放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
10月3日にスタートするNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(総合、月~土曜午前8時ほか)。空に憧れ、旅客機のパイロットを志す主人公の舞は、これまでの朝ドラのヒロインのイメージとは若干異なり、自ら先頭を切って突き進むタイプではない。周囲の人たちと手を携え、一歩一歩ゆっくりと舞い上がっていく、いわゆる“調和型”のヒロインだ。演じる福原遥さんも同じタイプだといい、撮影現場は「自然と福原さんが真ん中にいて、そこに暖かい日だまりができている」ような和やかな空気が流れているという。制作統括の熊野律時(くまの・のりとき)さんに、今作で目指したヒロイン像や撮影現場での福原さんの様子などについて聞いた。
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主人公の舞は、幼いころから人の気持ちを察するのが得意な一方、自分の気持ちを抑えてしまうところがあったが、長崎・五島列島の祖母や人々と触れ合い、変わっていく。飛行機への憧れから、大学で人力飛行機サークルに入って作り手として活動し、空を飛ぶ感動を味わい、やがて旅客機のパイロットを目指すようになる。
舞役の福原さんは、2545人が参加したオーディションをくぐり抜けヒロインの座を射止めた。幼少期は子役の浅田芭路(あさだ・はろ)ちゃん(9)が演じる。
今回、ヒロインが空を飛ぶ夢を持つという設定は、脚本を担当している桑原亮子さんが飛行機好きだったことに起因している。「桑原さんはもともと飛行機が好きだということで、朝見ていただくドラマを作る上で、ヒロインが空を見上げたり、空に向かっていくという前向きで希望のあるイメージが、今の時代に大切なメッセージになるのではないか」と考えたという。
ドラマの構想は2020年から練り始めた。当時はコロナ禍まっただ中で、「飛行機が飛べない時期もあって、コロナ前は、どこへでも自由に行き来できたのに、それが当たり前じゃないんだと分かった。実は貴重なことで、一度当たり前だと思うことを見つめ直してみるのは大事なんじゃないかと、桑原さんと話していた」と明かす。
「人生がうまくいくとき、いかないときのアップダウン、空を飛べるのか、飛べなくなるのかと重ね合わせてドラマとして描くことができそうだという話をしました。コロナ禍の影響は含まれていると思います」とまさに今、放送するにふさわしいテーマだと考えた。
熊野さんは、桑原さんとヒロイン像を作り上げていく際に「一人で頑張って空に舞い上がっていくのではなくて、周囲の人たちと手を携えて空高く上がっていくことを大事にしようと考えた」と語る。そして、「関わりのある人たちと、さまざまな生き方を尊重しながら、一緒に困難を乗り越え、一歩一歩ゆっくりと、でも着実に前へ進んでいくイメージ」の“今どきのヒロイン”を目指した。
舞を演じる福原さんは「まさにそういうタイプの方」と目指すヒロイン像と合致した。熊野さんは、福原さんについて、「共演者の方と本当に打ち解けてらっしゃいますし、お互いにリスペクトして、一緒にドラマを楽しく作っていきましょうと、温かく、柔らかい雰囲気で現場にいてくれています」と評する。
「その穏やかな感じがスタッフ、キャストにも伝わって、福原さんが真ん中にいて、そこに暖かい日だまりができているような雰囲気なんです。福原さんの周りになんとなくみんな集まってきて、にこにこ笑顔でおしゃべりしながら、お茶を飲んでいるような。そんな空気感で、気づくと本番になっている」と、撮影はとてもいいムードで進んでいるという。
熊野さんは「そんな福原さん独特の魅力が、映像として表れていると思います。今回目指しているヒロイン像をまさに体現していただいている」と福原さんの演技に手応えを感じている。
幼少期を演じる芭路ちゃんは、219人が参加したオーディションで選ばれた。「幼少期の舞は、ヒロイン像の出発点。人の気持ちを敏感に分かるがゆえに、自分の思っていることをなかなか言い出せないという性格が、周囲の人との関わりで少しずつ変化していく」という難しい年代を演じている。
芭路ちゃんについて、熊野さんは「元気で明るい女の子ということだけではない、少しうまくいかない部分も抱えていて、その両面を表現できる。生きづらさを抱え、明るさと行ったり来たりしながら変わっていく部分を演じるのは、なかなか高度なこと。両面をきちんと表現できる人をオーディションで探していく中で、浅田さんのチャーミングな笑顔と同時に、少し陰の部分、自分のことをうまく表現できないという両面ができる方だと思ったので、お願いすることにしました」と明かした。
ヒロインの舞が、家族や仲間たちと切磋琢磨(せっさたくま)しながら空を飛ぶ夢に向かって成長していく朝ドラ「舞いあがれ!」。福原さんが、どんな“今どき”の新しいヒロイン像を見せてくれるのか、楽しみだ。
「舞いあがれ!」は、ヒロインの舞が、ものづくりの町・東大阪と、自然豊かな長崎・五島列島を舞台に、さまざまな人と絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく物語。同局の土曜ドラマとして2020年1月に放送された「心の傷を癒すということ」などで知られる桑原さんのオリジナルで、共同脚本として、嶋田うれ葉さん、佃良太さんもチームに加わる。
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