やなせたかしさん:元秘書が知る夫妻の素顔 アニメ「それいけ!アンパンマン」放送→暢さんは人気が続くとは考えず  闘病中「何度も頼んだ」こと

やなせスタジオ代表の越尾正子さん
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やなせスタジオ代表の越尾正子さん

 9月26日に最終回を迎えた、やなせたかしさん(1919~2013年)と暢さん(1918~1993年)夫婦をモデルにしたNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)。秘書として20年以上にわたってやなせさんを支え続けた「やなせスタジオ」代表の越尾正子さんに話を聞いた。越尾さんだけが知る、やなせさん夫妻の素顔とは……、

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 ◇暢さんは「気持ちのいい女性」

 越尾さんは、通っていた茶道の稽古(けいこ)場でやなせさんの妻・暢さんと知り合い、1992年から「有限会社やなせスタジオ」で働き始めた。

 「私は趣味でお茶の教室に通っていて、そこで出会ったのが暢さんだったんです。当時、私は20代半ばで、暢さんは50代半ば。だから、私が知っている暢さんは、50代から70代までで、やなせ先生と実際にお仕事をしたのは20年ほどです。『あんぱん』では、子供時代はそうだったのかと想像できるようなエピソードもあり、毎日楽しみに見ていました」

 やなせ夫妻の印象について、越尾さんは「暢さんもやなせ先生も真面目な人でした。実際の暢さんはしっかり相手を立てる人」と明かす。

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 「私が失敗したときには『そういうときには、こうしたほうがいい』と教えてくれました。私自身も暢さんから強く言われたことはありませんし、“ハチキン(土佐弁で男勝りな女性)”というのは、誰にでも強く言うのではなく、権力者や会社の偉い人が理不尽なことをすると『それはダメ』ときちんと言えるということ。本当に気持ちのいい女性でした」

 越尾さんがやなせスタジオで働くことが決まると、やなせさんからは「うちの仕事は簡単だからよろしくね」と言われたという。

 「驚いたのが、暢さんから通帳や銀行の実印とか、貴重な財産が記録されているものをポンと渡されたこと。『金庫の鍵はここに置いてあって金庫の暗証番号がこれね』と、入社してすぐの私に教えてくれるんです。あまりに任されすぎたので『大丈夫なのかな』と自分でも気になるぐらいでした」

 その頃はお茶の先生でもあった暢さんに、越尾さんが「先生、もし私が悪い人だったらどうします?」と尋ねると、「もしあなたが悪い人だったら、自分に見る目がなかったと思って諦める」という答えが返ってきた。

 「それを聞いたときに『すごい人だ』と思いました。私だったら『悪いことは絶対しないでね』と言うと思うのですが、『見る目がなかったと思って諦める』と言える女性なんだと。そういう女性には今まで暢さん以外に会ったことがありません」

 ◇やなせ夫妻の印象的なエピソードは?

 やなせさん夫妻の印象に残っているエピソードを聞くと、越尾さんは、高知の名産である「小夏」にまつわる話を教えてくれた。

 「私がやなせスタジオに入社したばかりの頃、やなせ先生が『小夏の正しい食べ方を教えてあげます』と言って包丁でくるくる小夏をむいてくださって。リンゴのように表の皮をむいて、白く薄い中の皮を残したまま食べるとおいしいそうなんです。やなせ先生は『うちのかみさんは、絶対正しい食べ方をしないで、普通のみかんみたいに食べるんです』とおっしゃっていました。暢さんはちょっと照れたように笑っていて、奥さんは奥さんで自分のむき方をするし、先生は先生でそういうむき方をする。ちっぽけなことですが、お互いに認め合っているのが、すごくいい夫婦関係だなと感じました」

 1988年に、アニメ「それいけ!アンパンマン」の放送がスタート。アニメの人気が出てきた頃、暢さんは乳がんを患い、闘病生活を送っていた。

 暢さんは、アンパンマンの人気が続くとは考えていなかったといい、越尾さんに「うちの人は編集者とうまく付き合えないから、そのうち仕事を干されて、収入も減って、アシスタントも雇えなくなってしまう。そのときは、あなたが色を塗ると言ってね。自分から言ってね」と何度も頼んだという。

 「その後、暢さんはお亡くなりになったのですが、それくらいやなせ先生のことを心配していました。暢さんだけではなく、当時アンパンマンに関わった人たちは、誰もこんなに大きなビジネスになるとは思っていなかったので、奥さんがアンパンマンの人気が続くことを推測できなかったのは当然だと思います。私が色を塗ったら悲惨な結果になっていたと思うので、人気が続いてホッとしています」

最終週の人物相関図が公開! 予告にはいたけど“名前なし”? 新キャラは1人 登美子&千代子も“完走”

連続テレビ小説「あんぱん」の最新の人物相関図(最終週~) (C)NHK
連続テレビ小説「あんぱん」の最新の人物相関図(最終週~) (C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)の新たな人物相関図が、ドラマの公式サイトなどで公開された。

 9月22日に始まる最終週(第26週)「愛と勇気だけが友達さ」の相関図で、新キャラクターとして、TVプロデューサーの武山恵三(前原滉さん)の登場が予告された。

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「あんぱん」登場人物紹介

「あんぱん」とは

 「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家、絵本作家のやなせたかしさん(1919年~2013年)と、暢さん(1918年~1993年)夫婦がモデル。何者でもなかった二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」となる。

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