山田杏奈&奥平大兼:初共演の喜びと“ほぼ2人芝居”の手ごたえ語る WOWOWドラマ「早朝始発の殺風景」撮影秘話

「WOWOWオリジナルドラマ 早朝始発の殺風景」でダブル主演を務める女優の山田杏奈さん(左)と俳優の奥平大兼さん
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「WOWOWオリジナルドラマ 早朝始発の殺風景」でダブル主演を務める女優の山田杏奈さん(左)と俳優の奥平大兼さん

 青崎有吾さんの小説「早朝始発の殺風景」(集英社)を実写化したWOWOWの連続ドラマ「WOWOWオリジナルドラマ 早朝始発の殺風景」でダブル主演を務める女優の山田杏奈さんと俳優の奥平大兼さん。ドラマは高校生たちの“密室会話劇”を描く青春ミステリーで、山田さんと奥平さんは、お互いに話したこともないクラスメートの殺風景と加藤木を演じる。共演シーンが“ほぼ2人芝居”となる山田さんと奥平さんに、共演の感想やドラマの見どころなどを聞いた。

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 ドラマは“平成のエラリー・クイーン”と称される青崎さんの同名小説が原作で、高校生たちの“密室会話劇”を通して描く青春ミステリー。始発電車、放課後のファミレス、観覧車のゴンドラの中など、さまざまなシチュエーションで展開し、会話劇によってある一つの真相が解き明かされていく。クラスメートだが話したことはない殺風景と加藤木がなぜか始発電車で遭遇し、電車に乗った理由を探り合うところから物語が始まる。

 山田さん、奥平さんにとって初のWOWOWドラマ主演。山田さんは、「何度かWOWOWのドラマに出させていただいていましたが主演という立ち位置が初めてだったので、聞いた時はすごくびっくりしましたし、うれしかったです。WOWOWのドラマは時間をかけてじっくり撮って見たい人に届けるというイメージなので、そういう作品で主演をやらせてもらえることはすごく楽しみだなと思いました」と話す。

 今作が連続ドラマ初主演作となる奥平さんは、主演という立ち位置についてあまり何かを感じることはないとしつつも、「やらせていただけることはすごくうれしかったですし、台本を読んで、進み方やシーン、出てくる人たちなどを見て、すごく面白そうだなと感じました」と喜びを明かす。

 ドラマは、会話劇によって真相が解き明かされていく構造だ。それゆえ長ぜりふも多く、山田さんは「せりふを覚えるのがめちゃめちゃ大変でした。今までで一番大変でしたね」と苦笑い。奥平さんも同意し、「ビビってましたもん。(第1話の)電車のシーンは震えましたね(笑い)」と振り返る。

 そんな殺風景と加藤木を演じるうえで、どのようなことを意識していたのか。奥平さんは「(加藤木は)殺風景によってだいぶ変わってくるだろうな、と最初に思いました。現場に入って山田さんが演じる殺風景を見てみないと、どういうふうに対応していけばいいのか想像がつかないな、と思っていました」と、特に事前に演技プランなどは決めつけず、現場での判断を重視していたという。「もう、何も考えていなかったです。自分をあまり表に出さないという意味で、加藤木くんってすごく合わせる子だと思うので、殺風景との会話のテンポ感などが大事になるのかな、とは思っていました」

 山田さんは、殺風景について「話し方はとても社交的とは言えないけど、友達のために動く子。そういう友達に対する思いが見えるところがあり、怒りといった感情はしっかりと出す子なので、そこは大事にやろうと思って芝居をしていました。殺風景も、加藤木くんと話すことによって少しずつ変わっていくので、そこも面白いなと。面白いキャラクターだなと思います」とキャラクターの魅力を語る。

 ◇初共演も「安心感が違う」

 共演シーンでは、ほぼ2人芝居だった山田さんと奥平さん。今作が初共演という2人に、お互いの共演前の印象を聞くと「私は『MOTHER マザー』(大森立嗣監督、2020年公開)に出ていた奥平くんだ、と思いました。さっき思い出したんですけど、(同作で)最後に坊主にしていたじゃない? あの坊主姿が、本当に失礼ですけど、私の弟にすっごく似ていて(笑い)」と山田さんが楽しそうに明かし、「そうなんだ」と笑う奥平さん。さらに山田さんは「たぶん、私がどんなふうに演じても加藤木としてそこにいてくださったんだろうなと思います。やっていて違和感がないというか、ちゃんと話せている感じがして、すごく心地よく演じさせていただきました」と感想を語る。

 奥平さんも、山田さんは若手の俳優の中で気になる存在だったという。「同世代や年が近い役者で“気になる方”の一人だったのですごくうれしかったです」と打ち明け、「今回山田さんとお芝居して、圧倒的に、安心感が全然違うなと思いました」と率直な思いを吐露。「『殺風景として、きっと場合によっては想像もつかないことをやってくるだろうし、こういうこともしてくるだろうな』ということを、ちょうどよく、してくれたと思っていて……それが僕は初めての経験でした」と振り返る。

 また、今作には高橋ひかるさんや萩原利久さん、藤野涼子さん、吉川愛さん、伊藤あさひさん、望月歩さんなど旬の若手俳優が続々出演する。奥平さんは「このドラマに出演している人たちが『すごくいいな』と思って。すごい若手の方が多く出てらっしゃって、たぶん自分が出ていなくても見ていたな、と思います」と同世代への思いものぞかせる。

 ◇20代の挑戦は?

 そんな奥平さんは現在19歳、山田さんは21歳。今後一層の活躍が期待される2人は、20代ではどのようなことに挑戦したいと考えているのだろうか。奥平さんは「高校生役とか、若いうちにしかできない役はどんどんやりたい」と意気込みを語り、「二十歳になったら大人の役もやってみたいなと思っています。今までは学生役とか年齢の若い役が多かったので、ちょっと上の年齢の役にもチャレンジしたい気持ちがあるんですけど、今年は無理に大人の役を演じるのではなく、等身大の10代、学生の役をやりたいかな……」と胸中を明かす。

 一方、山田さんは「社会人の役を早くやりたいですね。成人して、生活的にもちょっとずつ変わってきているので」とにっこり。「見た目が幼いと言われることが多いので、高校生役もできるうちはやらせてもらいたいと思いますけど、同世代の友達がどんどん就職する時期になっているので、そういう役をできたらいいなと思います」と新たな挑戦への思いを口にする。

 そんな2人による掛け合いが見どころのひとつの今作。最後に改めて作品の魅力を語ってもらうと、「さっき奥平君も言っていましたが、若い、すごく個性あふれる人たちがそれぞれすてきなキャラクターを演じていて、私も一気に見終わってしまったほどテンポ感も良く、キャラクターの魅力も伝わる話になっている。30分とは思えないほどそれぞれの人生やストーリーが詰まっていて、それがすごく魅力的な作品だと思います」と山田さん。

 奥平さんは「掛け合いがすごく面白いなと思います。掛け合いの中でキャラクターの個性が出ています」と見どころを語り、「学生の時ならではの雰囲気が出ていて……僕は学校生活を思い出しながら演じたのですが、そういうところも楽しめるかなと思うので、すごく見た方がいいと思います!」と語ってくれた。

 ドラマは11月4日から毎週金曜午後11時半にWOWOWプライム・WOWOWオンデマンドで放送・配信。全6話で第1話は無料放送。

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