俳優の斎藤工さんがこのほど、東京都内で行われた「HBOアジアオリジナルズ『フードロア:Life in a box』トークイベント」に登場。斎藤さんは「齊藤工」名義で同作の監督を務めており、撮影の裏側などを語った。
ウナギノボリ
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「フードロア」は、HBOアジアが製作したアンソロジーシリーズ。アジア8カ国を舞台に、料理をテーマにした八つのエピソードで構成される。日本からは監督として斎藤さんが参加。2019年に放送された「フォークロア」に続く第2弾で、斎藤さんは第1弾の「フォークロア:TATAMI」にも参加していた。
お弁当をテーマに、全編高崎ロケで撮影されたという今回の作品。作品作りの裏には、自身が広島の幼稚園にボランティアに行った際の「食」にまつわる体験があったという。斎藤さんは「(ボランティアをした)幼稚園の食堂のおばちゃんたちが非番なのに来てくれて、子供たちの食事と、僕たちが次来る時のために塩むすびを用意してくれてた。その優しさにも感動したんですけど、食べた時に、塩加減が僕ら労働者に向けた塩加減だった。なんだか涙が出てきちゃって。すごいメッセージを感じたんですね。その話を、『TATAMI』の脚本家でもある金沢智貴さんに話をしたら、それを基にしようってことで始まりました」とテーマ設定の経緯を説明。
さらに「そしたら、高崎にナミさんという40年くらいお一人でお弁当を作ってらっしゃる、80歳の方がいらっしゃいまして。僕もお会いしに行って、そのお弁当をいただいたんですけど、お弁当にこんなメッセージが込められているのか、っていうくらい、一つ一つに感動して。ナミさんが、この物語の主人公だって(決まった)。僕が実際に食べたもので、立体になっていったなという感じがしますね」と明かした。
また、撮影現場に託児所を作ったというエピソードも披露。初めは現場付近に託児所がないかと問い合わせをしたというが、「最終的には、高崎市内にそういう場所をお借りして、ベビーシッターさんに来ていただいて。5日間、そういった(託児所のような)空間を作っていただいて」と斎藤さん。
その背景には、自身が幼少期に、映画製作者だった父の撮影現場を訪れていた経験があるといい、「日本の映像の現場って、特に女性が妊娠、出産されると、現場から離れちゃうんですよね。離れなきゃって感じの空気も、ルールみたいなものもある。海外のクルーなんか、昼休みになると家族全員連れて来る。だけど、日本だとどうしてもそこが分断されていて子供は親が何しているか知らなかったり、お母さんは現場から離れてしまったり。託児所が現場にあれば解決するんじゃないかなって以前から思っていて」と明かし、「どこかの映像の、製作の方たち、監督さんとかに伝わって、うちもそうしようっていうふうになってくれたら。今後も、“齊藤組”という撮影がある限り、(託児所は)最優先条件。託児所と共に映像製作をやっていきたいなと思っています」と思いを語った。イベントでは、この映画のために開発したというお弁当が登場し、斎藤さんが食べる場面もあった。
「フードロア:Life in a box」は、安田顕さん主演。せわしない東京から離れた電車の中、偶然乗り合わせた4人の乗客。スランプに陥った絵本作家(安藤裕子さん)、妻を亡くしたばかりの男(安田さん)と彼の娘(川床明日香さん)、引退した年老いたプロレスラー(ザ・グレート・カブキさん)ら4人の乗客の人生が電車の中で交錯し、長い間忘れていたある食にまつわる記憶が呼び起こされる……というストーリー。BS10スターチャンネルで2020年2月15、16日、各日4話ずつ放送。
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