アンチヒーロー:「明墨の怒りをどう表すかが鍵」 印象的な第8話ラストシーン 宮崎監督が撮影秘話明かす

ドラマ「アンチヒーロー」第8話の一場面(C)TBS
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ドラマ「アンチヒーロー」第8話の一場面(C)TBS

 俳優の長谷川博己さんが主演を務めるTBS系「日曜劇場」枠(日曜午後9時)の連続ドラマ「アンチヒーロー」の第8話が6月2日に放送された。終盤で、東京地方検察庁検事正の伊達原泰輔(野村萬斎さん)が、明墨(長谷川さん)の弁護士事務所に花束を持ってくる展開に。第8話の演出を担当した宮崎陽平監督が、X(旧ツイッター)で撮影秘話を明かしている。

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 ◇以下、ネタバレがあります

 第8話では、明墨(長谷川さん)たちが、死刑囚・志水(緒形直人さん)の冤罪(えんざい)の証拠となる動画を探す。ところが、一足先に動いた伊達原によって、動画は削除され、ハードディスクごと破壊されてしまった。

 そんな中、部下の緑川(木村佳乃さん)とともに明墨法律事務所にやってきた伊達原。事務所内を見回し「へぇ~、なかなかこぎれいにしてるじゃない」と切り出し「悪いね、突然。いや、かつての部下(明墨)が弁護士事務所を始めたというのに、お祝いの一つも送ってなかったと思ってねぇ」と言いながら、デルフィニウムなどをあしらった花束をデスクに置く。

 いすに座ったまま「ありがとうございます」と言いながら、花が置かれたデスクの上に両脚を鷹揚(おうよう)に乗せた明墨。その様子を見ていた伊達原は明墨に「そういえば、なんだか昔の盗撮犯を追っていたとか。どうしてそんなお金にもならないことを?」と尋ねる。さらに「弁護する人間は考えて選んだ方がいい。事務所、つぶれちゃうよ」と脅しめいた笑みを浮かべた。

 帰り際には「こう呼ぶのが最後でないことを祈ってますよ。明墨弁護士」と楽しそうに伊達原は、花束を手に取って、明墨に渡した。伊達原が帰った後、花束を手にした明墨は、自分の部屋へ。花束を持つ手は怒りで震えていた。ラストでは、デスクに置かれたままの花束とは対照的に、投げ捨てられた資料が部屋中に散らかっている様子が映し出された。

 ラストカットについて「明墨の怒りをどう表すかが鍵」とXでつづった宮崎さん。長谷川さんをはじめ、今作を手がける飯田和孝プロデューサーらと話し合ったことを明かした。「miletさんからいただいたすてきな『hanataba』が主題歌のこの作品で、花を無惨な姿に絶対にしたくない、でも伊達原があの場に花束を持ってくることは面白いので、どうやって“怒り”を皆さんにお届けすればいいか」悩んだという。

 最終的には「花に罪はない」ということを知っている明墨が、怒りを資料にぶつけることになった。宮崎さんは「資料は、明墨自身の分身なので、ここで先手を取られてしまった甘い自分、そして志水への罪の意識で頑張ってきたこれまでの自分に対しても、彼は怒りをぶつけています」と説明している。

 SNSでは「明墨弁護士は、花に当たらないと信じていました。良かった」「見事な引き算の演出、見事なラストシーンでした」「とてもすてきなシーンで何回も見直しています」といったコメントが寄せられている。

 ドラマは、法に触れない範囲内で手段を選ばない「アンチ弁護士」の明墨を通し、視聴者に「正義とは何か?」を問い掛け、スピーディーな展開で「常識」を次々に覆す法廷エンターテインメント。脚本は山本奈奈さんらのオリジナル。

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