高石あかりさんがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)。2月13日放送の第95回では、熊本に向かうヘブン(トミー・バストウさん)の見送りに錦織(吉沢亮さん)が姿を見せなかった。部屋で机に向かい、ヘブンの「日本滞在記」を読んでいた錦織は、突然せき込み喀血(かっけつ)。ラストは瞳を潤ませた錦織の横顔を捉え、同回は幕を閉じた。この場面での吉沢さんの演技について、制作統括を務める橋爪國臣さんに聞いた。
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メインキャラクターでありながら、これまで背景や内面について深掘りされてこなかった錦織。橋爪さんは「第19週に向けて、彼のバックグラウンドや置かれている立場、ヘブンとどういう関係になりたいのかを少しずつ描いてきました」と説明する。
「錦織のモデルとなった西田千太郎さんも、すごく優秀なのに不遇が重なってしまった。そんな中でどう生きていくかということを考えて、錦織というキャラクターを描いてきました。第95回のラストシーンは、その思いが詰まったシーンになったと思います」
同回のラストでは、喀血した錦織を捉えた沈黙のシーンが54秒ほど続いた。
「スタジオがシーンと静まり返る中、吉沢さんのお芝居を撮影しました。実際にドラマで使ったのは50秒ちょっとですが、2、3分は撮っていて、吉沢さんの演技に心打たれるスタッフも、目を潤ませているスタッフもいました」
橋爪さんは「いろんな描き方があったと思いますが、吉沢さんのお芝居って本当に言葉で語る必要がないぐらい素晴らしいので、最後は彼のお芝居だけで全部見せられるんじゃないかという結論にたどり着きました」と振り返る。
「脚本を作る際にも、錦織が自分の状況を話すわけではなくて、彼自身が思っていること、噛み締めていることをお芝居で表現してもらおうと考えて、ストーリーの流れを作り、第95回のシーンに集結させるように本作りをしていきました。錦織がどんな思いを抱えているのかはいろんな捉え方ができますし、現時点では100パーセントは分からないと思いますが、船着き場に行かなかった理由や、本当に彼がなりたかったものが何なのかは、これから先描いていきますので、視聴者の皆さんも一緒に思いを巡らせてもらえたらいいなと思います」
錦織の部屋のセットも、吉沢さんの演技の魅力を引き立てていた。橋爪さんは「松江にある西田千太郎さんの家が当時のまま残っているのですが、その屋根裏部屋で実際に西田さんが過ごしていたようです。本当に苦しい思いを抱えながら、暗い中、窓の光で本に囲まれて学んでいたことが伝わるような部屋で、それを参考にセットを作りました」と話す。
「画面にはほとんど映っていませんが、錦織の今までの思いなど、いろいろなことが壁に書いてあって。あの中に入った吉沢さんが錦織の過去の思いを背負って、いろんな表情や思いを表現してくれました」
吉沢さんは、橋爪さんら制作スタッフと共に西田千太郎の家を訪れ、彼が書き残した日記や手紙にも目を通したという。橋爪さんは「西田千太郎さんの思いに触れてもらったので、それが演技やキャラクター作りの参考になっているんだろうなと思います」と語った。
今後の展開について尋ねると、橋爪さんからは「これで錦織の話は終わりではない」という答えが返ってきた。
「この後、トキ(高石さん)とヘブンは熊本に行って、錦織とは離れてしまいますが、錦織とヘブン、そしてトキが、最後にどのように本当の思いを伝え合うのか。そのシーンの編集は終わっていて、まだ音もついていませんが、編集の段階で非常にいいシーンに仕上がっています。錦織がどんな思いを抱えているのか、どう解決するのか、解決しないのか……。今後の展開に期待していただけたら幸いです」




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