吉川晃司:「舞いあがれ!」で“圧がすごい”鬼教官役「真っ先に顔が浮かんだ」 制作陣が「思い切って」ラブコールした理由とは?

NHKの連続テレビ小説「舞いあがれ!」で吉川晃司さんが演じる鬼教官の大河内守 (C)NHK
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NHKの連続テレビ小説「舞いあがれ!」で吉川晃司さんが演じる鬼教官の大河内守 (C)NHK

 福原遥さん主演のNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第9週(11月28日~12月2日放送)から、航空学校で舞(福原さん)らを指導する“鬼教官”大河内守役の吉川晃司さんが本格登場した。吉川さん自身が「朝に出ていい顔ですか?」とオファーに戸惑ったという朝ドラ出演。制作陣は、大河内役として「真っ先に吉川さんの顔が浮かんだ」といい、「吉川さん以外に誰ができるのかというくらい唯一無二。思い切ってオファーをしました」とラブコールを送ったという。はまり役といえる“圧がすごい”鬼教官を演じる吉川さんについて、制作統括の熊野律時(くまの・のりとき)さんに聞いた。

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 吉川さんが演じる大河内は、航空学校・帯広校の教官。航空自衛隊の戦闘機パイロットとして活躍したが、30代半ばで地上勤務にシフトした際に、航空学校からの誘いがあり教官職に就いた。学生からは鬼教官として恐れられ、ヒロインの舞やエリート学生の柏木(目黒蓮さん)がいる班の担当教官として、着陸が下手な舞を厳しく指導する。容赦なく学生をフェイル(退学)させると言われており、舞はなかなか理解できないが、そこには大河内なりの人生哲学がある、という役どころ。

 第40回(11月25日放送)で大河内が初登場すると、SNSでは「サンダー大河内! トップガンっぽい!!!」といい意味で朝ドラ“らしくない”カッコよさにしびれる声と共に、「吉川晃司さんの登場で、急に日曜劇場のような緊張感が」「吉川晃司と町工場で日曜劇場」と、ドラマ「下町ロケット」(TBS系)で吉川さんが演じた帝国重工宇宙航空開発部部長の財前道生を思い出す声も上がった。

 熊野さんは、大河内について「大好きなキャラクター」と率直な思いを明かす。「大河内は、パイロットという職業が人の命を預かって飛ぶという、とても責任の重い仕事なんだということを痛感させてくれる。厳しさと同時に、その責任の重さを分かった上で飛んでほしいという強い思いを持った人物」と分析。

 キャスティングの際に、制作陣の誰からともなく吉川さんの名前が「真っ先に出てきた」。そこで「思い切ってオファーした」という。

 その理由を、「朝ドラ初登場ということで、視聴者も新鮮な気持ちで見られるでしょうし。また、ご本人も『そこにいるだけで威圧感出ちゃうんだよね』『(朝ドラという)日常で見る普通のキャラクターという感じにはならないけれど大丈夫かな』と心配されていましたけれど、『いや、逆にそれがいいんです』と。登場した瞬間に、一発で見ている方に『あっ』と思わせる、その力強さ、存在感は吉川さんの唯一無二のものだと思っている、という話をさせていただいた」と説明する。

 結果、快諾していただけたので、すごく良かったなと」と胸をなで下ろしたという。

 ◇「静かなたたずまいの中にある本当の厳しさ」を持つ大河内

 吉川さんが役作りの上で大切にしたのは、大河内の“たたずまい”だった。

 「いわゆる昭和的なスパルタ鬼教官ではなく、ある種、静かなたたずまいの中に本当の厳しさがある。立ち居振る舞いは丁寧だけれども、そこには重いものがある。そういう方向がいいと思うと吉川さんの方から言われました」と熊野さんは明かす。

 吉川さん本人も「私の方から言葉遣いや物腰をものすごく丁寧に礼儀正しい男にしたいと提案しました。口調も態度も丁寧すぎて逆に怖いという人がいるでしょう。そういう狙いですね」とコメント。

 また、「大河内は何か武道をしていた男だったんだろうと自分の中で裏設定として決めています。空を飛ぶ前は坐禅を組んで精神統一をしていたり。私自身、鎌倉幕府や江戸幕府の指南役を務めてきた『弓馬術礼法小笠原流』を数年前から学んでいまして、そうした所作を入れたりもしています。それによって威圧感が増して、より怖い印象が強くなっているんじゃないでしょうか」とも語っている。

 それが「1回、1回のフライトで、命の重さについて常に思いをはせている人」という静かなたたずまいの中に重厚さや威圧感を持つ大河内というキャラクターを形成し、熊野さんは「とても魅力的になったなと思いました」と手応えを感じたという。

 怖いだけでなく、11月19日に放送された「まだ間に合う! 連続テレビ小説『舞いあがれ!』」のメーキング映像で吉川さんは、カメラが回っていないところでスキップをして場を和ませ、学生キャストと笑い合い、「たまにはちょっと笑かせてあげるのも必要だ」と笑顔で語っていた。また「NG、俺が一番多いんじゃないかな」と意外な面も明かし、「(大河内は)本当に怖いんですよ。でも愛しているがゆえの愛のムチですから」と必死に“言い訳”するなど、現場で吉川さん自身の人間的な魅力を存分に発揮しているように見えた。

 第10週(12月5~9日)には、これまでの人生で「努力すればなんとかなる。仲間と一生懸命やれば乗り越えられる」と考えてきた舞が、大河内からシビアな現実を突きつけられ、思い悩むシーンも登場する。厳しさの中に愛情を込めた吉川さん演じる大河内の指導で、舞ら学生たちはどう成長していくのか、これからも見守っていきたい。

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