ばけばけ：吉沢亮は「三枚目な役で最高に輝く」　“影の主役”に抜てきのワケ　制作統括はハリウッド進出にも期待？

2025年10月21日 08:15

MANTANWEB編集部

　高石あかりさんがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説（朝ドラ）「ばけばけ」（月～土曜午前8時ほか）。第17回（10月21日放送）では、出奔した夫・銀二郎（寛一郎さん）を捜して、東京を訪れたトキ（高石さん）が、吉沢亮さん演じる錦織友一に出会う展開が描かれた。今作で制作統括を務める橋爪國臣さんが、吉沢さんの起用理由や、演技の魅力について語った。

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　◇吉沢亮の起用理由は？

　「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとその夫・八雲（ラフカディオ・ハーン）夫妻をモデルに、「怪談」を愛するヒロインが、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく姿を描く。

　吉沢さんが朝ドラに出演するのは、2019年度前期の「なつぞら」以来2度目。同作でもプロデューサーを務めていた橋爪さんは「吉沢さんとは『なつぞら』で初めてご一緒して、その後、大河ドラマ『青天を衝け』も共にしました。本当に信頼できる俳優ですし、『彼ほど役作りしている人はなかなかいないんじゃないか』と感じるほどの役作りへのストイックさをずっと身近で見てきました。ただただ超一流だなと感心しています」と語る。

　吉沢さんが演じる錦織友一は、明治時代の松江の偉人・西田千太郎がモデル。松江随一の秀才で「大盤石（だいばんじゃく）」の異名を持つ。松江中学で英語教師を務め、外国人教師として松江にやってきたヘブン（トミー・バストウさん）をサポート。トキとヘブンに、深く関わっていくことになる。

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　モデルとなった西田千太郎という人物について、橋爪さんは「小泉八雲ファンだったら誰しも知る人物」と説明する。

　「この方がいなければ八雲さんはセツさんと結びつかなかっただろうし、ずっと日本にとどまることも、数々の作品を作ることもなかっただろう……と思われる影の主役みたいな人。そんな人物をモデルにした錦織はとても重要な役ですし、夫婦の物語と銘打っていますが、事実上、錦織も含めた3人の物語だと思うんです。メインキャラの一人として、本当に信頼できる人にお願いしたかったので、吉沢さんにお声がけしました」

　◇モデルとなった西田仙太郎はどんな人物？

　西田千太郎は、聖人君子で一流の教育者、小泉八雲を手助けした人物として知られている。残された資料を読み解くうちに、橋爪さんは「いろいろと欠点があって、うまくいかずに悔しい思いをしたことも多かったようで、何かを成し遂げようとしたけれど成し遂げられなかった人なんだ」と感じたという。

　「資料では聖人君子に描かれているけど、実は陰の部分もある人物。吉沢さんには最初に、いろんなことに振り回されたりする、彼の人間らしい部分を描き出したいと話しました。超優秀なのになぜ松江で英語教師をやっているのか……それは劇中で紐解いていくつもりですが、いろいろな事情を抱えた人物として、その深みを出してほしいと伝えました」

　貧しい家庭に生まれ、学業を続けることができなかった錦織には、一念発起して上京したという背景があるが、「吉沢さんには、あえて悲哀を感じさせないキャラクターを演じていただいています」と明かす。

　「楽しく、カラッとした演技がすごくステキですが、振り回される吉沢亮って本当にいいなあと（笑）。吉沢さんって本当にイケメンですし、芝居もうまいんですけど、ああいう三枚目な役をやらせると最高に輝くんだと思いました」

　◇英語学習に全力投球　吉沢亮の役作りへの努力

　第17回では、トキが銀次郎を追って訪れた東京の下宿で、錦織と出会い……と展開した。この場面は「脚本のふじきみつ彦さんと話し合いながら作りました」と振り返る。

　「錦織が東京にいたことは西田さんの史実通り。セツさんたちに出会ったという事実はなかったと思いますが、歴史資料から『こういうことがあったかもしれない』と感じられたので、ここでトキと出会った方が後々深くなるなと考え、オリジナリティーを加えました」

　今後は、英語教師となった錦織が流ちょうな英語を話す場面もたびたび登場するが、吉沢さんはもともとあまり英語が得意ではなかったという。

　「僕は吉沢さんに英語を話してほしいとすごく思っていて。これをきっかけに英語がしゃべれるようになって、ハリウッドに羽ばたいて行ってほしいなとも思います。だから、『そういうきっかけにしませんか？』という話も、キャスティングの際にさせてもらいました」

　オファーを受けた吉沢さんは、「英語の稽古（けいこ）をしたいです」と気合十分だった。早速、英語指導としてはトップランナーである塩屋孔章さんに指導を依頼。吉沢さんは、クランクインする前から週3回ほど、塩屋さんの元で英語の勉強を続けているという。

　「表に努力を見せない人なので分からないですけど、移動中の車の中でも延々とシャドーイングをしているようです。プライベートを全て英語学習にささげているとも聞きました。英語力も、最初に勉強を始めた時と比べると全然レベルが違います。耳の良さもあると思いますが、圧倒的にかける時間、努力の容量がすごいんだろうなと感服しています」