舞いあがれ!:“ばんばの言葉” 物語は幕も、心の中で生き続ける 「これからの人生の指針」に

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第125回の一場面(C)NHK
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NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第125回の一場面(C)NHK

 福原遥さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(総合、月~土曜午前8時ほか)の最終回が3月31日に放送された。物語は、舞(福原さん)が“ばんば”祥子(高畑淳子さん)を乗せて、“空飛ぶクルマ”「かささぎ」で五島の空に舞いあがるという、大団円を迎えた。ここでは、物語の序盤から登場し、舞ら登場人物の心はもちろん、視聴者の心も打った“ばんばの言葉”の数々を振り返る。

 ◇「失敗は悪いことじゃなか」 名言連発の五島編

 子供時代の舞(浅田芭路ちゃん)の成長物語となった“五島編”は、ばんばの言葉にSNSは連日盛り上がりを見せた。

 ビワ摘み、ジャム作りを手伝った舞だが、失敗ばかりで落ち込んでしまう。そんな舞に対して祥子は「失敗は悪いことじゃなか」と伝え、「舞は自分で手伝いばすると決めて、最後までできたやろ。すごかことぞ」と逆に褒めたたえたのだった。

 一方、祥子が仕事でミスをしてしまったときには、舞が「おばあちゃん、失敗は悪いことやないんやろ?」と励ますシーンも。舞が心身共に成長した様子が描かれた。

 舞が大阪に帰る前の最後の夜、祥子は「舞もばらもん凧ごたあ、どがん向かい風にも負けんとたくましく生きるとぞ」とエールを送る。「ばんば、今までありがとう」との舞の言葉に、目を真っ赤にして優しくほほ笑む祥子。2人の間には確かな絆ができあがった瞬間となった。

 ◇「いつかは空も晴れる」 入社延期の舞に送ったエール

 第33回(2022年11月16日放送)では、仕事を辞めて五島へとやってきた貴司(赤楚衛二さん)への励ましの言葉が話題を集めた。

 “普通”になじめない貴司に対し、祥子は「周りに合わせんでよか。自分のことを知っちょる人間が一番強かけん。変わり者は変わり者で、堂々と生きたらよか」とアドバイスする。

 祥子の言葉を受けて、笑顔を取り戻した貴司は「いろんな場所に行ってみたいって思う。そんで、歌を詠む」と歌人になることを決断。ばんばとの出会いは、舞だけでなく貴司の人生にとっても大きなものとなった。

 第59回(12月22日)では、リーマンショックの影響で航空会社への入社が1年延期となった舞が「ほんまは入社延期になったん、ショックやった。ええパイロットになるにはな、どんだけ時間あっても、足りへんくらい、勉強して、訓練して。ほんまに1年の延期で済むんかなあ」と祥子に不安を吐露した。

 祥子は「ばんばの船はな、出せん日も多か。嵐の日や家でじ~っとしとるしかなかとさ。じゃばってんそいや、無駄な時間とは思わん。体ば休めたり、備品ば修理したりしてな。いつかは空も晴れる。そこまで、でくっことばやればよかとじゃなかか」と優しくエールを送った。

 ◇「ばんばの名言集がほしい」 視聴者の記憶に残る名キャラクターに

 ばんばの言葉は、物語の終盤にも登場。第121回(3月24日放送)では、貴司の苦しみに気づくことができなかった舞に、祥子が優しく寄り添った。

 舞は「貴司君な、短歌やめんねって。しんどそうやった。私、ずーっと一緒におんのに、なんもでけへんかってん」と後悔を口にする。祥子は「どっだけ一緒におっても分からんことやあるとよ。つらかね」と自分を責める舞を思いやった。

 最終回では、舞の子供時代の回想シーンも登場した。「ばらもん凧ごたあ、どがん向かい風にも負けんとたくましく生きるとぞ」と過去のせりふが流れると、祥子は舞の背中を見ながら「舞や……。向かい風に負けんかったね」と孫の成長に涙ぐんだ。

 SNSでは「ばんばの名言集がほしい」「これからの私の人生の指針になると思う」「悩める現代人の背中を押してくれる力強くて優しいせりふばかり」といった声が上がるなど、視聴者の記憶に残る名キャラクターの一人となった。

 同作の脚本を担当した桑原亮子さん(共同脚本として嶋田うれ葉さん、佃良太さんも参加)は新型コロナウイルスの感染者数が激増し「暗いトンネルの出口がまったく見えない時」に物語を書き始めた。最終週の副題「私たちの翼」には「誰もが窮屈に生きていかなくてすむように、自由に生きられる明日が来るように」という思いが込められているという。

 ばんばの言葉には桑原さんの思いも託されていたように思う。「いつかは空も晴れる」ことを信じ、前向きに生きるための“教科書”のような言葉の数々。物語は幕を下ろしたが、ばんばの言葉はキャスト、スタッフ、視聴者の心の中でこれからも生き続けるだろう。

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