ばけばけ:第12回 71.2%と高い注目度を3分間も異例のキープ ヒロイン“トキ”も登場した終盤のシーンとは?

連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK

 高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第12回(10月14日放送)で、テレビの前の視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、第12回の最高値は午前8時11~13分の71.2%だった。

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 「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

 ◇最高値は午前8時11~13分の71.2% ふすまを一人で開けたことがないって?!

 第12回は、トキが働く機織り工場が、景気悪化で資金難に陥る。社長で親戚の雨清水傳(堤真一さん)が金策に繰り出し、その間、三男・三之丞(板垣李光人さん)が社長代理を務めることになった。そんなある日、金策に奔走していた傳が突然、倒れてしまう。

 テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を調べた「注目度」は、序盤と中盤に1回ずつ、小さな“山”ができ、終盤に大きな“山”となった。午前8時11~13分の3分間は、ほぼ71.2%と横バイで、ちょうど台形の跳び箱のような形のグラフになった。3分間続けて、同程度の視聴者を注視させ続けるというのは、そんなに見られないケースだ。

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 ちなみに序盤の小ぶりな“山”となった午前8時3分(68.8%)台は、オープニング明けに、金策に動く傳が断られている場面から始まる。三之丞は社長代理として工場の席に座るが、長い間放っておかれただけに、何をすればいいのか分からず、ただ茫然と座っている。

 中盤の“山”午前8時7分(67.3%)台は、銀二郎(寛一郎さん)と、トキの祖父・勘右衛門(小日向文世さん)の2人の場面。「格の低さがしみついちょる。そげな腕では松野の跡取りは務まらんぞ」。剣道の素振りをしていた銀二郎を、勘右衛門が一喝する午前8時6分台の場面の続きだ。

 銀二郎は「私の山根家はこちらほど格が高くはありませんゆえ」などと謝るが、勘右衛門は許さない。「おぬしは松野の当主になる男。すべてにおいて格の高い武士としてのふるまいをせい」。反論したい思いを飲み込み、「はい」と銀二郎は答えたが、勘右衛門に「ぐっと、何かを飲み込んだじゃろ」と言い当てられる。「飲み込んだ!」「飲み込んではおりません」。2人のそんな問答が続く場面からが午前8時7分台。銀二郎はそのうち、とうとう大声を出してしまう。宍道湖の湖畔と思われる場所で、銀二郎が声を荒立てたことを悔やんでいると、トキ(高石さん)が帰ってきて、怪談話をせがむ。松野家でも、少しずつだが、確実に波風が大きくなってきていることを感じさせた場面だ。

 そして、この日の注目度のピーク71.2%を記録した午前8時11~13分の3分間。傳が工場に戻るやいなや、倒れてしまった場面の直後からだ。傳は部屋で横になって休んでいる。雨清水家では給金を払えなくなった女中に暇(いとま)が出されたと聞き、トキは心配になり、雨清水家を訪ねる。声をかけても、反応がない。不審な音がしたため、中に入ると、タエ(北川景子さん)がかゆを作ろうとして米を焦がしていた。何か手伝おうとするが、タエに「お帰りなさい」と厳しく拒絶される。

 しぶしぶ家を出たトキは、戻ってきた三之丞に出会う。タエ(北川景子さん)が米を焦がしていたことを伝え、「おば様にお任せして大丈夫でしょうか」とトキは尋ねる。「でも、母上はご自分でやるとおっしゃっている。お任せするしか……」と三之丞が答えたあたりまでが午前8時13分台だ。

 その後、トキが「おば様に看病は無理でございます」と言うと、三之丞は「なら、どうすればいいんだよ! どうすればいいの……? 何でもかんでも押しつけないでくれ!」と声を荒らげる午前8時14分台の場面へと続く。

 一気に危機に陥った雨清水家の窮状が見ていてつらくなるシーンだ。銀二郎もそうだが、あのタエがこのように声を荒げる場面があるとは先週まで予想だにしなかった。タエが女中がいなくなって初めてふすまを一人で開けたという事実もなかなか衝撃的。登場キャラクターの感情がたかぶる場面が続き、視聴者が長くクギヅケになっていたのも納得の場面だった。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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