娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?
最終回 捨て身の復讐、決着。
12月23日(火)放送分
NHK連続テレビ小説「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)で、雨清水家の三男坊・三之丞を演じている板垣李光人さん。第15回(10月17日放送)では、父の傅(堤真一さん)が事切れる間際、三之丞が初めて本音をぶつけるシーンが描かれた。板垣さんはどのような思いでこの場面と向き合ったのか。演じる上で意識したことや、このシーンの裏側について話を聞いた。
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板垣さん演じる三之丞は、ヒロイン・トキ(高石あかりさん)の親戚の雨清水家の三男でトキの2歳下。兄が家督を継ぐため自身は特に役目がない。家の中に居場所がないため、トキたちの仕事場に入り浸っている。第11回(10月13日放送)で長男の氏松(安田啓人さん)が突然出奔したことから、三之丞は何も分からないまま、工場の仕事を任せられることになってしまった。
第15回では、三男として生まれ、父と正面から向き合ってもらえなかった三之丞の心の叫びが描かれた。傅は、自分が不在だった間の工場の惨状を嘆き、病に倒れながらも三之丞に説明を求める。トキとタエ(北川景子さん)が見守る中、三之丞は「無理ですよ、今さら。いつも兄上ばかりで何も教わっていない。声すらかけてもらったことのない三男坊が都合良く駆り出されたって」と返し、トキが傅とタエの娘であることを暴露。「手放した分いとおしくなるのなら、私もよそで育ちたかったです」と吐露した。
この場面を振り返り、板垣さんは「時代に翻弄(ほんろう)されてしまったがゆえの雨清水家だったっていうところを、しっかりと表現したいなと思って演じていました」と話す。
このシーンの中で三之丞が口にする「私もよそで育ちたかったです」というせりふについては、「傅とタエにどう伝えるかで、雨清水家の家族のつながりが、ただただ希薄だったというふうに伝わりかねない」と危惧し、そうならないよう意識しながら演じていたという。
「親子の愛というものが全くなかったわけではないけれど、この時代に生まれてしまったからこそ、三之丞もこういうふうになってしまったし、結果として親子のすれ違いも生まれてしまった。三之丞が父上と母上のことが好きだからこそ、あえて伝える……そんなせりふにしたかったんです。ちゃんと愛はあったんだよというところを見せないといけないなと思ったので、あのせりふの前にワンクッション置いて、傅さんとタエさんと目線を合わせて、家族としての3人のまとまりの中で伝えたいと思いました」
この表現に関しては、北川さんも同じように「母親として息子に対して愛情がないわけがない」と話していたといい、その思いを受け、板垣さんは「そこはしっかりと芝居で見せたいという思いで演じました」と明かす。
また、このせりふを伝えた際、傅が三之丞に「何を言うんじゃ」と言い、頰をなでる描写があった。
「そこは堤さんが三之丞がああいうふうにせりふを言うのであれば、俺もこういう芝居にするねとおっしゃっていて。堤さんの芝居を見たとき、やっと家族3人が一つの線で結ばれた感覚がありました。事切れる直前ではありますけど手を伸ばしてくれて……。悲しくもありながら、ちょっとした温かさを感じました」
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