楽しさやスカッとする気持ち良さを感じ、元気が出ました。
先述の通り、「虎に翼」を見ていると、現代にも通じるやり切れなさや悔しさを突き付けられる瞬間があると思います。でも、ダンスシーンがあれば「救われる瞬間も生まれるのではないか?」と思ったことが、最初のきっかけです。
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