北村匠海:「あんぱんまん」誕生シーンに感慨「やなせたかしではなく柳井嵩として生きた」 初回冒頭につながる名場面の裏側 

連続テレビ小説「あんぱん」で柳井嵩を演じる北村匠海さん(C)NHK
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連続テレビ小説「あんぱん」で柳井嵩を演じる北村匠海さん(C)NHK

 今田美桜さんが主演を務める連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(NHK総合、月~土曜午前8時ほか)で、ヒロイン・のぶ(今田さん)の夫・柳井嵩を演じている俳優の北村匠海さん。第120回(9月12日放送)で、ついに「あんぱんまん」が誕生し、第1回(3月31日放送)の冒頭シーンへとつながった。北村さんは、この場面にどのような思いで向き合ったのか。同シーンの裏側を聞いた。

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 ◇第1回冒頭シーンは「覚悟を見せたかった」

 「あんぱん」は、やなせたかしさん(1919~2013年)と暢さん(1918~1993年)夫婦がモデル。2人が出会い、あらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」となる。

 第120回では、東海林(津田健次郎さん)の訪問からほどなくして、琴子(鳴海唯さん)から手紙が届く。そこには東海林が上京した本当の理由が書かれていた。手紙を読んで言葉を失うのぶと嵩。その夜、嵩は何かに突き動かされるように鉛筆を走らせる。何度も描くうちに、ついに「あんぱんまん」が誕生し……と展開した。

 この場面は、第1回の冒頭と似たシーンではあるが、今回、新たに撮影されたシーンだという。

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 「第1回の時点では年代が決まっていなかったので、時系列的にやっていることと風貌がずれてしまって。チーフ監督がおっしゃっていたのは、第1回のシーンはある意味、僕らの覚悟のシーンだったと。『あんぱん』というものをやりきるんだということを、チームはもちろん、見てくださる皆さんにも、『あんぱん』をやりきるんだという覚悟を見せたかったのだとおっしゃっていました」

 第1回を撮影したのは約1年前になるため、再度撮影する際には「どんな気持ちだったかな?」と当時のことをあまり覚えていなかったという北村さん。

 「いざもう1回同じようなことをやっても、やっぱり同じシーンにはならないんですよ。ただ、あの時やなせさんを感じながらやったお芝居の根っこは全く同じ感覚で。根を生やしているのはやなせたかしさんのイズムであって、柳井嵩として育ってきたのは違う花だったり、違う草木だったんだなという感じがしました」

 ◇嵩は「あんぱん」の「象徴のような存在」

 この場面を振り返り、北村さんは「第1回では先々のことが分からない中だったので、とにかくやなせさんを摸倣しようと。そこにしか答えが詰まっていなかったので、そういうお芝居をしていたんですけど、120回になってようやくここにたどり着いたんだなぁという思いでした」と感慨深げに語る。

 「完成したアンパンマンを見た時に、やっぱりあの頃とは全く感覚が違うんですよ。それはなぜかと考えた時、やなせたかしとして生きたのではなく、柳井嵩として生きたからだというのはすごく感じました」

 嵩はやなせさんがモデルの役ではあるが、「やなせさんと比べると暗いし。やなせさんってたっすいがー(弱々しい、頼りないといった意味で使われる土佐弁)だったのかなとか、いろんなことを考えていました」と明かす。八木役の妻夫木聡さんと役について話し合う中で、北村さんは「やなせさんがこの作品全体を包んでいて、嵩は象徴のような存在」という答えにたどり着いたという。

 「そう感じたのは、やなせさんの言葉が劇中に散りばめられていますし、登場人物のせりふにもなっていますよね。嵩が出会ってきた一人一人がそういう言葉を投げかけてくれて、最後にのぶちゃんが僕の手を引っ張ってくれて、初めてアンパンマンというものが出来上がったんだと思います。1年を嵩と過ごしてきたので、嵩としてアンパンマンを見ると、いとしさと、ここまでの苦しさと……。あとは今まで出会ってきた人たちの顔が浮かびました。でもやっぱり一番はのぶちゃんを感じたっていうのが大きかったですね」

 ◇嵩ののぶへの思い

 その理由について、北村さんは「『あんぱん』では、のぶと嵩の幼少期が描かれているから、史実の社会人になってから出会ったやなせさんと暢さんより、二人で過ごした時間が長いんですよ」と説明。

 「だからこそ、共に歩んできた道、幼少期から今に至るまで過ごしてきた日々を思い出します。彼女は軍国主義も背負いましたし、二人で戦争後に語り合ったり、高知新報で再会したり、常に尻を叩かれながら嵩は前に進んできたけれど、時には自分が前に立つ瞬間があったり……。どうしようもなく落ち込んでいるのぶちゃんを横で見ることもありました」

 そんな二人の関係を振り返り、「今こうやって二人で歩むようになって、その中でもいろんなことが巻き起こっていって。アンパンマンそのものは千尋(中沢元紀さん)のイメージなんですけど、アンパンマンという作品全体を思うと、すごく二人の軌跡が感じられるんです。これはきっと、柳井嵩だからこそ抱く感情なのかもしれないと感じました」としみじみ語っていた。

最終週の人物相関図が公開! 予告にはいたけど“名前なし”? 新キャラは1人 登美子&千代子も“完走”

連続テレビ小説「あんぱん」の最新の人物相関図(最終週~) (C)NHK
連続テレビ小説「あんぱん」の最新の人物相関図(最終週~) (C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)の新たな人物相関図が、ドラマの公式サイトなどで公開された。

 9月22日に始まる最終週(第26週)「愛と勇気だけが友達さ」の相関図で、新キャラクターとして、TVプロデューサーの武山恵三(前原滉さん)の登場が予告された。

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「あんぱん」登場人物紹介

「あんぱん」とは

 「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家、絵本作家のやなせたかしさん(1919年~2013年)と、暢さん(1918年~1993年)夫婦がモデル。何者でもなかった二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」となる。

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