eスポーツ:世界で人気も日本で苦戦の理由は… ゲームの「日本代表」誕生なるか

「東京ゲームショウ2017」で開催されたゲーム「コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア」の対戦イベント
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「東京ゲームショウ2017」で開催されたゲーム「コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア」の対戦イベント

 21日から開催中のゲーム展示会「東京ゲームショウ2017」で、対戦型のテレビゲームを「スポーツ」として扱う「eスポーツ」が注目を集めている。海外では大規模な大会が開かれ、1億円以上を稼ぐプロも存在する。だが日本では知名度が低く、“ゲーム大国”のはずの日本が大きく遅れを取っている。その理由と背景を探った。

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 ◇“スーパープレー”に大歓声 スポーツのような応援

 東京ゲームショウで一般公開初日の23日に「コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア」の「エキシビションマッチ」が開催された。同作は、銃で撃ち合う一人称視点のシューティングゲーム(FPS)で、世界的な人気ゲームの一つだ。強豪チーム同士の試合ということもあってか、約500席のところに立ち見を含めて1000人以上が詰めかけた。

 それぞれ4人で構成される二つのチームは、互いがスキなく連携して移動し、画面にわずかな敵影が見えると、瞬時に攻撃を加えて高い精度で命中させる。一進一退の攻防が続くいていたが、1対2の状況で、1人が相手を連続して倒す逆転劇を演じると、それまで静かに対戦を見守っていた観客はどよめき、“スーパープレー”をたたえる拍手を送った。

 対戦後には、巨大スクリーンで試合を振り返る“感想戦”も行う。“スーパープレー”でやられたプレーヤーは「マジか?と思いました」と振り返って、その後の士気に影響したことを認めた。洗練された動き、観客の声援と拍手、心理状態の変化が勝負を左右するなど、現実のスポーツを思わせる要素が多かったのが印象的だ。

 ◇世界で大人気 日本では法律が壁に

 eスポーツは、「エレクトロニック・スポーツ」の略。1997年に米国で開かれた大会が始まりと言われており、2001年に韓国で開かれた大会「World Cyber Games」で本格化した。海外では世界的な企業がスポンサーに付くこともあり、優勝賞金が1000万ドル(約11億円)という破格の大会もある。“競技”に使われるゲームは、シューティングや戦略(RTS)、格闘など対戦ものだ。海外ではチェスなども「マインドスポーツ」と言われ、スポーツの一種とみなされている。

 日本でもeスポーツの取り組みは、実は00年代からあった。しかしeスポーツの種目として多くの大会で採用されていたFPSは、当時の日本では不人気で、景品表示法など法律の制約もあって、高額な賞金をかけた大会を開催しづらかった。さらにゲームソフトの売り上げには直接つながらないということもあり、各メーカーの反応も鈍かった。だが海外でeスポーツは成長し、2018年のアジア大会でeスポーツがプレ種目に採用されることが決まった。

 ところが、eスポーツには日本オリンピック委員会(JOC)の加盟団体がないため、大会に日本代表を派遣できない。日本は、ソニーや任天堂のおひざ元ということもあり、昔からゲームが根付いているが、ことeスポーツに関していえば、世界の流れから大きく遅れている。

 ◇2022年にはゲームの「日本代表」も

 2022年のアジア大会で正式競技になると発表され、五輪でも検討されていると伝えられる中、ゲームショウ直前の19日に大きな発表があった。eスポーツを開催している「日本eスポーツ協会」と「日本eスポーツ連盟」、eスポーツの普及を推進する「e‐sports促進機構」の3団体が年内に業界統一の団体を設立し、ゲーム業界団体のコンピュータエンターテインメント協会(CESA)が協力するという内容だ。

 統一団体設立の理由は、複数の競技団体がある場合、JOCへの加盟が認められないためだ。JOCへの非加盟は「日本代表」を選出して国際大会に派遣できないことを意味する。eスポーツの「日本代表」は、ゲーム業界の大きなイメージアップになり、業界の“積年の悲願”でもある「ゲーム業界の地位向上」にも寄与する。またゲームソフトの売り上げだけを見るのでなく、ユーザーコミュニティーの重要性が認識されるようになった現在、日本の各ゲーム会社も、ようやくeスポーツに力を入れるようになっている。

 そして統一団体では、プロライセンスを発行することも大きなポイントだ。CESAは「プロライセンスの発行で、プロゴルフやプロサッカーなどと同じく高額賞金の大会が開催できる」と期待している。

 ◇さまざまな課題も

 統一団体の設立でeスポーツの国内普及に弾みがつくのは間違いないが、他にもさまざまな課題があると指摘する声は多い。最も聞かれたのは、eスポーツのメインストリームになっているFPSなどのシューティングが、日本では不人気だというものだ。しかし、国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)元代表の小野憲史さんは「その点は心配ないでしょう。シューティングでも『スプラトゥーン』のように日本でも人気のあるゲームが“競技”に採用されたら反応が違うはず。eスポーツの種目には日本でなじみのある格闘ゲームもあり、そこでは日本人の世界チャンピオンも誕生している」と期待を寄せる。

 一方で小野さんは「さまざまな課題があるのは確か。プロライセンスのルール作りもそうだし、eスポーツの大会に出場する選手は若く未成年者も多いので、彼らをどう守っていくかという問題もある。ユーザーの要望を置き去りにすることなく、関係者の努力に期待したい」と話している。

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