今田美桜さんが主演を務める連続テレビ小説（朝ドラ）「あんぱん」（NHK総合、月～土曜午前8時ほか）で、いせたくやを演じている「Mrs. GREEN APPLE（ミセス）」のボーカル・大森元貴さん。第91回（8月4日放送）で初登場し、個性的なキャラクターで視聴者に鮮烈な印象を残した。「自分自身を表現する天才」と称賛する大森さんの魅力や起用理由について、制作統括の倉崎憲チーフプロデューサーが語った。

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　◇初めて訪れたライブで“衝撃”

　「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家、絵本作家のやなせたかしさん（1919年～2013年）と、暢さん（1918年～1993年）夫婦がモデル。何者でもなかった二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」となる。

　2023年から2024年にかけて行われたライブツアー「Mrs. GREEN APPLE 2023-2024 FC TOUR “The White Lounge”」で、初めてミセスのライブを訪れたという倉崎さん。

　「そのライブ自体が普通のライブとは違って、音楽劇風だったんです。曲と曲の間も含めて、いわゆる芝居調というか。僕はミセスさんの音楽には同じように感動したんですけど、それ以上に大森元貴さんの間の取り方やたたずまい、仕草、全て含めてすごくひかれるものがあったんです」と、大森さんの表現力を絶賛する。

　「ずっと彼の表情とその“間”を体全身で客席で浴びていると、自然と涙が出てきて。曲よりも先にその“間”に涙があふれてきて、やっぱりそれが忘れられなかったですね。帰りの電車でも、この衝動はちょっと忘れたくないというか、忘れられないなと感じていました。夜もずっと寝られなくて『この感覚は何なんだ？』と考えていました」

　ライブの余韻を引きずった倉崎さんは「やっぱり大森さんの芝居を見たいんだなと率直に思った」といい、「あくまで役者の大森元貴さんとして『あんぱん』にご出演いただきたいと、思いきってお声がけしました」と振り返った。

　◇大森元貴といずみたくがリンク？

　大森さん演じるいせたくやは、作曲家のいずみたくさんをモデルにしている。CM音楽や映画、テレビ、ラジオの劇音楽を多数作曲。そのかたわらミュージカル創作にも意欲を燃やし、生涯で1万5000曲以上を作曲。音楽を担当したミュージカル「見上げてごらん夜の星を」で柳井嵩（北村匠海さん）が舞台美術を担当することになり、嵩が作詞を担当した「手のひらを太陽に」の作曲を手がけることになっていく。

　倉崎さんは「いずみたくさんをモデルにした役は、絶対に出したいと思っていました。嵩にとって大事な『見上げてごらん夜の星を』『手のひらを太陽に』にまつわるエピソードは、後半で必ず描きたいと思っていたので、その中で本当に誰がベストなのかと考えた時に、やっぱり実際に曲を作ってる方がいいと思ったんですよ」と明かす。

　ミセスは昨年、5カ月連続で新曲をリリースしたが、いずみさんも生涯に1万5000曲以上を作曲した史実があるという。

　「どこか大森元貴さんといずみたくさんがリンクする部分もあって。やっぱり大衆にもちゃんと届いているというか、年代問わず多くの人にちゃんと届くメロディーを作れる方という点も含めて、役者だけの方よりも、曲を自分自身が作詞作曲している方のほうがいいなと思っていたので、大森さんがイメージにバチッとハマって。脚本の中園ミホさんにもお話したら、『とてもいいじゃないですか』と太鼓判を押していただきました」

　◇大森元貴ならではの斬新なキャラクター作り

　実際に撮影が始まってからは、「今までの『あんぱん』の登場人物とはまた違った、大森さんならではの斬新なキャラクター作りをしてくださっていて、それが我々にとっても刺激になっています」と語る。

　「彼はアーティストでもありながら、自分自身を表現する天才なので、一言で言うと本当に素晴らしい芝居をしてくださっています。あとは歌うシーンも出てくるので、それは本当に世の中の皆さんが見たいシーンになっていると思います」

　オファー段階で、大森さんの演技面の不安は全くなかったといい、「朝ドラって異業種格闘技戦でもあると思っていて、役者の方のみに限らず、いろいろなジャンルで才能がある方が出ていただいてこそ現場で化学反応が起こりやすいと思っていますし、芝居経験があまりないということに関して、我々は全く心配していなかったです」と話す。

　「（嵩役の）北村さんも、大森さんとはとてもやりやすいとおっしゃっていました。リハーサルも本番も含めて、大森さん演じるたくやと対峙（たいじ）してみて、ナチュラルに芝居に入っていけると。ご本人は『ちゃんとやれてますか？』と心配していましたが、スタッフ一同、キャスト一同、大森さんの役者としての才能にすごく感化されながらやっているので、『そのまま突っ走ってください』とお伝えさせていただきました」

最終週の人物相関図が公開！　予告にはいたけど“名前なし”？　新キャラは1人　登美子＆千代子も“完走”

　今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説（朝ドラ）「あんぱん」（総合、月～土曜午前8時ほか）の新たな人物相関図が、ドラマの公式サイトなどで公開された。

　9月22日に始まる最終週（第26週）「愛と勇気だけが友達さ」の相関図で、新キャラクターとして、TVプロデューサーの武山恵三（前原滉さん）の登場が予告された。

「あんぱん」登場人物紹介

朝田のぶ（今田美桜）

柳井嵩（北村匠海）

朝田羽多子（江口のりこ）

朝田蘭子（河合優実）

朝田メイコ（原菜乃華）

屋村草吉（阿部サダヲ）

柳井登美子（松嶋菜々子）

柳井千代子（戸田菜穂）

宇戸しん（瞳水ひまり）

辛島健太郎（高橋文哉）

八木信之介（妻夫木聡）

今野康太（櫻井健人）

東海林明（津田健次郎）

岩清水信司（倉悠貴）

小田琴子（鳴海唯）

薪鉄子（戸田恵子）

世良則雄（木原勝利）

出川（小田井涼平）

いせたくや（大森元貴）

手嶌治虫（眞栄田郷敦）

六原永輔（藤堂日向）

大島コオ（七瀬公）

三浦光雄（池田努）

久里田洋（江原パジャマ）

中尾星子（古川琴音）

マノ・ゴロー（伊礼彼方）

浜辺ヒラメ（浜野謙太）

古川マモル（西山潤）

小宮ミカ（佐竹桃華）

「あんぱん」とは

　「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家、絵本作家のやなせたかしさん（1919年～2013年）と、暢さん（1918年～1993年）夫婦がモデル。何者でもなかった二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」となる。