前川優希:2.5次元から大河俳優へ 「西郷どん」で琴の長男役…「ここからステップアップできたら」 

NHKの大河ドラマ「西郷どん」に市来宗介役で出演中の前川優希さん (C)NHK
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NHKの大河ドラマ「西郷どん」に市来宗介役で出演中の前川優希さん (C)NHK

 鈴木亮平さん主演のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」に、桜庭ななみさん演じる市来琴の長男・宗介役で出演している前川優希さん。マンガやアニメ、ゲームなどを原作にした「2.5次元舞台」を主戦場にしてきた前川さんは、今回が大河ドラマ初出演で、「最初にお話をいただいたときは驚きを通り越して信じられなかった。次に湧き上がってきたのはありがたいなっていう、周囲への感謝の気持ちでした」と明かしている。また「作品に大小はない」としながらも、「大河ドラマに出させていただいたことで、見てもらえる機会が増えるっていう自覚はあります。だから、ここからステップアップできたら」と力を込める前川さんに話を聞いた。

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 ◇「A3!」など話題の舞台に出演する新進俳優 歴史好きも市来宗介の名は…

 前川さんは1997年12月17日生まれ、東京都出身の20歳。NHK・Eテレの教育バラエティー番組「Rの法則」出身で、「RICE on STAGE『ラブ米』」や「MANKAI STAGE『A3!』」シリーズといった舞台を中心に活躍してきた新進俳優の一人だ。

 演じる市来宗介は、西郷隆盛の妹で、市来家に嫁いだ琴の長男。隆盛の長子・菊次郎が12歳のとき、宗介も共に米国に留学。帰国後は、吉野開墾社や私学校で指導者となるが、29歳で西南戦争に従軍。城山まで隆盛に同行するも、政府軍に捕縛され斬首される……という運命をたどる。

 元々、歴史に興味があり、好きな武将に織田信長や真田幸村の名前を挙げる前川さんだが、さすがに宗介については「全く知らなかったですね」と告白する。「歴史は好きでしたけど、あくまで学校の授業レベル。西郷隆盛のおいとなると、名前も聞いたことはなかった。ただその分、想像で膨らませることができる余地はあるんじゃないかなって、前向きにとらえて演じることはできました」と振り返る。

 ◇舞台と「求められるものは大きく異なる」 驚きと苦労の連続だった「西郷どん

 とはいえ、前川さんにとって初の大河ドラマかつ初の時代劇となった「西郷どん」の撮影は、決して容易なものではなかったはずだ。

 前川さん自身「ドラマに出させていただいた経験がほとんどなくて……。舞台は始まりから終わりまで、通しで役を生き続けるんですけど、ドラマはこの回のこのシーンって瞬発的にやらなくてはいけない。求められるものは大きく異なる」と認めていて、「自分の経験から引き出したくても、これまでほぼ舞台しかやってこなかったから、その引き出しがない。適応するのは大変でしたね」と話している。

 また、所作や時代考証のディテールなど、現場は前川さんにとって驚きの連続だったといい、「刀の置き場所で相手への気持ちが分かるとか。目上の人への接し方も現代よりずっと重んじていた時代なので、所作一つとっても他者への思いや気遣いが感じられて、いろいろと勉強になりました」としみじみ。

 薩摩ことばについては「東京出身の自分にとって方言はとてもなじみのないもの。方言と武士としての言葉遣いを自分の中に一回取り込んでから、そのときどきの気持ちでせりふを話すってすごい苦労しましたね」と明かしていた。

 ◇混沌とした明治を生きて、散っていた市来宗介として

 今回、ドラマを通じて“動乱の時代”を追体験した前川さんは、「歴史好きからしても、ことさら幕末から明治にかけてって、混沌(こんとん)としているイメージがある」と印象を語ると、「ずっと武士の時代が続いていたのに、急に海外の文化が一気に入ってきて、いろいろなものが入り乱れている。そういう時代に生きた人って、何を見て、何を感じ、どう生きたのかなって。そういうのを想像するのは、仕事を抜きにしてもやっぱり楽しいですね」とうれしそうな笑顔も。

 さらに前川さんは「宗介は史実では最後、西南戦争で捕縛されて斬首されるんですけど。なぜそのような運命をたどることになったのか。そこには志士としての誇りや西郷隆盛への思い、いろいろなものがあったと思う」と改めて思いをはせ、「宗介は西郷先生も一目置くような冷静さと内に秘めた熱さを持っていたと思うんですけど。そんな宗介が自分なりに考え、生き、そして散っていったんだって思いながら、最後まで見ていただけたらなって思います」とアピールも忘れなかった。

 「西郷どん」は大河ドラマ57作目で、西郷隆盛の生涯を描いている。NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。

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